横長リビングと縦長リビング、どちらが住みやすい?

不動産コラム

マンションのスタンダードな間取りとして、横長リビングと縦長リビングがあるのをご存知ですか?間取り図を何度も見たことがある方にとっては想像がつきやすいかもしれんが、メインのバルコニーに面しているのがリビングとダイニングであるか、リビングと居室であるかの違いです。

よく「どちらが住みやすいか?」という質問をいただくのですが、今回は明るさや開放感と言った部分以外にも、将来的に使いやすい間取りかどうか?という観点で比較してみたいと思います。

横長リビングのメリット・デメリット

横長リビングの間取りでは、リビングとダイニングはそれぞれバルコニーに面して横に並んで設けられており、リビングの奥に洋室または和室、ダイニングの奥にキッチンがあります。

【メリット】

・バルコニーに面してワイドなハイサッシを設置出来る

・明るくて開放的なリビングダイニングになる

・リビングとダイニングのスペースを分けやすい

・キッチンもバルコニーに近く、明るい

・リビング奥の部屋が和室の場合、襖を開けっ放しにすると広く利用出来る

【デメリット】

・リビング奥の居室には窓がないケースがほとんど。場合によってはエアコンがつけられないことがある。

・リビングダイニングは窓に面している面積が多いため、壁面積が少なく家具配置がしにくい

・広さにもよるが、ダイニングスペースが狭くなる間取りもある

縦長リビングのメリット・デメリット

リビングのみバルコニーに面し、そのリビングの奥にダイニング、さらにその奥にキッチンが配された間取りを「縦長リビング」と呼んでいます

【メリット】

・バルコニーに面している居室には通風・彩光が取りやすく、個室として利用しやすい

・バルコニーに面している居室の間仕切りが襖や引き戸の場合、開けっ放しにすると一体スペースとして開放感がある

・リビングダイニングには壁面積が多く取れ、家具配置がしやすい

【デメリット】

・ダイニングとキッチンが奥まったところにあるので暗くなりがち

・ダイニングとリビングの境界が曖昧で、区別しにくい

・バルコニーに面しているのが和室だった場合、畳が日焼けしやすい

どちらのタイプでもメリットデメリットはありますが、ここで家族の成長とともにで居室の使い方がどう変化するかを考えてみましょう。

大人2人+子供2人の4人家族が3LDKに暮らす場合

子供の成長に伴って、部屋の使い方は変化していきます。幼児期、就学期、思春期というように、時期に合わせて個室を与えるかどうかがポイントになります。

ここで、子供と一緒に暮らすのは何年間になるかを考えてみましょう。小学校入学を機にマンションを購入した場合、大学進学をきっかけに県外などへ出てしまったのなら一緒に暮らす時間は10年間です。大学卒業を機に独立した場合は14年です。2番目の子供も遅れて何年か後に独立した後は、夫婦2人暮らしに、さらにその後どちらかが先に他界してしまうと最後は1人暮らしになります。

年齢差によりますが、子供1人ずつに個室を与える場合、2部屋必要な時期は何年になるか考えてみて下さい。実は小学校の時期は子供はリビングで宿題や勉強をする事が多く、寝るときだけ個室を使うのが主流です。低学年時代はまだまだ親と一緒に寝起きする子も多いので、本当に個室が必要となるのはかなり大きくなってからになりそうです。

要はこの子供に2部屋必要となる時期に、3つ目の居室を親がどう使うかが鍵となるのです。

和室があるタイプの3LDKの場合、両親の寝室になるのは和室になるケースが多いでしょう。

寝るためだけの利用であればそんなに問題ではないかもしれませんが、朝起きれば着替えもしますし仕事をする事もあるでしょう。

横長リビングの場合、和室は2方向に渡って襖が設置されることが多いです。開け放してリビングダイニングと繋げた空間としては使いやすかったかもしれませんが、独立した部屋としては少々使いにくいかもしません。

一方、縦長リビングの場合はバルコニーに面した部屋は元々独立した居室であるケースが多いので、一部屋として使いやすでしょう。では、子供が家から独立してしまいそんなに部屋数が必要でなくなった時期にどうででょうか。

縦長リビングの場合には、居室との間にある間仕切りを撤去して、横長リビングと同じような使い方にリフォームするケースもよくあります。晩年に家で過ごす時間が多くなれば、やはり明るくて広々としたリビングダイニングは気持ちが良いものです。

この場合、壁を撤去したことで天井に大きな梁が出現してしまうことがあります。図面でチェックして「こんなはずではなかった」とならないよう、出来上がりを確認して着工して下さい。

子供の成長と家族構成の変化にどう対応していくか。一時期だけの使いやすさではなく、順応性が高い間取りを選ぶ事、そして一番しわ寄せが来る時期に「誰が何を我慢するのか」を明確にしておけば、あなたにぴったりな間取りが見つかると思います。