消費税アップ後の住宅ローン控除

不動産コラム

消費税アップの影響

消費税が10%にアップしてから1ヶ月経過しました。通常の商品と違って不動産は引き渡しまでにある程度時間がかかるため、消費税が8%になるか10%になるか、少々複雑な区分になっていましたね。

消費税率8%が適用されるのは、19年3月末までに売買契約が結ばれている(引き渡しは10月以降でもOK)か、9月末日までに引き渡しが完了している(契約は4月以降でもOK)場合に限られていました。

10月1日を超えてしまった現在、新しく契約を締結する物件に関しては、建物価格が1000万円で20万円、2000万円で40万円、3000万円で60万円アップとなってしまうわけです。
(売主が個人の場合、中古住宅の売買には消費税はかかりません。)

最早ジタバタしても仕方ない!のですが、やはり消費者にとって増税は手痛いものです。

政府も駆け込みによる消費拡大と、増税後反動による停滞は避けたいのが事実です。

不動産業界においては、「住宅ローン控除の拡充」という政策で増税分を吸収できるように配慮されています。

住宅ローン控除 拡充の中身

そもそも、住宅ローン控除とはどんな制度なのかをおさらいしておきましょう。

住宅ローン控除とは、返済期間10年以上の住宅ローンを組んでマイホームを購入・建築・増改築した場合に、年末のローン残高(上限4000万円、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は5000万円)の1%相当額の税額控除を10年間にわたって受けられる制度です。所得税から控除しきれなかった場合は、翌年度の住民税からも控除できる仕組みになっています。

ここで注意しておかなくてはならないのは、あくまでも財源は「自分自身が支払った税金」であることです。1年間で支払った税金を申告することで「取り戻す」のが住宅ローン控除の制度です。ですから、自分が支払ってきた税金以上の金額は戻ってきません。

ローン残高が4000万円、1%相当額が40万円だったとしても、支払っている税金が30万円であれば住宅ローン控除によって取り戻せるのは30万円まで、となります。

「住宅ローンを組めば組むほど、控除によってお金がもらえる」と誤った考えを営業マンから聞いたり、勘違いしている方もいらっしゃいます。制度の内容は正しく理解して下さい。

住宅ローン控除の制度は中古住宅を購入する場合にも利用出来るので、マイホームを手に入れる人々にとっては目玉となる税制優遇でもあります。

実は今回の消費税増税にあわせ、住宅ローン控除も改正されました。

基本的な部分は変わらないのですが、消費税10%になってからマイホームを購入した場合は住宅ローン控除を受けられる期間が従来の10年間から、なんと13年間に延長されるのです!!

「年末残高の1%を10年間控除する」という根幹の制度は変わりません。ですから、最高で40万円(認定住宅は50万円)という控除額はそのままです。

そして延長になったその後の「3年間」につては、以下の条件があります。

1.年末のローン残高×1%

2.住宅(建物部分)の取得価格(税抜き)×2%÷3

上記1、2のいずれか少ないほうの金額が控除額となる というものです。

例えば、住宅ローン控除の11年目を受ける際の年末のローン残高が3000万円で、建物部分の取得価格(税抜き)が2000万円だった場合は、

1.3000万円×1%=30万円

2.2000万円×2%÷3=約13万円

となり、少ないほうの金額である約13万円が控除額となります。

2の計算式の「建物価格×2%」というのは、今回の消費税の増税分に相当します(消費税は土地部分には課税されず、建物部分のみ課税されるので)。そして、それを3で割った金額を11年目から13年目までの3年間受け取ると、消費税の増税分を回収できる計算になります。つまり、消費税増税後にマイホームを買った人でも、増税分を住宅ローン控除で回収できることになるので、増税後のほうが損だというわけではなくなるという話です。

消費税が2%も上がって、「せっかくマイホームを購入出来ることになったのに、損した」と感じていた方には安心していただけたでしょうか。

ただし、ここで見落としてはならない大切な要件があります。

今回の住宅ローン控除が13年間適用になるのは

「2019年10月1日~2020年12月31日までに入居した人」に限られるのです!!

例えばタワーマンションなどで、完成が2021年入ってからになる物件では従来と同じ10年間しか控除を受けることが出来ません。あなたが購入しようとしている、または購入済みの物件の完成時期、引渡し予定日を今一度確認してみましょう。

※住宅ローン控除は「時限立法」といって永遠にある制度ではありません。時期によって適用用件が変わったり、制度そのものに期限が存在しています。