マイホーム購入といえば、住宅ローンを組むのが“当たり前”というイメージが根強くあります。実際、ほとんどの方がローンを前提に資金計画を立てています。
しかし、あえてローンを組まずに現金で購入する方や、賃貸を選び続ける方がいるのも事実です。
その背景には、金利の先行き不透明感や、働き方・生き方の多様化があります。今回は、そんな「住宅ローンを組まない」という選択をした方々のリアルな声と、その後の暮らしをご紹介します。
現金一括購入を選んだ40代夫婦のケース
ある共働きの40代夫婦は、都内の中古マンションを現金一括で購入されました。
「住宅ローンに縛られたくない」「金利を払うのがもったいない」という理由から、10年以上かけて貯めた資金を使っての購入だったそうです。
ローンがないというのは、精神的にかなり大きいようで、月々の支払いがないことで将来の不安が減り、仕事の選択肢も広がったとおっしゃっていました。
ただし、現金を一気に使ったことで、手元資金が減り、投資や教育費に回せる余裕がなくなったという声もありました。
また、住宅ローン控除が使えないため、税制面での恩恵も受けられなかった点は注意が必要です。
賃貸を選び続ける50代独身男性のケース
一方、50代の独身男性は、あえて賃貸を選び続けている方です。
「転勤が多く、持ち家を持つメリットを感じなかった」と語る彼は、都内の駅近マンションを転々としながら、身軽な暮らしを楽しんでいます。
「修繕や固定資産税の心配がないのは大きい。何かあればすぐ引っ越せるし、家に縛られない自由がある」と話してくれました。
ただし、老後の住まいについては不安もあるようで、「年齢が上がると賃貸の審査が厳しくなるのでは」と、最近は高齢者向けの賃貸住宅やサービス付き高齢者住宅の情報を集めているとのことでした。
「ローンを組まない人たち」の共通点
住宅ローンを組まない方々にはいくつかの共通点があります。
まず、資産に余裕がある方。これは当然ですが、現金一括で購入するにはそれなりの資金が必要です。
ただし、意外と多いのが「ローン審査に通らなかった」というケースです。フリーランスや自営業の方、過去に信用情報に傷がある方など、ローンが組めない事情を抱えている方も少なくありません。
また、「住宅ローンに縛られたくない」という価値観を持つ方も増えています。「(転職含め)いつでも仕事を辞められるようにしておきたい」「将来の変化に柔軟に対応したい」──そんな思いから、あえてローンを避ける選択をされる方もいらっしゃいます。
「持ち家 vs 賃貸」では語りきれない選択の背景
このテーマは、よくある「持ち家 vs 賃貸」論争にもつながってきます。
しかし実際には、単純な二択では語りきれません。現金購入という第3の選択肢があるほか、持ち家を買ってもローンを組まない方もいれば、賃貸を選びながら資産運用で老後に備える方もいます。
つまり、住宅の選び方は「どちらが得か」ではなく、「自分の価値観とライフプランに合っているか」が重要なのです。
また、意外と見落とされがちなのが、「住宅ローンはいつでも借りられるわけではない」という事実です。
年齢を重ねるほど、返済期間が短くなったり、健康状態によって団信(団体信用生命保険)に加入できなかったりと、さまざまな制約が出てきます。「今はまだ買わなくていい」と思っていても、いざというときにローンが組めず、選択肢が限られてしまうケースも少なくありません。
特に会社員の場合は定年というひとつの区切りがあるため、現在は年収がしっかりある人でも現役で働ける時間が短い人は審査が厳しくなります。銀行は、「60歳時点での住宅ローンの残債を返せる資金があるか」を見ています。預貯金や退職金、有価証券などの金融資産をヒアリングされるケースがよくあります。
ローン破綻を防ぐためにも、定年後に現役時代と同じ金額を返済し続けられるかはしっかりシミュレーションする必要があります。
まとめ:あなたにとっての“自由”とは?
住宅ローンを組まないという選択は、経済的な判断であると同時に、生き方の表明でもあります。ローンを組んででも理想の家を手に入れる方もいれば、ローンに縛られずに自由を選ぶ方もいます。
どちらが正解ということはありませんが、「住まい」は人生の土台です。
将来の安心や、家族との時間、資産形成の観点から考えると、やはり自分の家を持つことには大きな価値があります。
住宅ローンは、うまく活用すれば人生を豊かにするための強力なツールになります。
「借金=悪」ではなく、「未来への投資」として前向きに捉えることができれば、持ち家という選択肢は、きっとあなたの人生に深い安心と満足をもたらしてくれるはずです。


