元利金等と元金均等−返済方法の違い−

不動産コラム

住宅ローンには「元利均等」と「元金均等」の2種類の返済方法があることをご存知ですか?

どちらかを選択できる商品もあれば、金融機関によっては「元利均等」しかない場合もあります。住宅ローンのシミュレーションをする時や資金計画を立てる際に、何気なく「元利均等」を選んでいる人もいるでしょう。

今回は「元利均等」と「元金均等」の違い、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

返済金額の内訳

住宅ローンのシミュレーションをすると、みなさん「毎月の返済金額はいくらになるか?」ということに注目します。
しかし、その返済金額の内訳がどうなっているか?ということを気にする人はあまりいません。

住宅ローンは、借入れした金額に利息(金利)を上乗せして返済していく仕組になっていますので、毎月の返済金額は「元金+利息」の合計金額となります。(元金とは、元々借入れした金額を言います。)

元利均等返済と元金均等返済では、この元金と利息の割合が異なってくるため、毎月返済額や総返済額も変わってきます。
返済方法による違いを知り、よりライフプランに沿った選択をしていきましょう。

「元利均等」返済とは?

元利均等とは、毎月の返済金額がずっと一定になるよう、つまり元金と元利を合わせて均等に支払う方法です。

元利均等返済の一番のメリットは、支払額が変わらないことで家計の管理がしやすくなることです。金利のタイプがフラット35のように全期間固定であれば、最初から最後まで最大35年間支払額が変わる心配がありません。変動タイプの場合は通常年2回金利は見直しされますが5年間返済金額は据え置きになることがほとんどです。その期間は返済金額が一定ということになります。

子育て世代など、教育費が沢山必要となる時期が予想できる世帯などには有効な返済方法です。

また、元利均等返済では毎回の「元金」と「利息」の内訳が変化します。最初のうちは利息が占める割合が多く、返済回数が進むにつれて減少していきます。反対に、最初のうちは元金の割合が少なく、だんだんと増額していきます。

「元利均等では最初、利息ばっかり支払っている。」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは仕組上仕方のないことなのです。返済が始まって10年後に残高を確認してみると、「思ったよりも借金が減っていない⁈」と感じることも少なくありません。

この元金の減り方が遅いことが、元利均等のデメリットとも言えます。また、最終的に支払った金額の総合計である「総返済額」は、元金均等よりも多くなってしまいます。

「元金均等」返済とは?

一方、元金均等はまず借入れした元金そのものを返済回数(支払い年数×12)で均等に割ります。そして毎回残っている元金に応じた利息を上乗せして支払う方法です。元金が一定の割合で減少していくため、それに対する利息も毎回減少していきます。

毎回の返済金額は右肩下がりとなるのですが、初回の返済額が元利均等より高くなります。そのため、宅ローンの審査をする際には元利均等返済よりも元金均等返済の方が厳しくなります。デメリットはこの点ですが、総返済額が元利均等よりも少なくなること、元金の減少が一定であることがメリットと言えます。

同じ金額を借入れした場合の比較

例えば3,000万円を35年で借入れし、金利1.3%(全期間固定)でし払う場合、元利均等と元金均等ではどのような差が出るかをシミュレーションしてみましょう。

【元利均等】
毎月返済額:88,944円 年間済額:1,067,328円
総返済額:37,356,564 円

【元金均等】
初回返済額:103,928円  当初年間返済額:1,242,023 円 
総返済額:36,841,095 円

元金均等返済は毎回返済額が減少していくため、初回返済額で比較しています。月約1万5千円の差は大きいと言えます。

総返済額で比較すると515,469円となります。思ったよりも少なく感じるかもしれませんが、これは低金利時代の恩恵です。金利が2%、3%と大きくなるとその差はもっと顕著になっていきます。

ちなみに、元金金等の支払額が元利均等返済に追い付くのは16年に入ってからです。これ以降元金均等の方が支払い金額が少なくなるゾーンに入って行きます。また、その時点でのローン残高を比較してみると約80万円ほど元利金等返済の方が元金が少なくなっています。

また、あまり知られていませんがフラット35では当初元利均等返済で契約していても、途中で元金均等返済に変更することが可能です。もちろん、その時点で収入審査などが必要ですがある程度残高が少なくなった時点で変更すれば、より有利に返済を続けることが出来ます。