マイホームを売却した時の諸費用−売れたらいくら必要?−

不動産コラム

マイホームを買う時には、その物件の価格以外にも諸費用と呼ばれるお金が必要です。住宅ローンを借りる場合には金融機関に支払う手数料や保証料など、登記費用や火災保険料、マンションの場合には修繕積立基金・・・資金計画書を作ってもらうと「こんなにかかるの?」と感じることもあるでしょう。相場は価格の3%~9%前後と物件によって幅がありますが、100万円単位でお金が必要になるというイメージです。一方で、マイホームを売却する時には諸費用はかかるのでしょうか?かかるとするならば、どのくらい必要なのでしょうか。

売却できたら「仲介手数料」が必要

マイホームを売る時、ほとんどの人が不動産会社に売却を依頼します。「私の不動産を売ってください」という契約が「媒介契約」です。(媒介契約には3種類あります。詳しくはリンク先をご参照ください。)この契約に基づいて、あなたのマイホームが無事売却できたら、不動産会社に対して「仲介手数料」を支払います。いわゆる「成功報酬」です。

仲介手数料の支払い時期は、一般的には「売買契約成立時」つまり、「マイホームを売る契約を結んだ時」に半額。そして残りの半額は「物件引渡し時」つまり、「マイホームを明け渡す時」です。(全額を物件引渡し時とする場合もまれにあります。)

仲介手数料を物件の売買契約成立以前に請求することは、宅建業法違反となります。もしも契約以前に「初期費用だ」「案内料として◯%必要」などと請求されても、支払う必要はありません。

なお、仲介手数料の金額も法律で上限が定められています。

現在の法律では「成約価格×3%+6万円」(消費税別)という計算式で算出されます。例えば、あなたの不動産が3000万円で売却できた場合、

     3000万円×3%+6万円=96万円(税別)

が仲介手数料となります。高く売却することができれば、それだけ手数料も掛かるわけですね。

売買契約書に貼る「印紙代」

無事に売却が成立すると、あなたのマイホームを買ってくれる人と「売買契約書」を交わします。この契約書には「収入印紙」を貼って印紙税を納税する必要があります。収入印紙の値段は、売買価格によって以下のように区分されています。

不動産譲渡契約書(売買契約書)の印紙税

(※2022年3月31日までに作成される契約書の場合)

契約書記載の契約金額 100万円超500万円以下・・・1000円

           500万円超1000万円以下・・・5000円

          1000万年超5000万円以下・・・1万円

            5000万円超1億円以下・・・3万円

              1億円超5億円以下・・・6万円

契約書を2通作成して売主買主双方で保管するため、それぞれ1通分を負担するのが慣習です。ちなみに、不動産会社と結ぶ「媒介契約書」には印紙代は必要ありません。

住宅ローンを完済したら必ず「抵当権抹消登記」

あなたのマイホームに住宅ローンが残っていた場合、売却と同時に一括完済します。その後、物件に登記されていた「抵当権」を抹消する手続きが必要となります。次の買主が住宅ローンを組んであなたのマイホームを購入する際、その金融機関が新たに抵当権を第1位で登記する必要があるからです。売却と同時に、権利関係も精算するということになります。あなたから新しい買主への「所有権移転登記」(名義人を変更する登記)に必要な費用は買主が負担しますので、抵当権抹消費用のみ必要となります。

その際に必要なのは「登録免許税」という税金で、不動産1筆につき1000円です。戸建てで土地と建物の場合は2000円となります。なお登記に関することなので司法書士に依頼すると、別途報酬が必要となります。相場としては2~3万円といったところです。

お金を借りる時は「抵当権設定登記」をしますが、これは大きなお金が動きますし間違いがあってならないため(売買契約に直接影響する)必ず司法書士に依頼するのが通常です。しかし、抵当権抹消登記は司法書士に依頼しなくても手続きが可能です。最近はインターネット上で「登記申請書」のフォーマットが入手出来るため、自分自身で手続きする人も多いようです。もし間違いがあれば、窓口で指摘してもらえますので2~3回通う覚悟で挑戦してもいいかもしれません。

その他に必要な費用

この他に、必要に応じてかかる以下のような費用もあります。

・廃棄物の処分費……………10万円~50万円程度

・敷地の測量費………………50万円~80万円程度

・建物の解体費………………100万円~300万円程度

・ハウスクリーニング費……5万円~15万円程度

一般的な相場と考えて下さい。

仮住まいが必要な場合は引越し代は2回分

あなた自身もマイホームから新居に引っ越すことになりますが、契約によっては新居への入居まで時間がかかるケースがあります。例えば、引越し先が新築マンションで完成時期まで時間がある、など。この場合には「仮住まい」と呼ばれる一時的な滞在先が必要となります。その物件が賃貸であればその期間の家賃や初期費用、そして引っ越しも2回となるのでその分費用が嵩みます。