決済が半年以上先になる場合、住宅ローンで注意することとは

不動産コラム

物件の購入を決めてから住宅ローンの実行まで、通常であれば1か月~2か月で完了します。しかし、中古物件でも売主さんの都合によっては、決済が半年先になるというケースも見受けられます。決済が半年以上先になる原因としては、売主がまだ居住中であることが大半です。あるいは、新築マンションや注文住宅でもかなりの時間を要するのがほとんどです。タワーマンションや大規模物件になると、1年半から2年後になることもあります。

このように決済がかなり先になる場合は、通常のローン決済をする時と比べて気を付けておくべきことがあります。

出来る準備は最大限済ませておく

決済までの手順は、期間が1~2か月のパターンと同様で下記のようになります。

1:内覧

2:住宅ローン事前審査

3:購入申し込み(買い付け)

4:手付金の払い・売買契約の締結

5:住宅ローン本審査

最終的には、残代金である住宅ローンを支払えば決済完了となります。決済の手前となる「5」までは、出来るだけ済ませておくと安心です。

ローンの承認には「期限」がある

ここで注意しなくてはならないのが、住宅ローンの融資承認には「有効期限」があるということです。一般的には「6か月」としている金融機関が多いようです。融資の承認書などに記載されているので確認しておきましょう。この期限の中で決済ができればよいのですが、それ以上の期間を要する場合には、事前に金融機関に期限の延長を申請しておきましょう。場合によっては「再申込」が必要となるケースもあります。また、団体信用生命保険の期限も、告知日から1年間(12か月)とされています。

決済まで時間がある場合の注意点

決済=ローンの実行までに時間がかかる場合には、注意するべきことが2点あります。

①金利が不確定になる

まずは金利についてです。変動金利が上昇傾向にある昨今、半年以上先の動きはなかなか読むことができません。現在シミュレーションしている金利よりも上がってしまう可能性があります。住宅ローンは基本的に、決済月(実行時)の金利が適用されますが、前月の末日くらいにならないと具体的な数字は分かりません。今現在、ネットなどで公開されている金利は、月初に発表された「今月」の適用金利でしかありません。

特に変動金利では、日銀の政策金利が上昇すると基準金利そのものが上昇してしまいます。実際には基準金利から優遇金利(完済まで一定)を差し引いたものが適用金利となりますが、ベースである基準金利が上昇すると、つられて適用金利も上がる仕組みです。実際に2025年4月には0.25%の上昇があったので、今後はある程度の上昇の可能性は見込んでおいた方がよいかもしれません。

②「延滞」は絶対にしてはいけない

2つめは、決済が済むまでは絶対に「延滞」をしてはいけないということです。最悪、融資承認が取り消しになり、マイホーム購入が中止になってしまう可能性があります。

ローンの審査時には、ご存知のように「個人信用情報」をチェックされます。金融機関は「延滞履歴」を非常に嫌います。事前審査、本承認を無事に通過しているということは、個人信用情報に問題がなかったという証拠なので、ローンの実行までに新たな「延滞」をしてしまうのは大問題です。また、別の新たな借り入れをしてしまうことも避けましょう。たまに車を購入してマイカーローンを組んでしまう人がいますが、これも絶対やってはいけません。すでに車のローンがあり、それも込みで承認を得ているならまだしも、新たにローンを組むことはご法度です。どうしでも車の購入をしたい場合は、住宅ローンの実行の後にするか現金で購入しましょう。

実際、金融機関がどの時点で「個人信用情報」を再取得するかは明確ではありません。しかしながら本承認を出してから融資実行まで時間が空く場合、実行直前に「個人信用情報」を再取得する可能性があります。毎月のクレジットカードの引き落とし等には慎重になりましょう。

複数の住宅ローンを検討しておく

金利面でできるだけ損をしたくない場合には、複数の住宅ローンを同時並行で進めておくのも一つです。

A銀行で本申込しておき、条件が変わらないようであればそのままA銀行で決済まで進めば問題ありません。

万が一決済が近づいたときにB銀行の方がより条件が良いとなれば、急いで本申込の手続きを進めればよいのです。ただし、A銀行で金銭消費貸借契約(ローンの契約)をしてしまったあとでは、取り消すことができませんので金銭消費貸借契約を結ぶまでに結論を出しましょう。また、A銀行で決済を取りやめる場合は、きちんと「取り下げ」の意向を伝えましょう。

決済まで半年以上を要する場合には、現時点で最良の銀行を選択し、決済が近づいた時点で再比較を行うのがベストでしょう。