入居時期で変わる住宅ローン控除−年内入居が断然お得–

不動産コラム

消費税増税にともない、住宅ローン控除が10年から13年に延長されたことをご存知の方は多いと思います。実際に13年間この制度を利用するには、次の2つの要件を満たすことが必要です。

①消費税率が10%を超える住宅を購入した場合
②入居時期が2019年10月~2020年12月末であること
これらの要件を満たしていれば、中古住宅でも対象となります。

現在では、建物にかかる消費税は10%になっていますので、②の入居時期の要件が大きく左右することになります。つまり、入居が年明け以降になると元々の10年間でしか適用が受けられなくなってしまうのです。

では、従来の10年間適用を受けた場合と13年に延長された場合とではどのくらい節税効果に差があるのでしょうか。具体的に計算して比較してみましょう。

住宅ローン控除13年間の場合の計算方法

まずは購入する住宅の要件は次のようになります。

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
  • 床面積が50㎡以上であること

そして、住宅ローンの年末残高(借入れの元金部分の残高)に1%をかけた金額が所得税から控除されます。一般住宅では40万円が最大となり、10年間で最大400万円の節税になります。

所得税で控除しきれなかった部分は、住民税から上限13.65万円まで控除可能となります。

13年間適用の場合はさらに3年間延長となるのですが、11年目から13年目までは少々計算方法が変わってきます。

1. 住宅ローンの借入残高の1%
2. 建物取得価格の2%÷3
上記1と2のどちらか小さい方の金額が適用となります。

税率が2%アップするとどうなる?

では消費税8%と10%で住宅を購入すると、まずどれだけ価格が変わるでしょうか。

あるマンションの価格が3160万円、これに含まれる消費税が160万円(8%)とします。

価格は土地代と建物代で構成されていますので、160万円÷8%の式で建物代が2000万円、残りの1000万円が土地代と計算することができます。(消費税額÷税率=建物代金となりますので、覚えておくと便利です)

このマンションが消費税10%になると、2000万円×10%=200万円となり、40万円のアップとなります。

住宅ローンを満額借入れ、固定金利1%、35年ボーナス返済なし、元利均等返済の場合で比較してみましょう。

3160万円→ 月々89,202円
3200万円→月々90,331円
返済金額の差は、毎月1,129円となります。

繰上げ返済をせず住宅ローン控除を10年間受けた場合、それぞれ節税できる金額は

税率8%→約273.0万円
税率10%→約276.5万円
さらに税率10%の場合は3年間延長があるので計算してみましょう。

1:年末残高の1%→ 11年目 約23.1万円

          12年目 約22.6万円

          13年目 約21.3万円

2:建物価格の2%÷3→約13.3万円

1と2を比較して少ない方の金額が控除されるので、2の13.3万円×3年間=39.9万円、約40万円が節税できることになります。

つまりトータルで節税できる金額は
税率8%→約273万円
税率10%→約316.5万円
となり、増税後の購入の方が43.5万円多く控除できることになります。

元々、物件金額が40万円高くなっていましたが、控除期間が延長された部分で相殺され、さらに3.5万円お得になることがわかりました。

年内入居と年明け入居で比較すると

年内に入居可能な中古マンションと、来年以降に完成する新築マンションで悩んでいる場合。住宅ローン控除が13年間受けられる早期入居可能な物件を選ぶのも一つです。現在賃貸住宅に住んでいるのであれば、引渡しを受けるまでの家賃負担も省くことができます。

現在家賃を10万円支払っている方が1年後完成するマンションを購入するとなると、10万円×12ヶ月=120万円が発生します。年内入居が可能な物件を選んだとすると、家賃負担は40万円ほどで収まりますので、随分と節約することが出来ます。

13年間の住宅ローン控除と家賃負担を早期になくすことで、節約できる金額が大幅にアップします。もちろん住宅ローンの開始が少しでも早ければ、終了する日も早くなります。年を跨ぐか跨がないかでこれだけの差が出るのであれば、年内入居の物件を選ぶ方が随分とお得になります。

まだまだ時間はありますので、住宅ローン控除のシミュレーション比較で物件選びをするのもお勧めです。