仮審査はOKなのに本審査で落ちた!原因と対象法

不動産コラム

住宅ローンを借りるためには、「仮審査」(事前審査)を行ってから「本審査」(本申込)を行います。ところが仮審査で通っていたのに、本審査で落ちてしまったというケースがゼロではありません。もちろん、そのようなことが起きてしまうには原因があります。土壇場になって住宅ローンが利用できないとなると、マイホーム計画が行き詰ってしまいます。今回は、仮審査が通っていたのに本審査で落ちてしまう原因と対処法についてお話します。

本審査が通らない原因

仮審査が問題なく通っていたのに本審査で落ちてしまうのは、大きく5つの原因が考えられます。共通しているのは、仮審査の時の情報や状況から審査に影響する「変更点」があることです。

①仮審査の時には未申告だった事項や情報が見つかる

例えば、10年以上前にある総飛車金融で金融事故を起こしてブラックリストに載ってしまったとします。一定年数経過するとその情報は個人信用情報から消えますが、その消費者金融が申込した銀行のグループになっていた場合、その情報が出てきて否決されることがあります。

また過去に極端に短期間でマンションを売却したことがあると、投資用での購入や転売目的を疑われることもあります。転勤などやむを得ない事情があった場合には、きちんと事前に説明しておきましょう。

②仮審査で承認後に、転職した

銀行では、審査時の勤務先での収入を元に審査を行います。たとえステップアップが確実な転職だったとしても、収入は実績でしか評価をしてくれません。銀行が重視しているのは収入の安定性と継続性です。転職とマイホーム購入が重なってしまう場合には、時期をずらすなど計画的に行うべきです。

③仮審査後に、新しく借入をした・返済に遅れた

いわゆる個人信用情報の変化も、銀行が嫌うことの一つです。新たな借り入れをしてしまうと返済負担率に影響するので、希望する金額が借りられないだけでなく「0回答(否決)」となってしまうこともあります。延滞は「借りたお金を返さない人」だと判断されてしまうので、絶対しないようにしましょう。

④対象物件の担保評価に問題があった

あなた自身に問題がなくても、購入する物件の担保価値が低いと本審査が通らないケースがあります。銀行は「抵当権」を設定しますので、万が一の際にはその物件を売却できます。貸し出した金額よりも担保価値が低いと判断される場合には、ローンが通りません。例えば、20戸未満のマンションで管理が「自主管理」の物件などは避けた方が良いでしょう。

⑤健康状態に問題があり、団体信用生命保険の審査に落ちた(謝絶)

収入や個人信用情報に問題がなくても、健康状態が悪いと「団体信用生命保険」の審査で否決されることがあります。住宅ローンでは「団体信用生命保険に加入できる人」という利用要件がありますが、健康に問題がない若いうちに住宅ローンを借りた方が良いと言われるのはこのためです。

また、持病があっても金利を上乗せすることで利用できる「ワイド団信」を扱っている銀行も多くあります。健康状態に不安がある人は、仮審査後に「先行団信」の審査をしてくれる銀行がありますので是非利用してみてください。できれば物件の契約をする前に団信の審査もしておいた方が安心です。早目の相談がカギとなります。

「ローン特約」での注意点

通常の重要事項説明書には「ローン特約」という項目があるのをご存知でしょうか。契約を結んだあとに住宅ローンが使えない状態になった時に、白紙解約ができるという内容です。

ただし、全てのケースにおいてこの「ローン特約」が適用とはならないのです。「本人の責めに帰すことが出来ない理由の場合」つまり「本人に責任があるか」が判断基準となるのです。

特に上記5つの原因の中で②と③は本人の責任によるところが大きく、ローン特約の対象外となります。マイホームが買えなくなるだけでなく、すでに支払った手付金も戻ってこなくなりますので要注意です。

本審査で落ちてしまったときの対処法

図らずも本審査で落ちてしまった場合は、金融機関を変えて再度「仮審査・本審査」を受けてみることです。①のケースでは、きちんと情報を整理して金融機関に伝えたうえで審査を受けましょう。ただし明らかに事前審査でも落ちてしまうような内容の場合は、金融機関を変えてもNGとなります。

②の転職は、改めて出し直しとなります。オファーレター+新しい勤務先で給与をもらった実績で再審査となります。この場合数か月時間が必要なことに加え、これまでと同額の融資承認が得られるかどうかは保証されません。購入物件の引き渡しスケジュールに余裕がない場合は、難しくなります。転職は隠していても絶対にバレてしまうので、住宅ローンが実行されるまではやめておきましょう。

③も再度申込みし直すことになりますが、同じ金融機関では「否決」となった情報が残っているので、金融機関は変えて再審査しましょう。最新の情報を正直に申告することが重要です。

団体信用生命保険の審査は、生命保険会社が行います。金融機関によって、どの生命保険会社が団信を担当しているかで審査基準も差異があります。違う生命保険会社であることを事前に確認して、ワイド団信も含めて申し込みをしなおしましょう。ワイド団信でも審査が通らない場合は、団信の加入が「任意」であるフラット35が利用できます。

通常は、仮審査の時と状態に変化がなければ問題なく本審査も通ります。仮審査に通ったからと安心して、転職したり新たなローンを組んでしまうことは絶対にやめましょう。