独身女性が分譲マンションを購入するのは決して珍しくありません。近年、30代~40代の独身女性の購入が一般的になってきています。きっかけはやはり、「払い続けている家賃がもったいない」と感じることが一番で、特に高齢になるほど「もっと早く買っておけば良かった」と後悔してしまうようです。中でも都心や地方都市の中心部で暮らしている女性は、高い家賃を払い続けています。これまで支払ってきた家賃の総額を計算すると、余裕でマンション購入資金になる事実に気づくのです。
今回は独身女性が後悔しないマンション購入のポイントについてお話します。
「働き盛り=独身時代」こそ、購入のチャンス
「住まいの購入は結婚してからでいい」という考えは今でも一般的ではあります。しかし、本当にそうでしょうか。
女性は、結婚、出産、子育てなど男性に比べてライフステージの変化に左右されやすい現実があります。その分自分のために使えるお金や時間が制限され、資産形成のタイミングを逃してしまいがちです。家庭や子育てといったライフイベントに縛られることなく、自由に物件選びが出来る独身時代こそ、マンション購入の絶好のタイミングなのです。
また、「賃貸住宅の家賃=大家さんに払うお金」ですが、住宅ローンの返済金は自分の資産になるお金です。35年家賃を支払い続けた総額と、マンション購入の経費が同等になると考えると、支払うお金の質が全く異なってきます。どうせ同じ金額を払うなら、資産形成できるお金の使い方の方が有意義です。
資産性の高い物件を選ぶ
シングル女性が分譲マンションを購入するにあたって、一番のネックになるのが「将来への不安」です。前述のとおり、ライフステージが変化した場合にはそのマンションが住みにくくなる事態も想像できるからです。ですから、購入時にできるだけ「資産性の高い物件」を選ぶ目が必要になってきます。シングル女性にとって資産性の高い物件とは、「貸しやすく、売りやすい物件」です。
万が一の時に貸しやすく、売りやすいマンションとは「都心(都心直結)」「駅近」であることが必須です。さらに、選ぶ間取りやサイズは「コンパクト」であること。この3つが絶対条件です。
都心部は商業施設やオフィスが集中しており、将来的にも安定的なニーズがあります。都心部直結のターミナル駅でかつ徒歩10分圏内であれば生活利便施設も整っており、あらゆる年齢層の「住みたい人」が集中するのです。同じシングルやDINX層にとっては「都心直結×駅近」であることが重要な要素なので、マンションの資産性を長く維持することが出来るのです。
また、部屋のサイズ・間取りについては、「コンパクトサイズ」と呼ばれる30㎡~60㎡の1LDK~2LDKを選ぶとよいでしょう。最近では女性が暮らしやすい設備や間取りに特化したコンパクトマンションも発売されています。一方で、3LDKや4LDKの間取りもあるファミリー向けのマンションの中で、コンパクトサイズの部屋を選択するのも一つです。ファミリー向けのマンションやタワーマンションでは、共用部が充実しているというメリットがあります。ただし、その分管理費などに影響していることが多いので、自身がその施設を利用する頻度、重要度を考慮しましょう。
「リセールバリュー」こそが資産性の指標
「リセールバリュー(RV)」という言葉を聞いたことはありますか?一言で言うなら「そのマンションの再販価値」のことで、購入したマンションを売却したときの価値、資産価値を表す指標です。新築分譲時の価格を100とした場合に、中古でどれくらいの価格で売買されるかを示す割合で表されることが多いのですが、例えば、リセールバリューが120%であれば新築時の価格よりも20%高く売れる可能性がある、というように理解できます。リセールバリューが高いほど、将来的に高く売れる可能性が高まることになります。
マンション購入時には、誰もが「自分にとっての暮らしやすさ」を基準に物件を選びがちです。もちろん、自身の価値基準が重要ではありますが、シングル女性にとってはより「客観的な資産価値」を重視して物件を選ぶ必要があります。リセールバリューが高い物件を選んでおけば、将来売却することになった場合、その売却益で広い部屋などに住み替えが容易になります。
リセールバリューはやはり「駅近」のマンションが高くなります。徒歩5分以内であれば一番ですが、最低でも10分以内のマンションを選びましょう。
住宅ローンは無理のない範囲で
住宅ローンの支払いが不安という方も多いのが事実です。ただ、賃貸住まいでも「家賃」という住居費が発生するのは同じことです。住宅ローンの審査基準では返済負担率30%~35%が限度とされていますが、25%前後に押さえておけば無理のない支払が可能です。資金計画は「借りられる限度額」ではなく、「支払える限度額」を基準にしましょう。
また、団体信用生命保険に就業不能保険などが付いている場合もあります。団信保険の内容もよく吟味して住宅ローンを選びましょう。
住宅購入は、ライフプランそのものと言えます。自身の将来設計、お金、健康、働き方、さまざまなことを考えるきっかけとなります。迷ったときには、不動産会社、フィナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、後悔しないマンション選びをしましょう。