育児休暇中でも住宅ローンは組める?

不動産コラム

子供が生まれたことをきっかけにもっと広い住まい・快適な住まいが欲しくなり、マイホーム購入を考える人はとても多いです。夫婦共働きの場合には、働いている妻の収入を合算したり、ペアローンを組む資金計画がスタンダードです。しかし妻が産前・産後の休暇や育児休暇中(産休・育休)の場合、住宅ローンは組めるのでしょうか?実は産休・育休中の住宅ローンにはいくつか注意点があります。

金融機関が心配していること

住宅ローンの審査基準において最も重要視されるのは、その人の年収の安定性と継続性です。女性が出産や育児のために休暇を取得していた場合には、「復職」がキーワードになってきます。

つまり、「今は子供のために仕事を休んでいても、元通りの勤務状態に戻り年収も以前と同じ金額に復活します」という事が前提になるのです。今現在妊娠中で勤務を継続している人が、出産を機に退職することが決まっている場合には住宅ローンは組めません。

また、仮に本人が復職するつもりでいても、子供を預ける保育園が決まらない場合もあります。特に大都市圏では復職時期に上手く入園させられない事も多々あります。出産後の体調が優れず、心身のバランスを崩してしまう人もいますし、計画通りに復職出来ない現状も知っておきましょう。

そのため、住宅ローンの申込時に妻が育休中の場合、金融機関は必ず「復職時期」を確認します。休暇を取得した期間(◯年◯月◯日~◯年◯月◯日)・復職予定日が記載された「勤務先発行の証明書」の提出を必須としている金融機関もあります。

年収の見方はどうなる?

次に年収の見方についてですが、通常であれば直近の源泉徴収票などで丸1年分の税込年収を確認します。もしも期間中に産休・育休を取得していた場合には、丸1年勤務していないことになるので当然年収が減っています。また、人によって休暇の取得時期、期間もバラバラです。

そのため、住宅ローン審査に必要な年収の見方は大きく次の2つに分かれます。

  • A)休暇取得以前の、丸1年収入があった年の源泉徴収票の金額
  • B)休暇に入る直前3ヶ月分の給与明細とボーナス明細2回分から割り戻し計算

Aのケースでは休暇取得日によっては少し古い年度の源泉徴収票が対象になるので、年収金額が低くなってしまうこともあります。Bのケースでは明細書を紛失している時など、書類の再取得に手間取ることもあります。

すでに育児休暇を終えて復職している場合はどうでしょうか。申込時にすでに復職しているなら、復職後の毎月の給与明細書から年収を割戻す計算をする金融機関もあります。復職直後は時短勤務で収入が減っているケースも多いので、予定していた金額が借入できないこともあるので注意が必要です。

このように育児休暇中の住宅ローンの審査基準は金融機関によってバラバラですので、事前に営業マンとよく相談しておくと良いでしょう。また、出来るだけ給与明細書などの書類は保管しておきましょう。

復職のタイミング

上記のように、住宅ローン申込時に育休中であっても受付は可能ですが、資金実行のタイミングで復職していることが条件になっていることがあります。 (全ての金融機関がOKではありませんので個別に確認が必要です。)

つまり、住宅ローンの返済が始まる時には再び収入があることが必要なのです。現在のところ、フラット35などでは復職が条件となっています。

復職していることを証明するために、前述の勤務先からの証明書、復職後1回でも給与が出ていればその明細書などを提出することになっています。

中には「資金実行時に、復職していなくても可」としている金融機関もありますが、着工したばかりのマンションなど入居までに1年以上時間が空く物件などでは、復職スケジュールとの調整が必要になってきます。

余談になりますが、住宅ローン申込時には妊娠が明確でなかったり、妊娠初期でお腹が目立たなかったけれど、銀行との契約時などに出産前後で「今後確実に育休に入る、もしくは育休に入ったばかり」という事実が発覚することがあります。このケースでは最悪融資が受けられなくなってしまう事態にもなりかねません。最終的には新住所の住民票を金融機関に提出しますが、ここで家族の人数が増えていることからバレてしまうこともあるそうです。

妻の名義でローンを借入する、収入合算する資金計画の場合には、家族のライフプランニングをよく考え計画的に進めることが必要です。