持ち家を買う?賃貸に住み続ける?ー住宅費から考えてみようー

不動産コラム

住宅購入に向けて動き始めた多くの人は一体どういうきっかけで「そろそろ持ち家を・・・」と考え始めるのでしょうか。

世の中の住宅は「持ち家」か「賃貸住宅」か、どちらかになります。

当たり前ですが賃貸住宅は「家賃」が必要になります。住宅にかかる費用は、毎月の収支の中でも大半を占める項目です。この「家賃がもったいない」と感じることが、「持ち家を買おう」という大きな動機付けになっています。もちろん、持ち家を購入した場合も住宅ローンを組めば、毎月お金が出続けることは変わりません。

このまま一生賃貸に住み続けるのか?

思い切って持ち家を買うか?

今回は賃貸と持ち家の比較をしてみます。

どちらにしても住宅費は必要

実際、親が所有している不動産でもない限り、住宅費が0円という生活をすることは不可能です。
他人が所有している不動産を賃貸し、家主さんへ賃料を支払う。
現在、あなたはいくら家賃を支払っていますか?
ある程度の広さがあり、利便性が良く、築浅の物件であればそれ相応の金額になります。
例えば月10万円の賃料を支払っていたとすれば、年間120万円の支出です。
家賃は永遠に同じ金額ではなく上がることもあります。
年間120万円という金額を10年支払えば1200万円、30年で3600万円にもなります。
そしてこのお金は捨てるのと同じ、その期間住むことが出来たという事実と引き換えになっただけです。
中には社宅があって、毎月安価で入居している方もいるでしょう。または、勤務先から家賃補助という形で個人の負担が少なくて済んでいる方もいるでしょう。
こうした勤務先の福利厚生も、打ち切られたり縮小されたりする可能性は0ではありません。

一方、持ち家を購入する場合。
ほとんどの人が住宅ローンを借入します。借りたお金は返さなくてはいけません。
家賃の代わりに、「ローンの支払い」という支出が始まります。どっちみち、住宅費の支出は続くのです。

しかし、住宅ローンには終わりがあります。借りたお金を全て完済してしまえば、それ以降支払いに追われることはありません。
ちなみに3000万円を30年(0.6%変動金利)で借り入れた場合、月々の支払額は91,078円。
そして総支払額(繰り上げ返済なしで最終回まで支払い続けた場合の総額)は約3,278万円です。
家賃10万円の賃貸に30年間住み続けた場合の総額を比べると、持ち家の方が安くなります。

持ち家は不動産ですから、「資産」になります。
いざとなれば、貸したり売ったりすることが出来るのが一番の強みです。自分達の代が終われば
、子供の世代に引き継ぐ事も出来る財産となります。

住宅ローンはひとつの保険

住宅ローンは借金だから、出来るだけしない方が良い。

そう考えている方は多いです。何千万円もの借金を抱えることに不安を感じるのは当たり前のことです。
ですが通常の借金と違い、住宅ローンについては少し別の視点があるのです。

それは「保険」を兼ねているという側面です。

住宅ローンを借入するには、通常、団体信用生命保険に加入します。借入する人に万が一の事があった場合、保険金で残っている住宅ローンを全て肩代わりし支払いが0円になるというシステムです。
もちろん、その保険料も毎月の支払いの中に含まれているのですが、実はこの生命保険が賃貸の場合には存在しません。別途加入している生命保険などで保障を考えておかなくてはならないのです。
しかも、ガン保障については多くの保険が50歳を境に加入出来なくなります。つまりある程度若い年齢の方が、様々な選択肢から保障を選ぶ事が出来るのです。

一家の大黒柱であるお父さんが元気で仕事に行ってくれていれば、社宅にも住める。賃貸住宅の家賃も支払い続ける事が出来ます。ですが、もしもの時にはどうしますか?社宅であれば、当然ながら退去を余儀なくされます。賃貸住宅も家賃の滞納をしない限りは住み続けることが出来るかもしれません。

実は、賃貸の場合と持ち家で住宅ローンを組んでいる場合、一番大きな差はこの「生命保険」なのです。
考え方を変えれば、賃貸に住み続ける事の方がリスキーだとも言えます。

いつかは持ち家を・・・と考えている皆さん。
いつ買いますか?
住宅ローンはなるべく早く支払いを始めれば、終わりも早くやって来ます。
相変わらず低金利時代は続いています。悩んでる間も、家賃の支払いは続いています。

とある銀行のデータでは、住宅ローンを完済する平均年数は21年だそうです。
多くの人が35年という最長期間で借入れしても、20年前後で退職金で一括返済したり、団体信用生命保険で弁済されたり、という結果なのです。

同じ支払うなら、いつかは自分の財産になるのが持ち家です。