50代からの住宅ローン−審査の条件はどう変わる?−

不動産コラム

マイホームを購入しようと思い立つタイミングは人それぞれですが、住宅ローンを借り入れして購入する場合は、どの年代でも条件が同じかと言えばそうではありません。

住宅ローンの審査では、年齢、収入などの条件の他に「完済年齢○歳」という期限があります。一般的に最長の借り入れ年数は35年ですが、ほとんどの銀行では完済年齢80歳とされていますので、45歳を過ぎるとどんどん借り入れできる期間が短くなっていくのです。

こうした数字上の条件を満たしていることは大前提ですが、それ以外にも銀行が審査をする上で慎重に判断する内容があります。今回は50代の人が住宅ローンを借り入れする時の注意点をお話しします。

定年は何歳か?

会社員で給与をもらっている人であれば、60歳~65歳で一旦定年を迎えるのが通例です。それ以降は再雇用で働く人もいれば、完全に引退してしまう人もいるでしょう。

いわゆる「年金暮らし」の時期に入っていく訳です。となるとこれまでと同じ家計の収支とはならず、「減収」となる家庭が多くなります。

先程、「完済年齢」の条件があるとお話しましたが、さらに「定年まで何年か」ということも銀行は重要視します。例えば毎月10万円の返済計画だった場合、定年以降も変わらず支払いができる人なのか?という見方をするのです。

もしも、住宅ローンを借り入れしたのが50歳の時だった場合、最長で30年の借り入れは出来るけれど、定年までは10年~15年しかありません。

借り入れ当時に役職がついていて年収がしっかりある場合でも、「定年後はどうやって返済する計画ですか?」といったヒアリングが入るケースもあります。

この時に、例えば「しっかりと貯蓄がある」(定年年齢になった時の残高を一括返済できるくらいの金額)、「所有不動産が他にもあって、売却すればある程度の資金になる」などの背景があると有利になります。

「退職金で返済できる」という考えもありますが、老後の生活資金を確保する必要がありますので、退職金ばかりをあてにするのは少々危険です。

子供の教育資金のピークはいつか?

住宅ローンの申込書には、入居する家族の構成を記入する欄があります。子供がいる家庭の場合、子供の人数や年齢も少なからず関係してきます。

高校から大学進学~卒業までの期間が、教育資金のピークとなります。住宅ローンの支払いと重なる時期は注意が必要です。

年収に対して住宅ローンの支払いがどのくらいの割合を占めるかを表した数字を「返済負担率」と呼びます。各銀行では、概ね35%以内が審査基準となっています。ですが、実際に35%ギリギリまで借り入れをすると返済が追いつかず延滞につながるケースも多々あるのです。FP相談などをすると、推奨されるのは返済負担率20%~25%に抑えることのできる借り入れです。

「借り入れできる金額」と「返せる金額」は決して一致しません。「返せる金額」をベースに資金計画を立てることが重要です。

健康状態が大きなポイント

ご存知の通り、住宅ローンには「団体信用生命保険」の加入が必須となっています。これは住宅ローンを借り入れした本人にもしもの事があった場合、加入している生命保険で残りの住宅ローンを代わりに完済してくれる制度です。銀行はこの保険に加入できる人にしかお金を貸してくれません(一部、この保険に加入出来なくでも借り入れできる住宅ローンが存在しますが、もしもの時の備えは自分自身で準備しなくてはなりません。)

通常の生命保険に加入する時と同様、健康状態を告知して保険会社の審査を受けることになります。住宅ローンも各銀行でいろんな商品を出していますが、金利が横一線である現状、生命保険の商品内容で差別化を図る動きが活発になっています。

「ガンと診断されたら住宅ローンが0円」「治療費が下りる」「ガン以外の○大疾病にも対応」といった具合です。

一般的に40代半ばを過ぎるといろんな病気にかかるリスクも高くなります。現在、何らかの疾患で病院にかかっていたり、日常的に投薬治療などをしている場合、団体信用生命保険に加入出来ないこともあるのです。

また、ガン特約が付いている生命保険は加入できる年齢制限が設けられていることがあります。その年齢が大体、50歳のラインであるケースが多いのです。

住宅ローンは早く借り入れすれば、当然終わりも早くやってきます。

若過ぎると審査に通りにくい現状もありますが、年齢が高すぎても条件が悪くなる場合があります。

無理のない資金計画で、マイホームを手に入れましょう。