新築vs中古ー物件選びの比較その②ー

不動産コラム

前回は新築vs中古 物件の探し方の比較をしてました。今回は物件そのものの中身や外観の差異についてお話します。

標準設備が進化する新築物件

新築マンションでは特に水回りの設備が年々進化しています。キッチンのビルトイン食器洗乾燥機、浴室暖房乾燥機、リビングダイニングの床暖房もほぼ標準仕様になっています。これらの設備も、以前は追加料金が必要なオプションサービスでしたが、ニーズの変化で「付いていて当たり前」の時代になってきました。特にキッチン周りは女性の意見を取り入れて、家事の時短を実現する設備が重宝されています。キッチン形状もカウンター式が相変わらず人気ですが、頭上の吊り戸棚が少なめでリビングが見渡せるオープンタイプが主流です。

また、マンションでは悩みの一つである収納問題も、ウォークインクローゼットや納戸など大型スペースが増えたり、キッチン横のパントリー(食品庫)があるプランも増えています。

中古では築10年以内くらいまでなら設備の機能や使い勝手はそれほど見劣りはないでしょう。むしろ古い物件ではリフォームでいろいろな設備を入れ替えるので、最新機種が入っていることさえあります。自分でリフォームするなら尚更、こだわりの設備を実現することが出来ます。

洗面化粧台は三面鏡収納や、天板と一体型の段差のない洗面ボウルに進化し、機能性もアップしています。システムキッチンも、あえて業務用のステンレス仕様のものなど、新築時に採用されないタイプを選ぶことも出来ます。設備メーカーのショールームを見学して、自分だけのオリジナルを見つけるなど、夢を実現できる楽しみもありますね。

そういった意味では、新築は「あるものから選ぶ」、中古は「ある程度こだわりを実現できる」と言えます。

希望の多い間取り変更

新築物件であっても「和室を洋室に変更する」「二つの洋室の間仕切りを撤去して大きな部屋にする」「部屋をひとつ潰して大きなLDにする」など、あらかじめセレクトプランが用意されていることもあります。ただし、新築では建設工事のスケジュールが決まっており下層階からどんどん仕上げをしていきます。セレクトが可能だったとしても、案外早い時期に締め切られてしまうことが多いので注意しましょう。また、水回りの位置変更は不可能です。有料か無料かも確認しておきましょう。

中古ではリフォームでどこまで変更できるのかが一つのカギとなります。マンションリフォームでは大掛かりな間取り変更も可能ですが、管理規約で禁止されている項目などもありますので事前によく確認しましょう。

また、新築と同じく基本的に水回りの移動は出来ませんが、スケルトンリフォーム(躯体だけに解体し、間取り・内装・設備をすべて新しくするほ方法)であれば可能な場合もあります。ただし、これには排水管とダクトが関係してくるため、出来る事・出来ない事の見極めが必要となります。

新築当初の施工図面が管理室などで閲覧できるはずですので、リフォームやリノベーション専門の業者と相談して判断するのが良いでしょう。

柱や梁などの躯体部分は変えられない

マンションでは新築と中古で差が出るのが、柱や梁の出方、窓の高さです。建築工法の進化で、最近では柱・梁の出っ張りが少なくなっています。室内の凸凹がなくすっきりした形であれば、生活していても圧迫感がありません。天井近くまで窓があったりするので、同じ面積だったとしても新築と中古では見た目の広さに違いが出てきます。

室内のリフォームと違い、こうした建築工事に絡む部分については半永久的に変更することが出来ません。(コンクリートで出来ている、主要構造部分とお考え下さい。)図面を見ただけでは現状を想像しにくいので、中古物件は必ず室内を見学して確認しましょう。

窓のサッシも時代とともに変化しています。最近では二重サッシ(複層ガラス)が当たり前になっていますが、中古では単板ガラスが入っていることがありあます。24時間換気システムも古い物件には設置されていません。とはいえ、断熱リフォームや内窓の設置で性能アップを図ることが出来ます。機密性や断熱性の向上は、「冬暖かくて、夏涼しい」快適な生活に直結していますので、中古物件では中の設備以上に気にかけて見ていただきたいポイントです。

共用部分や外観は築年数とともに経年劣化は否めないのですが、日々の管理状態によっても大きく変わってきます。マンションは共同住宅ですので、入居者全員の共有資産でもあります。管理会社や日々の管理状況についても確認しておくのがベストです。

新築、中古ともに「変えられること・変えられないこと」があります。

どちらにも長所・短所があります。

それを理解した上で、選択肢を広げたり見方を変えてみると、よりぴったりなマイホームへの近道になるでしょう。