マンションの固定資産税の目安は?築年数によって変わるの?

不動産コラム

不動産を所有している人にだけ課税されるのが「固定資産税」。住宅の土地、マンション・戸建てを問わず家屋もその対象です。戸建てを所有している場合は、土地と建物両方に課税されます。また、マンションは戸建てよりも規模が大きく構造も異なるため建物への課税が高くなると言われており、特に新築当初は戸建てよりも高くなる傾向にあります。しかし、中古マンションとなると「固定資産税が安くなってくる」という話を聞くことがあります。築年数が経過すると、固定資産税がどのように変わっていくのか詳しく見てみましょう。

固定資産税の仕組み

固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日時点での土地・建物の所有者(個人・法人にかかわらず)です。所有者とは、登記簿や土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳に記載されている人を指します。納税先は土地や家屋など固定資産が所在する市町村で、「市町村税」の扱いとなります。東京都23区の場合は、東京都に対して「都税」として納税します。所得税など国に納める「国税」に対し、固定資産税は「地方税」の区分となります。

税額の計算方法は全国一律で「固定資産税評価額」×1.4%(標準税率)となっています。

マンションの場合、土地は区分所有者全員の共有となっています。土地に対する固定資産税は、共有持ち分に応じて按分することになるので、戸建てに比べると負担が少なくなる傾向にあります。

築年数によって何が変わる?

建物は新築した時から、次第に劣化が始まる運命にあります。固定資産税を計算する際にもそうした面を考慮した計算方法となっており、築年数に応じた減価割合が決められています。例えば新築当初を「1」とすると、マンションでは5年後に「0.8569」、10年後に「0.7397」という係数を乗じます。ちなみに戸建てでは、5年後に「0.64」10年後に「0.50」を乗ずることになっています。これを見ると、戸建てよりもマンションの固定資産税が高くなりがちなのも納得できます。

参考 経年減価補正率表(法務省)

https://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/page000034.pdf

一方土地は、建物のように「劣化による減価」という考え方は当てはまりません。土地の固定資産税評価額は、公示価格の70%程度とされています。しかし土地の価格も上下することがあるため、3年に1回の頻度で評価替えが行われています。直近では令和3年度が評価替えの年にあたり、次回は令和6年度の予定です。(評価替えは建物についても行われます。)

新築時に適用される「軽減特例」

新築マンションの固定資産税を計算する際には、「軽減特例」が適用されます。この特例によって、「5年間」住宅に係る固定資産税が2分の1に軽減されます。(戸建ての場合は3年間)さらに認定長期優良住宅の場合は、軽減期間が「7年間」に延長されます。この制度により、6年目以降は固定資産税額が「元に戻る」ことになります。増税されるわけではないので誤解しないようにしましょう。

「じゃあ、6年後に固定資産税が倍になってしまうの?」と心配するのは早合点です。前出のように、経年による減価補正が計算に加わりますので、倍増することはありません。

この適用を受けることのできるマンションは、3階建て以上の耐火・準耐火構造であること、床面積が50~280㎡であることが条件となります。1Rなどの間取りで面積要件を満たしていない場合には、軽減を受けることが出来ません。また、タワーマンションでは階層によって価格はもちろん、眺望などの付加価値が大きく異なります。平成29年1月2日以後に新築された高さ60mを超えるタワーマンション(居住用超高層建築物)では、階数が1階上がるごとに税額が段階的に上がるように変更され、高階層の部屋は低層階の部屋より固定資産税が高くなるような改正がありました。このように税制の優遇についてはたびたび制度改正が行われますので注意してください。

新築以降の固定資産税額を計算すると

ここでマンションの固定資産税が、どのような金額で変遷していくかを計算してみましょう。

(5年間は建物の税額が2分の1、200㎡以下の小規模住宅地には課税標準額が6分の1になる特例を適用します。土地の評価替えは考慮していません。)

例)建物の固定資産税評価額1,000万円 土地の固定資産税評価額2,000万円

【新築時】

土地の税額  2,000万円×1.4%×1/6=46,666円

建物の税額  1,000万円×1.4%×1/2=70,000円

合計 約116,700円

【6年目】建物の軽減期間が終了しましたが、経年減価による補正率が加味されます。

土地の税額  2,000万円×1.4%×1/6=46,666円

建物の税額  1,000万円×1.4%×0.8335=116,690円

合計 約163,300円

同じようにそれ以降の計算をしてみると

【10年目】150,220円

【15年目】133,820円

【20年目】117,400円

【25年目】105,310円

【30年目】  89,500円

【35年目】  79,500円

【40年目】  75,900円

と変化していきます。

築20年目以降は特に、固定資産税がお得になるというのが一目瞭然です。

中古マンションの場合は前年までの税額が判明していますので、今後の見通しが立てやすいこともメリットです。物件選びの際は、こうした面も考慮するとよいでしょう。