タワーマンションのメリット・デメリット

不動産コラム

駅前の利便性が高い立地を活かしたタワーマンションの建設が増えています。通常のマンションに比べ、タワーマンションは中古になっても価値が下がりにくいと言われていますが、通常のマンションと比べてどんなメリットがあるのでしょうか。また、逆にデメリットはどんなものがあるでしょうか。

タワーマンションの定義

実は「タワーマンション」と呼ばれる建物の定義は明確には存在していません。しかし、タワーマンションには次のような目安があります。

「高さ60m以上が一つの基準となっており、階数では20階建て以上となる建物」

これは建築基準法上、60m以上の建物を「超高層建築」と呼んで区別しているためです。「超高層建築」には厳しい構造基準が設けられており、耐震性やエレベーターの安全性などにおいて高いレベルが求められています。さらに高さ100mを超えると非常用に屋上ヘリポートを設置する義務があります。

ですから地上45m10階建のマンションでも「タワー」という名称がついている場合もありますが、実際の建築方法や構造をきちんと確認する必要があります。

タワーマンションのメリット

総務省によると、建築基準法による『新耐震基準』を満たした建物の主体構造は、東日本大震災による被害がほとんどなかったそうです。タワーマンションでは、この建築基準より厳しい構造性能評価の取得が求められています。2017年4月以降は、震源から離れた地域に大きな揺れを引き起こす『長周期地震動』への対応も強化されました。最新のタワーマンションは震度6程度の地震では崩壊、倒壊しない「免震構造」や「制震構造」で建てられており、一般的なマンションの「耐震構造」よりも構造上はポイントが高いと言われています。

また当然ながら、高層階では遠くまで見渡すことのできる眺望の良さがあります。たとえ北向き住戸であっても十分に明るいですし、上層階ではカーテンをしなくても目線を気にすることなく生活できるメリットがあります。都心部で建物が密集しているエリアでは、眺望の良さは得難いポイントとなります。

タワーマンションでは住戸の数も多いため、共用施設が充実している点もメリットです。入居者専用のラウンジや、フィットネスルーム、パーティルーム、ゲストルームなど、利便性とステイタスを同時に叶える施設が多いのが特徴です。特に建物のエントランスにコンシェルジュが常駐しているマンションが多く、ホテル並みの便利なサービスを受けることが可能です。

ただし、これらの施設やサービスは入居者の「管理費・修繕積立金」で管理運営されていることを忘れてはいけません。自分たちがこれらの施設をどのくらいの頻度で利用するのか、対価に見合ったサービスを受けられるかを検証する必要はあります。

一方でセキュリティ面では、警備会社の機械警備が備え付けられていることに加え、夜間も警備員が常駐する24時間有人管理体制を取っているマンションが多いようです。防犯面や安全面でよりポイントが高いのも、タワーマンションならではのメリットです。

そしてこれらの共用部分や管理サービスについては、高層階であろうと低層階であろうと同じように恩恵を受けることが出来るのです。タワーマンションに住む場合に眺望はそれほど重要視せず、「少しでも価格が安く、非常時にも階段で登り降り可能な低層階をあえて選ぶ」という人もいます。

タワーマンションのデメリット

タワーマンションでは一般のマンションでは当たり前のものが無い場合もあります。その代表が「網戸」です。超高層建物では強風を受ける場合が多く、サッシに網戸が取り付けられていないことが多いのです。高層階では虫も少ないかもしれませんが、やはり季節によっては窓を開けたいこともあります。どうしても網戸を付けたい場合には、サッシの内側に取り付け可能なプリーツ式やロール式の網戸になるようです。

また、一般的には南向きの部屋が良いとされていますが、そもそもバルコニーがないダイレクトウインドウのタワーマンションもあります。夏には暑すぎると感じる人もいます。窓が開けられないことで息苦しく感じる人、高層階では微弱な揺れを感じる人もゼロではありません。

どの住まいにもメリットデメリットは存在しますが、タワーマンションが初めてで不安な人は一度賃貸でタワーマンションに住んでみることをお勧めします。利便性や居住性の高さだけでなく、デメリットも体験することで住まい選びを失敗しないようにしましょう。