クレジットカードの支払い遅れが住宅ローン審査に影響する⁈

不動産コラム

クレジットカードの支払いは毎月決まった日にちに引き落としされるのがルールです。ですがその日に口座が残高不足で、上手く引き落とされなかった経験をお持ちの方もいるでしょう。たった1回だけ・・・ほんの2~3日・・・と甘く見ていると、住宅ローンの審査が通らないことがあるのです。金融機関は審査の過程で必ず「個人信用情報」を照会するのですが、ここである事実が判明すると住宅ローンの審査が非常に厳しくなってしまいます。

「ついうっかり」がマイホーム購入を難しくすることも

Aさんは半年前、マンション購入を決意し住宅ローンの事前審査(仮審査)を申請しました。無事に5000万円の仮承認を取り付けましたが、そのマンションは子供の学区が変わることなどから購入を諦めました。その後、家族の希望に合うマンションが見つかり購入を進めることに。前回の事前審査から半年経過していたため期限切れだったこと、また物件や借入金額も変更になることから再度事前審査を申請したのです。当然ながら、Aさん本人は「前回も無事に仮承認がもらえたのですんなり行くはず」と考えていました。

ところが、銀行からの回答は「非承認」でした。この半年の期間に何か変わったことはなかったか?よく考えると「2ヶ月前にクレジットカードの引き落としに間に合わなかった」ことを思い出します。

Aさんは給与口座とクレジットカードの引き落とし口座を別にしていたため、毎月お金を口座へ移動していました。しかし問題の2ヶ月前、たまたま事前の入金を失念してしまっていたのです。その事実を知ったのは、クレジットカード会社から「残高不足で引き落としが出来なかったことのお知らせ」と振り込み票が郵送された時でした。

しかし、タイミング悪くAさんは出張で1週間家を不在にしていました。郵便物を確認するのが遅れてしまったため、振り込み期日も何日か過ぎてしまっていたのです。

慌てて振り込みを済ませましたが、カード利用を止められたりはしなかったため安心していたのです。

個人信用情報に載っている記号の意味

事前審査の結果に納得がいかないAさんは、自分の個人信用情報を開示してみようと手続きをします。すると、問題のカードの利用履歴に「$」と「A」の記号が入っているのを確認します。

この記号にはとても重要な意味があります。

ずばり「カード利用と支払い実績」の記録なのです。過去2年分、24ヶ月の実績が記載されています。

それぞれの記号の意味は下記の通りです。

「$」請求通り(もしくは請求額以上)の入金があった

「P」請求額の一部が入金された

「R」お客様以外から入金があった

「A」お客様の事情でお約束の日に入金がなかった(未入金)

「B」お客様の事情とは無関係の理由で入金がなかった

「C」入金されていないが、その原因がわからない

「−」請求もなく入金もなかった(例:クレジットの利用がない場合)

空欄 クレジット会社等から情報の更新がなかった(例:クレジットの利用がない場合)

「$」ばかりが記載されていれば、毎月クレジットカードの利用があり、毎月きちんと支払い(引き落とし)がされている証拠です。

住宅ローンの審査での重要度

住宅ローンの審査においては、個人信用情報上で「A」や「P」があると非常に厳しいと言われています。なぜならば、「クレジットカードの支払いに遅れる人」は「住宅ローンの返済も遅れる可能性がある人」と見なされてしまうからです。何回も遅れがあればもちろんですが、たった1回であろうと、わずかな金額であろうと関係ないのです。

また過去24ヶ月の実績において1年以上前に「A」が一つある場合と、直近の数ヶ月で「A」が一つある場合では、断然後者が不利になります。前者は「過去に遅れがあったが、その後は順調に支払い実績を積み重ねている」と判断され、後者は「最近、収入状況が悪化した」「最近大きな買い物をしたか、借入をした可能性がある」と判断されるのです。

支払い遅れを解消したとしても、この記録は削除されることはありません。2年を経過するまで情報が残ってしまいます。(2年経過しても、カードを解約すると5年間は情報が保持されるので注意しましょう。)

不安がある人は早めに情報開示しよう

住宅ローンの審査の際にも、個人信用情報には「情報照会の記録」が残ります。なかなか通らないからと言ってたくさんの銀行に審査を依頼している事実があると、あまり好印象を与えません。もし、自分自身の信用情報に不安がある場合には、事前審査をする前に情報開示を申請して記録を確認しておきましょう。

クレジットカードの支払い遅れを甘く見てはいけません。たった1回の不手際が、マイホーム購入という人生での一大イベントに悪影響を及ぼすことがあることをよく覚えておきましょう。