投資用マンションを購入する際の注意点

不動産コラム

預金の利率が低い時代が長く続く昨今、「不動産投資」を始める人も少なくありません。一言で「不動産投資」といっても、さまざまな方法があります。オフィスやテナントビルを所有してテナント料を得る大規模なものから、最近ではシェアハウスや民泊、コインパーキングやトランクルームの運営もあります。我々に一番身近なのはアパートやマンション、戸建てなどを所有して賃貸にまわす方法です。

投資用マンションとは

本業とは別に始めやすい不動産投資として、分譲マンションや投資用マンションの一室、アパート1棟などをを購入して賃貸経営する方法があります。特にコンパクトな1R~1LDKなどのマンションは、立地が良ければ非常にニーズが高く、借り手が付きやすので収益が見込めます。また、転勤族が多い地方都市などでは2LDK~3LDKのファミリータイプでも賃貸として需要が多いのも事実です。

こうした不動産投資には「運用益」と「売却益」2種類があります。

・運用益

毎月入ってくる賃料から得られる利益をいいます。家賃収入から、固定資産税などの税金、マンションの管理費・修繕積立金、管理会社に管理を委託している場合には管理料、ローンを借入している場合にはその返済を差し引いた金額が実際に手にする金額となります。

・売却益

将来、その不動産を売却して得られる利益をいいます。購入した時よりも高値で売れれば利益が出ます。売却時にローンが残っている場合は、一括返済した残りが手元に残ります。物件やその時の経済情勢に左右される不確定な部分があります。

投資用マンションに住宅ローンは使えない

当初から「投資に回す目的」でマンションを購入する場合には、通常の住宅ローンは利用できません。住宅ローンは「自分が住むための住居を購入するための借入れ」と定義されているからです。ほとんどの金融機関では、住宅ローンと投資用住宅ローンを区別しています。

投資用マンションを購入する際に利用できるのは、アパートローン(各金融機関で名称は異なります)という通常の住宅ローンよりも金利が高いものになります。最近は一昔前よりも安くなったとはいえ、金利は2%~3%台のものが多いようです。

住宅ローンとアパートローンを比較してみると次のようになります。

例)3000万円借入 35年返済ボーナス支払いなし ※金利変動しないものとする


住宅ローン アパートローンA アパートローンB
金 利 0.5% 2% 3%
毎月返済額 77,875円 107,248円 123,987円
年間返済額 934,500円 1,286,976円 1,487,844円
支払い総利息 約271万円 約1500万円 約2200万円

低金利になったとはいえやはり住宅ローンと比較すると支払額はかなり多くなります。持ち出しせずに支払いできるだけの賃料が得られるか、資金計画とともに物件選びが重要となってきます。

住宅ローン控除は使える?

ローンを借りてマンションを購入すると所得税などが減税される住宅ローン控除がありますが、当然ながらアパートローンは対象外です。この税制優遇は「自己居住用」であることが利用要件となっていますので、投資用マンションを購入してアパートローンを借りた場合には、税金の還付はありません。

住宅ローン控除を利用したいがために、住宅ローンを投資用マンション購入に利用するのは認められません。また、一時的に住民票を購入物件に移動して自己居住用に見せかけることはお勧めできません。一時期フラット35 の不正利用としてニュースにもなりましたが、判明した際には一括返済を求められるなど厳しい措置を取られます。

住宅ローンとの併用はできる?

現在、マイホームの住宅ローンを返済中の人はアパートローンを借入できるでしょうか。

住宅ローンを借り入れる際には、年収や返済中の他のローンの金額などから借りる人の返済能力を判断されて、融資の可否が決まります。一方アパートローンの場合、審査されるのは物件です。その物件を担保とするとどれくらい融資ができるかという担保価値、予測できる不動産収入、借りる人の返済能力などから総合的に判断されます。ですから、住宅ローン返済中であっても、物件や借りる人の返済能力如何によっては、アパートローンを借入れれできる可能性はあります。

逆に、アパートローンを返済中の人がマイホーム用のマンションを購入しようとした時はどうでしょう。この場合、アパートローンは「既存の借入」として返済金額に算入されます。まだアパートローンの残高が沢山あると、かなり返済を圧迫するため借りたい金額に届かないことがほとんどです。いざ自分のためのマンションを購入しようとした時にうまく行かない危険性があります。(フラット35では登記が「共同住宅」であるアパートローンは、審査時に不参入の措置が取られます。)

投資用マンションを購入する場合には将来のマイホーム計画も念頭に置きましょう。