住宅ローン控除 適用要件緩和の見込み

不動産コラム

新型コロナウイルス対策により、現在様々な経済活動に影響が出ています。住宅業界も打撃を受けている業界のひとつですが、主に中国からの建築資材や設備の供給がストップしたことによる工事の未完了そして引き渡しの延期が大きな問題となっています。

そんな中で政府は4月7日に緊急経済対策を閣議決定し、住宅分野では業界から強い要望が出されていた、「住宅ローン控除の適用要件の緩和」が盛り込まれています。

住宅購入において、住宅ローン控除は私達に大きな影響を与える制度です。今回は緩和措置の内容をいち早くお伝えします。(閣議決定から実際の法施行までにはタイムラグがあります。)

入居要件の緩和

消費税が8%から10%にアップした際、住宅ローン控除については3年延長の救済措置が取られていました。本来10年間で終わるところを3年間延長し、増税された分を少しでも取り返せるようになっています。

★住宅ローン控除13年適用の計算方法

1年目~10年目 住宅ローンの年末残高の1%を控除(最大40万円)
11年目~13年目  次のいずれか低い額が控除限度額
①住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)×1%  
②(住宅取得等対価の額ー消費税額〔上限4,000万円〕)×2%÷3 

しかし、この13年間適用を受けるためには「2020年12月末までにその住宅に入居すること」が条件となっていました。今回のコロナ騒ぎで、この12月末までの入居予定が大きく揺るがされることとなっているのです。そこで、今回の緩和措置ではこの入居期限を1年間延長し、2021年12月末までとする予定です。

ただし、新築では2020年9月末、取得や増改築の場合は11月末までに契約をしていることなど諸条件があります。

現在契約済みや着工済みで適用外だった方が緩和措置によって13年控除が受けられるようになったり、これから住宅購入を進める方にとってもチャンスが広がることになります。

既存住宅取得後のリノベも対応

 また通常の住宅ローン減税についても、既存住宅取得時の「取得後6カ月以内の入居」という要件が緩和される模様です。

(1)新型コロナウイルス感染症の影響によって、取得した既存住宅に行った増改築等と入居が遅れたこと

(2)(1)の増改築等の契約が当該住宅取得の日から5カ月後までに行われていること等

(3)(1)の増改築等の終了後6カ月以内に当該住宅に入居していること

これらが条件となる予定です。

この中で大きいのは(3)の内容です。増改築が完了してからの入居でよくなるため、既存住宅取得後に自己資金で行ったリノベーション工事が完了せず入居できないような場合にも、ローン減税の適用を受けられないという事態は当面回避できそうな見込みとなったのです。

なお、これらの緩和措置を受けた場合にも通常通り、住宅ローン控除可能額のうち所得税から控除しきれなかった額は個人住民税から控除されます。

 更に、耐震改修を行った住宅に係る不動産取得税の特例措置についても、適用要件の緩和が盛り込まれています。

 耐震基準不適合の既存住宅については、取得から6カ月以内に耐震改修を行い、かつ入居した場合には税制上の特例措置が設けられています。この特例についても住宅ローン減税とほぼ同様の枠組みで、同感染症の影響による入居の遅れを容認し、措置を受けられるようにする予定です。

先行きが不透明な状況が続きますが、住宅ローン控除については救いの手が差し伸べられそうです。

中古住宅を購入した場合の住宅ローン控除

最後に、中古マンションなど中古物件を購入した場合の住宅ローン控除の適用要件で、注意しなくてはならないポイントをおさらいしておきましょう。新築物件と同様の条件にさらに中古住宅特有の条件「現行の耐震基準を満たすこと」が加わります。

A:築年数が一定年数以下(マンションは25年、木造などは20年)
B:築年数がオーバーしていた場合は「既存住宅性能評価書(耐震等級1位上)」もしくは「耐震基準適合証明書」を用意
C:既存住宅売買瑕疵保険に加入

A~Cいずれかひとつを満たしていれば大丈夫です。

また、中古住宅には2種類の取引形態があります。

ひとつは個人間売買、もうひとつは不動産事業者との売買です。売主が「消費税を課税される」相手かどうか?が問題となります。

・不動産事業者からの購入では控除限度額が年間40万円
・個人間売買では控除限度額が年間20万円
と適用範囲が大きく異なりますので注意しましょう。