「フラット35」ってどんなローン?

不動産コラム

「全期間固定の安心」というキャッチコピーでお馴染みの「フラット35」をご存知ですか?

この住宅ローンは、少し一般の住宅ローンと違いがあります。

住宅金融支援機構と民間金融機関の共同ローン

正式には「独立行政法人 住宅金融支援機構」という名称で、以前は「住宅金融公庫」という機関でした。全国で300以上の民間金融機関(銀行、信用金庫等)などが窓口となって取り扱っています。それ以外にも住宅ローン専門の会社、いわゆるモーゲージバンクも取り扱い窓口になっています。証券化事業によって長期固定金利を実現していますので、金利のベースになるのは10年国債の利率です。

実行金利は毎月支援機構が定める最低金利を保てば良く、各金融機関は自由に金利と手数料を決定できます。同じ商品なのに手数料に差があるので、利用者側は選択肢の幅が広がります。

銀行の住宅ローンとの大きな違い

まずは団体信用生命保険の加入要件です。
一般の住宅ローンでは「団体信用生命保険に加入出来る方」という必須条件があります。
健康状態の告知書を提出し、生命保険会社の審査で「謝絶」という回答が返ってくると融資を受けられません。

一方フラット35でも団信は原則加入ですが、万が一謝絶となった場合でも融資を受けることが出来るのです。金利に団信の保険料も含まれているので、団信不加入の場合は0.2%低い金利が適用されます。健康上の理由で、どうしても銀行の住宅ローンが通らない人にも、住宅購入のチャンスは残されているということです。ただし申込人に何かあった場合には、生命保険料が下りないので別の補填をしておく必要があります。(任意加入という表現をすることがあっても、加入しなくて良いという解釈ではありませんので、必ず何らかの備えをしておきましょう。)

二番目は「保証料」です。

銀行で住宅ローンを申し込むと、必ず「保証会社」が存在し「保証料」という名目のお金が必要となります。フラット35では、この保証料が必要ありません。数十万円という費用で、借入額が多ければ多いほど負担が大きくなるこの保証料が不要であれば、自己資金の節約になります。

また、銀行住宅ローンでは「連帯保証人」が必要となる場合がありますが、フラット35では「連帯保証人」も存在しません。(収入合算をした場合などには「連帯債務者」となります。)

審査基準はどうなる?

では審査基準についてはどうでしょうか。

「利用出来る方」という欄には「申込時の年齢が70歳未満の方」「安定した収入がある方」という記載になっています。

銀行の住宅ローンでよく見る「年収○万円以上」「勤続年数○年以上」という明確なボーダーラインは明記されていませんが、フラット35では転就職したばかりの人であっても何ヶ月分か給与をもらっていれば申し込みできます。
返済負担率が税込年収400万円未満ならば30%以内、400万円以上で35%以内という基準に当てはまれば審査可能です。

なんとなく借り易そうなイメージですが、収入の「安定性と継続性」を重視して審査するのは銀行と同様です。信用情報についての調査ももちろんしています。

一般的に審査が通りにくいと言われる自営業者の方は、フラット35は利用しやすいとも言われています。

融資対象になる住宅の条件

フラット35では、購入する住宅そのものへの条件がいくつかあります。

まず床面積はマンションで30㎡以上、一戸建てで70㎡以上。ワンルームなどの投資用不動産には利用出来ませんが、セカンドハウスには利用出来ます。
また、住宅の耐久性などについての技術要件に適合している必要があります。
最終的に「適合証明書」という書類がないと資金が実行されないので、必要な検査を受ける必要があります。フラット登録マンションであれば、販売する事業者の方で段取りをしているので安心です。

さらにフラット35の条件に加えて、⑴バリアフリー性⑵省エネルギー性⑶耐震性⑷耐久性・可変性のいずれかの一定条件を満たす住宅であれば、0.25%の金利引き下げがある「フラット35S」(当初5年間適用の「金利Bプラン」、当初10年適用の「金利Aプラン」)を利用出来ます。

品質の良い住宅を取得する人には、固定金利+金利優遇で応援してくれる融資なのです。

子育て世代への支援

さらに提携している全国の地方公共団体では、補助金制度と合わせて当初5年間の金利が引き下げられる「フラット35子育て支援型」を利用できます。親との同居や近居など、それぞれの地方公共団体によって定められている要件を満たすことが大前提です。先程のフラット35Sとの併用も可能なので、最大当初5年間は0.5%金利優遇となるケースもあります。

全期間固定金利を選択すると、最終回まで支払額が確定します。住宅費の支出が分かっているのは非常に安心感があります。家計は断然管理しやすくなりますし、将来の金利変動にやきもきすることもありません。低金利時代だからこそ、固定金利にも目を向けてみて下さい。