住宅ローン控除のお得期間が終わる⁈−拡充ポイントをおさらい−

不動産コラム

マイホーム購入のために金融機関から借入をした場合(住宅ローンを組んだ場合)、年末の借り入れ残高に応じて一定額が所得金額から控除されるのが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。

マイホーム購入においては目玉となる税制優遇ですが、消費税が10%に増税された際には3年延長されたニュースがありました。実はその後も制度内容が拡充されたり、期間が延長されたりとお得な状況が続いています。最新の令和3年度税制改正ポイントも含め、住宅ローン控除のポイントをおさらいしておきましょう。

まずは住宅ローン控除の「原則」を確認

個人がマイホームを取得しその後6ヶ月以内に入居した場合、返済期間10年以上の住宅ローンがある等の一定の要件を満たす時は、住居年から10年間各年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定額を所得税から控除できます。

適用要件は以下の通りです。

対象となるローンは

  • 住宅とその敷地の取得のための借入金であること。
  • 返済期間10年以上の借入金があること。
  • 一定の借入金融機関(①銀行②住宅金融支援機構③信用金庫・信用組合・農協④各種公務員共済組合⑤地方公共団体⑥勤務先(年利0.2%以上))からの借入であること。
  • 住宅の要件は、床面積(※登記面積)50㎡以上、50%以上は居住用であること。
  • 入居期限は、取得後6ヶ月以内に入居し、入居後引き続き住んでいること。一時的に住民票だけ移転することは認められません。
  • 適用期限は、令和3年(2021年)12月31日までの入居です。
  • 所得制限は、合計所得金額3000万円以下の年のみ適用となります。

控除額は(一般の住宅を新築中古問わず事業者から購入した場合)、年末ローン残高(上限4000万円)の1% 10年間で最大40万円×10年=400万円となります。

新築の認定住宅の場合は上限が5000万円まで上がり、10年間で最大50万円×10年=500万円となります。

住民票の移動ではなく入居年が適用開始年となりますが、は初回となる入居した翌年のみ「確定申告」が必要になります。税金の還付申告となるため、1月1日から確定申告書の提出が可能になります。

注意点は、住宅の買替えで購入する場合です。その年と前2年間、あと3年間の合計6年間に、旧居の売却で3,000万円特別控除など売却の特例を使っている場合は、新居で住宅ローン控除は併用できないことです。

現状で下記の条件を充たすとき、この原則に該当します。

①令和2年11月末までに売買契約締結

②令和3年1月から12月までに居住開始

③新型コロナウイルスによる影響で入居が遅れていない

消費税増税に伴う改正

平成31年度税制改正により、住宅ローン控除を適用できる場合に次のいずれにも該当すると、住宅ローン控除の控除期間が「3年間延長」されることとなりました。

  • 消費税10%で住宅を購入した場合
  • 令和元年(2019年)10月1日から令和2年(2020年)12月31日までの間に入居した場合

消費税が2%アップした部分を、3年の延長期間で吸収してしまおうという施策でした。

控除額の計算も1年目~10年目までは原則通り、11年目~13年目は次のいずれか小さい額となります。

①年末残高(4000万円上限)×1%

②税抜建物購入価格(4000万円上限)×2%÷3

※認定住宅の場合は5000万円上限

新型コロナウイルスによる弾力化措置

昨今の新型コロナウイルス感染症や蔓延防止のための措置の影響により、その期限内に入居することが出来ないケースが続出しました。ですが次の要件を充たし、令和3年(2021年)12月31日までに入居すれば、同じく3年間延長となります。

  • 住宅ローン控除の要件(原則)を充たしていること
  • 住宅の新築等をする場合には令和2年(2020年)9月末までに請負契約が締結されていること
  • 分譲住宅を取得する場合には令和2年(2020年)11が馬でに契約が締結されていること
  • 新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止のための措置の影響によって、分譲住宅等への入居が遅れたこと

あくまでコロナによる遅延が理由となっていることが必要です。

令和3年度税制改正

最新の税制改正において、住宅ローン控除の控除期間を3年間延長して受けることが出来る要件が追加されました。

①消費税10%の住宅に該当

②令和2年(2020年)12月1日から令和3年(2021年)11月30日までの間に売買契約締結

③令和3年(2021年)1月1日から令和4年(2022年)12月31日までの間に入居

さらに、上記条件を充たす場合には40㎡以上50㎡未満の物件も対象となることが追加されました。この追加により、1LDKなどの小さめの物件でもローン控除を受けることが可能となりました。ただし、「合計所得金額が1000万円以下の年に限る」という条件も追加されているので、注意が必要です。

このように、住宅ローン控除はいくつかの改正を経ています。令和3年の改正では、契約期限が11月末までと迫ってきました。来年以降は、控除額が縮小される話も出ています。マイホーム購入を迷っている人は、11月末期限を意識して物件選びをすると住宅ローン控除を最大限利用できますよ。