正しく「資金計画」を理解していますか?失敗しないマイホーム購入のポイント

不動産コラム

マイホームを購入する時に絶対避けて通れないのが「資金」の話。お金のことが解決しないと、マイホームの夢は叶いません。いったいいくらの物件が買えるのか、数十年にわたる住宅ローンをきちんと返済できるのか、マイホーム購入で失敗や後悔をしないためには最初の「資金計画」が非常に重要です。ここで混同しがちなのが「資金計画」と「資金計算」です。似たような言葉ですが、実は全く意味が違うのです。今回は失敗しない「資金計画」のコツをお話しします。

「資金計算」とは?

不動産会社やモデルルームへ出向くと、住宅ローンをいくら借入して、毎月の支払額はいくらで・・・という計算書を作成してくれます。書類のタイトルが「資金計画書」だったり「資金計算書」だったり、統一されていなのも事実です。この「住宅ローンの返済シミュレーション=資金計画」だと勘違いしていると、大問題です。

まず「資金計算」とは、「マイホーム購入に必要なトータルの資金」を計算することです。

マイホーム購入のためには、その物件の価格だけでなく諸費用が別途必要です。3,000万円の中古マンションを購入する場合、仲介手数料等含め約1割の300万円くらいだと言われています。また、マンションであれば入居後には毎月管理費や修繕積立金などのランニングコストがかかります。しかもその金額は数年ごとに上がっていくことも念頭に置いておかなければなりません。さらに不動産を所有すれば、固定資産税・都市計画税が毎年課税されます。このようにマイホームを購入した時だけでなく、将来発生する住宅費用計算する必要があるのです。

「資金計画」とは?

一方で「資金計画」とはもっと中長期的な意味合いになります。上記の「資金計算」も含め、今後の収入と支出のバランスを見極めて適切な購入予算を決めます。そして、その支払い計画と返済計画を立てることが「資金計画」なのです。ですから「毎月の支払金額が〇万円ならOK!」だったら資金計画はバッチリ!ではないのです。

資金計画は、まず頭金をいくら用意し手足りない分を住宅ローンで借入するという「資金を調達する」ことから始まります。そのために最初に行うのが「自己資金の集計」です。手持ちの現金、預貯金、定期預金、有価証券などを集計します。また、親や祖父母から資金の援助が受けられるかも確認しておきましょう。(贈与税は非課税枠などの優遇があるので、必要であれば税務署等への確認も必要です。)集められる手持ち金は、すべてをマイホーム購入に充ててしまうのはお勧めできません。将来の起こりうる事態、不測の事態に備えていくらか残しておくことを考えなくてはいけません。

次にマイホーム購入にかかる諸費用分を確保します。新築物件か中古物件かによっても諸費用の内容が異なりますが、購入物件の8%から10%を目安にしておきましょう。

また、最近では諸費用部分も住宅ローンで貸してくれる銀行が増えました。特に自己資金がまだ十分に準備できない若い人、教育資金がんピークを迎えている世代などには利用する人が多いようです。住宅ローンがいくら借入できるかも含めて、購入物件の予算を検討しなくてはいけません。ですが、ここで重要なポイントは「いくら借りられるか」ではなく、「この金額を支払い続けられるか」です。

低金利時代の昨今、借入金額に対して上乗せされる金利が少額なために「こんなに借りても以外と安い」と感じる風潮にあります。審査時には税込み年収を基準としますが、ローン破綻を防ぐためには給与の「手取り金額」で支払える範囲かどうかで判断しましょう。「頭金として使える金額」+「無理なく支払える住宅ローンの借入額」が、購入可能なマイホームの金額となります。

最も重要なのが「返済計画」

資金計画の中で最も重要なのが「返済計画」です。住宅ローンを借りたのならば、当然全額返済が最終目標です。多くの方が30年、35年といった長期間での借り入れとなりますが、大事なのは借りるときよりも「無理なく完済すること」です。

ポイントは、家族が増える、子供の就学・進学、自身の老後生活など、マイホーム購入後のライフイベントを考慮して返済計画を立てることです。

例えば、

・繰り上げ返済計画

・修繕、リフォーム計画

・子供の教育費の支払い計画

・老後の生活費の計画

・固定資産税、都市計画税の納税計画

これらのためにどう貯蓄していくのかがキーポイントとなります。こうしたライフプランをベースにした計画は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも一つです。

マイホームは買って終わりではありません。むしろ買った後の計画の方が重要とも言えます。夢のマイホームをローン破綻や老後破綻で手放さなくて済むよう、正しく「資金計画」を行いましょう。