「頭金」と「手付金」は意味が違う?!マイホーム購入時のお金を整理

不動産コラム

マイホームを購入する時に必要なお金には、いくつか種類があります。その中でも「頭金」と「手付金」の意味を混同している人が多いようです。この二つのお金の意味をきちんと理解していないと、無事に契約手続きが出来なくなる可能性があるのです。今回は、「頭金」と「手付金」の違いについて解説します。

「頭金0円」でもマイホームが買える?

マンションのチラシなどで、「頭金0円でマイホームが買える!」といった文字を見たことはありませんか?

事実、頭金は0円でもマイホームを購入することは可能です。多くの人がマイホーム購入の際には住宅ローンを利用します。年収や勤続年数などによって「いくら借り入れできるか」は様々ですが、その人にとっての借入限度額はおのずと決まります。借入限度額よりも価格が高い住宅を購入しようとすると、その差額分を現金で用意する必要があります。これが「頭金」です。住宅ローンで全額まかなえる価格のマイホームであれば、頭金は必要ないという結論にもなります。

  マイホームの総額―頭金=住宅ローン という計算式になります。

また、住宅ローンは借入ですから返済しなくてはいけないお金です。何千万円という金額を35年という長期間で分割して支払うので、当然利息もかかります。借り入れできるからといって全額借りても、返済出来ないような金額となってしまっては意味がありません。返せる金額分だけを借り入れすると、頭金を用意しなくてはならないケースもあります。

「手付金」は契約時に必ず必要なお金

一方で「手付金」は、契約時に必ず用意しなく手はならないお金です。買主が契約の意思を表明する証となるお金で、法的な意味合いを持ちます。また現金一括で支払うのが基本です。契約が成立した後には売買代金の一部に充当されるので、頭金の一部にもなります。

不動産の取引は高額になるため、買主と売主がお互い誠実に取引を進められるよう、また安易に売買契約を解約しないようにする保証になっているのです。

「解約手付」の意味とは

売買契約が成立したあとで、契約をキャンセルしたいというケースも起こります。その時に「手付金」が「解約手付」の役割を持ちます。

民法では「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」とされています。

例えば買主が手付金として300万円支払って売買契約を結んだあとで契約を解除したいと申し出た場合、買主は支払い済みの300円を放棄することになります。逆に売主側から契約を解除したいと申し出た場合には、300万円+300万円=600万円を買主に支払うことで解約できます。(売主側から解約するケースはほとんど見受けられませんが、契約解除できる権利は双方が持っていることになります。)

このような解約手付の意味合いは、「手付流し、手付倍返し」と呼ばれています。

手付金の相場は?

では売買契約前に必要な手付金の相場はいくらなのでしょうか。法律上、手付金の上限は売買代金の2割までと決められていますが、一般的には5%~10%であることが多いようです。例えば3000万円のマンションを購入しようとした場合には、150万円~300万円の現金が必要となります。

手付金が用意できない時はどうする?

売買契約の直前になって、「売買代金の100%を住宅ローンで借りようとしていたので、現金は必要ないと思っていた!」と慌てる人がいます。最初にお話ししたように頭金0円でもマイホーム購入は可能なのですが、売買契約時には0円では手続きが出来ません。

手付金が支払えないときの対処法としては、次のような方法があげられます。

  • 手付金の減額を交渉する
  • 手付金が安い物件を探す
  • 親族から借りる
  • 社内融資を利用して一時的に支払う
  • フリーローンなどで一時的に支払う

まずは、自分たちでいくら現金を準備できるかを再確認しましょう。その上で、いくらまでなら減額できるかを売主と相談しましょう。定期預金などは解約するまでに一定期間必要なので、「何日後なら、〇〇円準備できる」ということを具体的に申し出ましょう。

また、親や親族に手助けをしてもらえるならお願いしましょう。住宅ローンが融資されれば返金できますので、あくまで数か月間の借り入れとなります。数年かけて分割で返済する場合には、いくら親族でもきちんと借用書を作成し、きちんと利息をつけて返済します。贈与でもらう場合には確定申告が必要となりますので、限度額やもらう時期などを税務署にきちんと確認しましょう。要件を満たしていないと、贈与税がかかる場合があります。

社内融資は、まずはご自身の勤務先の融資条件を確認しましょう。企業からの直接融資と、提携先の金融機関からの融資の2種類があります。あくまで借入れとなりますので、退職間近の人は返済期間や返済金額にも注意する必要があります。

最後のフリーローンなどでの借入れは、できればお勧めしません。なぜなら、個人信用情報に借入れの事実が記録されてしまうからです。住宅ローンの事前審査を無事に通過した後で数百万円の借入れをしたとなると、本申込時の審査で引っかかる可能性が大きいからです。もしフリーローンの借り入れが原因で住宅ローンが利用できなくなった場合、手付金を放棄しての契約解除となってしまいます。(重要事項説明書に明記してあります。)安易な借り入れは厳禁です!

頭金0円でマイホーム購入を考えている人も、「手付金」は準備する必要があることを知っておきましょう。