コロナ不況でローン破綻しないために

不動産コラム

2020年は新型コロナウイルス危機によって、思いもよらない1年になりました。住宅ローンを組んでいる人の中には、収入が減ったことによって返済に困っている人が沢山存在しているのが現状です。そもそも、住宅ローン破綻しないためには何が大事なのでしょうか。また、返済に困った場合にやってはいけない事とは何なのでしょうか。

今回は、昨今のコロナ不況に伴う住宅ローンのお話をしたいと思います。

住宅ローン返済に関する相談件数が激増

2020年はコロナ不況の煽りを受けて、日本を代表するような大企業でさえ、ボーナスが3割~10割カットもありうる状況となっています。ボーナスの平均支給額は約36万円で、前年比マイナス7.5%とリーマンショック以来の落ち込みようです。

このような状況下で「住宅ローンのボーナス払いが払えない」「毎月の返済も危うくてローン破綻してしまう」という人を多く生み出してしまっています。

全国の銀行では、住宅ローンの返済負担軽減の相談がやく14,000件もあったそうです。また、住宅金融支援機構への相談件数は、コロナ以前と比べて約150倍に増えたとのことです。

もちろんこうしたコロナ不況が起こらずとも、住宅ローンの破綻率は毎年約2%あると言われています。実に50人に1人の割合で、返済に困窮しているというのが現状です。

これまでも2000年:ITバブル崩壊、2001年米国同時多発テロ事件、2007年:サブプライムショック、2008年:リーマンショック、2011年:東日本大震災、2020年:コロナウイルス大流行と10年に一度どころではないスパンで、不測の事態が起こっています。

ローン破綻の大きな原因

みなさん、マイホームを購入する時点では「自分は破綻するはずがない、大丈夫だ」と思っています。「これから給料も増えていくはず」「定年まで勤め上げれば、退職金で一括返済できるから大丈夫」という話はあちこちで聞かれます。

多くの住宅ローンはボーナス払い併用が可能です。「月々の支払いが苦しいければ、ボーナス払いに回せば良い。」と考えて、毎月の支払いを基準に組み立てている人がいます。ところが、今回のような不足の事態が起きると、会社からのボーナス支給は容赦なくカットされます。あてにしていた収入が入らなくなるなんて、マイホームを買うときには考えもしなかったでしょう。

ボーナス支給だけでなく、毎月の収入も減少している世帯も多くあります。住宅金融支援機構の調査では、全体の24%にものぼる世帯で「コロナの感染拡大の影響で、収入が減った」と答えています。

また、一番良い時の収入を基準にしてローンを借入してしまうことも一因です。年収に応じて審査基準目一杯借りてしまう人が多いのですが、本来は手取りの収入金額と毎月の家計の支出、キャッシュフローをきちんと考えて「返せる金額」を借りるのが安全なのです。

住宅ローンの返済に困ったときにやってはいけないこと

どんなに住宅ローンの返済に困っていても、やってはいけないことがあります。

まず1つ目は、困った状況を放置することです。「そのうち上向きになるかな」と安易に考えたり、悪化している状況をそのままにしておくと信用情報に傷がついてしまいます。

2つ目は「借金をすること」です。ローンを返すための借金は、絶対にNGです。手軽にできるキャッシングやカードローンは金利が高く、数ヶ月乗り越えたとしてもさらに返済が膨らんでしまう恐れがあります。

3つ目は、ハイリスクな投資に手を出すことです。一攫千金を夢見て、大事な資金を棒に振ってしまっては元も子もありません。

4つ目は、安易な独立や転職です。以前から計画していたもの以外は、熟考が必要です。転職しても3ヶ月は試用期間だったり、聞いていた話と違う待遇だったり、こんな時期だからこそ美味い話には気を付けたいものです。

5つ目は、無理なバイトです。体を壊してしまっては本業も立ち行かなくなります。収入を増やそうと努力することは大切ですが、許容範囲を超えたことはしないようにしましょう。

これらはやってはいけないことですが、まずは家族に働いてもらって少しでも収入を増やす、出来るだけ家計を切り詰めて、余計な支出を減らすことが大事です。

そして、銀行や公的機関に早めに相談して、返済条件を見直してもらうことが第一です。

住宅ローン破綻を避けるためには、こうした正攻法でいくしかありません。

ローン返済困窮者のための新制度

先日、こんなニュースがありました。新型コロナウイルスによる影響で収入が減った人の、住宅ローンなどの債務の返済負担を減らす新制度が12月1日からスタートしたのです。無料で専門家の助言をもらえたり、信用情報に傷を付けずにローンを整理できたりするなど利点が多い制度となっています。

まずは、弁護士などに相談をしてください。