収入証明書の見方ー資金計算のベースとなる金額は?ー

不動産コラム

あなたの年収はいくらですか?と聞かれたら、「◯万円です」とすぐに答えられますか?
この金額がはっきりしない事には、資金計画が立てられません。
住宅ローンの審査には、必ずあなたの年収金額が記された書類「収入証明書」を提出します。
今日は、収入を証明する書類の種類と、その見方をご説明します。

一番身近な「源泉徴収票」

会社員や公務員など、毎月給与として収入を得ている人達にはお馴染みの「源泉徴収票」。
これは年末に、給与支払い者である勤め先が「今年1年(1月から12月まで)、あなたに支払った給与総額、そして源泉徴収した所得税額は◯円です」という証明をする書類です。

この書類の中で一番大きな数字を見つけてください。「支払金額」と書かれた欄に記されている数字、これがあなたの税込年収です。もろもろの税金などを差し引かれる前の年収です。
給与収入額と表現されるものは、この税込の金額を指しています。
一方、給与所得と表現されるものは、様々な税金や社会保険料などを差し引いたあとの「手取り金額」を言います。
サラリーマンは自動的に税金等が引かれるので、毎月振り込まれる金額はイメージしやすいと思いますが、実際には差し引かれる前の、いわゆる「額面」があなたの年収金額となります。
なお、源泉徴収票はあくまで給与支払者=勤務先が発行する書類ですので「公的な証明書」にはなりません。

公的な収入証明書とは?どこで入手する?

では、公的は収入証明書とは何でしょうか。
住宅ローンの申し込み必要書類の一覧表などには「所得(課税)証明書」などと書かれています。
住所地を管轄する区役所や市役所の課税課へ出向き、手数料を支払えば発行してもらえる書類です。自治体が発行する書類なので「公的」となるわけです。
実はこの書類の名称は、全国共通ではありません。似たような名称ですが、統一されていないのです。
例えば、「市民税・県民税 所得課税証明書」「特別区民税・都民税 課税証明書」「市民税県民税課税台帳記載事項証明書」などといった具合です。

ここで皆さん、「源泉徴収票は所得税だったのに、今度は市県民税?」とお気付きになりましたか?
そうなんです。
自治体で発行するのは「あなたの今年の住民税は、昨年の税込年収◯円を元に計算して、この金額になりました」という証明書なのです。
ですから、源泉徴収票が手元にもらえるのが年末〜年明け1月の給与支払い日あたりなのに対し、自治体発行の課税証明書は翌年6月頃が一般的です。
そして源泉徴収票が例えば「平成30年分」と表記されているとしたら、課税証明書は「平成31年度」と表記されています。
「年分」と「年度」で1年違い。混乱してしまいそうですが、サラリーマンであれば、この二つの書類に記されている税込年収金額は同一となるはずです。
昨年の年収を元に、翌年(翌年度)の税金が決まります、という理屈なのでこういう現象が起こります。(年度は学校と同じで、4月から翌年3月までを一年とします。)

もちろん、役所に行けばこの証明書は入手できますが、実はそれを同じ内容のものを皆さん毎年目にしています。
6月頃の給与明細書と一緒に、細長い帯状の書類をもらったことはありませんか?
あの帯は「今年の住民税が◯円です」という決定通知書で、一番左上の「給与収入」が税込年収であり、「◯◯市長」といった自治体の首長名で発行されています。
原本の提出が可能であれば住宅ローンの申し込みにも利用出来ますので、捨てずに保管しておくことをお勧めします。

自営業の人は「確定申告書」がベース

一方、自営業者など毎月の売上げを1年分まとめて「確定申告」している人は、収入の見方や証明書が違ってきます。
まずは、確定申告書の写しが必要です。税務署の受付印が押してあることが必須です。
そして、あなたの収入の種類が何であるか、これが重要です。
確定申告書の収入欄は「事業」「不動産」「雑」「給与」などア〜コまで複数種類があります。
中程に「所得金額」①〜⑨まで欄があり、収入からいわゆる経費を差し引いた金額が記入されています。
給与収入だけのサラリーマンと違い、自営業の人の年収はこちらの「所得金額」を指します。
当然、上段に記されている「収入」よりも低い数字が入っているはずです。
売上げがどんなに高額でも、節税の為に「所得」を抑えて申告するのが一般的ではありますが、住宅ローンの審査においては通り一遍、所得金額で判断されてしまうのです。
(もしも一部を給与として申告している場合は、給与のみ「収入金額」でその他については所得金額で合算します。)

会社員でもたまに「歩合給」の人がいます。「給与」ではなく、「営業等の事業収入」としてお給料を得ている場合は、同じく「所得金額」で判断されますので注意しましょう。
また、株の売買などで得た収入「総合譲渡」や「一時」の金額は、毎年継続して安定的なものとは見なされないため、算入することが出来ません。

そして、確定申告をしている人の公的な収入証明書とは、税務署発行の納税証明書(その1・その2)になります。所得金額用と納税額用という2種類が必要です。
サラリーマンと同じように市・区役所に出向いて納税証明書(住民税の証明書)を取得しても住宅ローンには利用出来ませんので注意して下さい。