九州電力は、家庭や小規模店舗向け料金プランの一部で、紙の検針票や振込票を10月検針分から有料化する。ペーパーレスを推進し、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するのが目的。これまで通り、紙の発行を希望する場合は料金に上乗せされるため、熊日の「SNSこちら編集局」(S編)には「実質的な値上げ」(熊本市の男性)との声も寄せられている。
10月以降、紙の発行手数料は「電気ご使用量のお知らせ」(検針票)と「口座振替結果のお知らせ」が1通各110円、「電気料金振込票」が220円。
紙が不要な場合は発行停止の手続きをする必要があり、「なるべく早い手続きをお願いしたい」と九電熊本支店。電話や専用サイトで受け付けている。
一方、九電はウェブ上で明細を確認できる無料サービスへの移行を勧めている。スマートフォンにショートメッセージで料金を通知し、電子決済やクレジットカードで決済できるようにする無料サービスも10月から始める予定だ。
同支店によると、書面の発行手数料が必要になるのは家庭など低圧向け「自由料金」の契約者で、九州全体で約100万件が該当する見込み。低圧向けでも、国の認可が必要な「規制料金」の契約者と、「自由料金」のうちウェブ明細サービスに移行した計約680万件は対象外だ。
ペーパーレス化の背景には世界的な脱炭素の潮流とインターネット環境の普及がある。検針票の郵送をやめた場合、1件当たり年間でA4判用紙25枚分、CO2換算で100グラムの削減効果があるという。
熊日が調べたところ、大手電力会社9社のうち、検針票の発行手数料がかからないのは九電を除くと、北海道電力のみ。東京電力などほかの7社は55~220円が必要で、新電力会社もENEOSなどは有料だ。
有料化が大勢を占めているとはいえ、ネット環境が整っていない利用者らには新たな負担となる。「コールセンターにも高齢の方から紙が確認しやすいといった声が寄せられている」と九電熊本支店。ただ環境保全を目的とした取り組みの一環として「ご理解いただきたい」と話している。
参照:熊本日日新聞(https://kumanichi.com/articles/790682)