地震保険は入るべき?

不動産コラム

マイホームを購入しいよいよ入居が迫ると火災保険を検討します。そして皆さんが同時に悩むのが「地震保険」。日本は地震大国で、近年は大規模な震災による被害が各地で起こっているため加入率は上がっているといいます。

今回は地震保険はどういう仕組みで何を保障してくれているのかをお話します。

必ず火災保険とセットで加入

火災保険は火災や自然災害などで損害を受けた建物や家財を補償する保険です。しかし、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失などの損害は補償されません。これらを補償するのが地震保険で、対象は居住用の建物・家財です。原因が違うと保険の種類も変わるという事ですね。(一部の火災保険では、地震などによる火災で半焼または全焼した場合に、地震火災費用保険金として火災保険金額の5%程度が支払われるケースがありますが、いわゆる地震保険の補償とは異なります。)

しかも、地震保険のみ単独で加入することは出来ません。火災保険にプラスして加入するという形をとります。火災保険は民間の損害保険会社などが販売していますが、地震保険は民間の保険会社と国との共同運営をしています。大規模な地震が起こると、被害も甚大でかつ範囲も大きくなります。そうなると民間の保険会社だけでは保障しきれなくなる可能性があり、国が代わって保険を支払う仕組みとなっているのです。しかも所在地と建物の構造(耐火・非耐火)ごとに国で保険料を決めているため、どの保険会社で加入しても補償内容と保険料は変わりません。

また最初に火災保険を契約する時に同時に加入することはもちろん、途中から加入することも出来るのが地震保険の特徴です。1年~5年更新という短期間での契約になっています。

地震保険の目的

地震保険の対象は「建物」と「家財」ですが、被害を受けた建物を元通りに修理するためのものとは違います。一番の目的は「被災した後の生活再建と安定」です。保険金は建物や家財の修復や購入に充てるだけではなく、住宅ローンの返済に充てることも可能です。もしも自宅に住めない状況ならば一定期間ホテルに滞在したり、賃貸住宅で仮住まいすることになるかもしれません。家賃と住宅ローンの二重払いになる時には保険金があると非常に助かります。

地震保険はどれだけ付けられる?

地震保険は「建物」と「家財」の対象ごとに契約します。さらに補償金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、建物は5000万円まで、家財は1000万円までと上限額が決まっています。つまり契約する火災保険の金額に基づくという事です。

しかし実際に地震で損害を受けた場合、地震保険で設定した保険金額が必ずしも全額支払われるわけではありません。保険会社に連絡すると、鑑定人等による調査が建物・家財ごとに行われ、損害の大きさによって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に判定されます。(2017年1月1日より、「全損」「半損」「一部損」の3段階から改正されました。)

★建物の規準

【全 損】地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合

【大半損】地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合

【小半損】地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合

【一部損】地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合

★家財の規準

【全 損】地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合

【大半損】地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合

【小半損】地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上 60%未満となった場合

【一部損】地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合

マンションの場合は、管理組合で加入している保険の「共用部分の判定」が基本となります。(個人で加入するのはあくまで専有部分となります。)柱、梁、外壁などの主要構造部分の被害の大きさに準じて、専有部分が判定されます。

家財は、「食器陶器類」「電気器具類」「家具類」「身の回り品その他」「衣類寝具類」の5つに分類し、主要な家財がどれだけ壊れているかで判定されます。

特にマンションの上層階では揺れが激しく、建物が倒壊しなくても家財が被害を受けることが多いので、しっかりと検討することをお勧めします。