借入期間40年の住宅ローン–超長期ローンのメリット・デメリット−

不動産コラム

住宅ローンと言えば「最長35年借入れ」がスタンダードでしたが、最近ではさらに5年延長した「40年ローン」(最長50年)があることをご存知ですか?実は2009年に住宅金融支援機構が「フラット50」(借入期間50年)を始めたのをきっかけに、超長期の住宅ローンを取り扱っている銀行が出てきています。これは、住宅そのものの機能が格段に良くなってきたことが背景にあります。

今回は、「借入期間40年以上」の住宅ローンのメリット・デメリットについてお話します。

借入期間が5年違うとどうなる?

まずは、これまで通り借入期間を35年にした場合と40年にした場合で、どのくらい返済金額が変わるかを比べてみましょう。

借入金額:4000万円 全期間固定金利1.3% ボーナス払いなし

借入35年  118,593円/月
借入40年  106,913円/月

毎月の支払額の差は11,680円、年間で140,160円もの差になります。

5年支払い期間が延長されるということは、それだけ支払額が減額されるのでゆとりを持って返済することが可能になります。

40年返済のメリット

このように、同じ借入金額でも毎月の返済額を抑えることが可能になることが40年返済のメリットです。35年だと返済負担率がギリギリもしくはオーバーしてしまう人であれば、40年に延長することで規定の範囲に収めることが出来る場合もあります。車のローンなどがある人で一括完済できない場合に、40年で申し込むと審査を通過するケースもあります。

また40年返済にすることで借入金額を伸ばすことが出来れば、よりグレードアップした家を購入出来たり、家選びを妥協しなくて済みます。

40年返済のデメリット

ただし返済金額が安くなるからと言っても期間が5年延長されるわけですから、当然「支払い利息」はその期間分多くなります。住宅ローンは返済期間が長くなればなるほど、返済総額が大きくなってしまう特徴がありますので、支払い金額だけでなく総合的に比較検討する必要があります。

先程の例で支払い総額を比較してみましょう。

借入35年 49,809,060円
借入40年 51,318,240円

利息負担の差額は1,509,180円にもなります。

もちろん繰上げ返済を併用して借入期間を短縮していけば余計な利息は支払わなくて済むので、超長期で借入しておいて計画的に早く支払い終えるのもひとつですね。

誰もが40年借入れ出来るわけではない

当然ながら、40年借入が可能な人は限られています。住宅ローンには「完済年齢」という要件があります。金融機関によってこの完済年齢はばらつきがありますが、大体80歳前後が主流です。

例えば80歳完済の住宅ローンの場合、40年で借入できるのは39歳の人までということになります。残念ながら申し込み時年齢が40代以上の方は、基準を満たすことが出来ません。

つまり、20代~30代前半の人におすすめの借入期間と言えます。特に20代の若い世代であれば早く住宅ローンを始めれば定年までに完済することも可能ですし、持ち家になれば余計な住宅費の支出が無くなります。教育費などの出費がさかむ時期にも、無理のない返済が可能になります。

一方で40年という超長期での借入は、定年後も支払いが残っている可能性が大きくなります。老後の支払い計画に見通しがあり、また経済情勢の変化にも対応できる経済力が必要となってきます。ただ安いからという安易な考え方ではなく、将来を見据えた資金計画を立てましょう。

取り扱っている金融機関が少ない

40年以上という超長期の住宅ローンを取り扱っている金融機関は、残念ながらまだそう多くはありません。

フラット35 
福岡銀行
西日本シティ銀行
九州ろうきん
北九州銀行
中国銀行
トマト銀行
南都銀行
スルガ銀行
肥後銀行
熊本銀行
ろうきん

などです。

どちらかというと、都銀などよりも地域密着型の金融機関で取扱があるようです。あなたが希望する物件が、40年住宅ローンを取り扱っている金融機関の営業エリア内にあるかどうか事前に確認する必要があります。

さらに金融機関によって審査基準は異なります。例え40年返済で申し込みをしても、35年返済で返済負担率を満たしていることを必須としている場合もありますので、良く確認しましょう。

最後に、実は借入年数は1年刻みで申し込みすることが出来ます。35年、40年という区切りでなくても、36年、37年、38年といった借入期間も可能です。あなたの年齢と返済金額、ライフプランを総合的に見て資金計画を立てましょう。