住宅ローンの契約書、何が書いてある?理解しておくべきポイントとは

不動産コラム

住宅ローンを借入する時には、金融機関と契約書を交わします。この契約書は「金銭消費貸借契約書」と呼ばれ、「金融機関とあなたの間で、お金の貸し借りをします」という意味を持ちます。住宅ローンの資金実行前には必ずこの契約手続きを経るのですが、その際には一つ一つの条文を読み上げるなんてことはしません。署名と捺印がされれば契約書として成立し、控えを発行してもらい持ち帰る、というのが通常です。契約書に記載されている内容についてはきちんと全文読んで理解しておくべきですが、小さい文字で専門用語が並んでいるのでなかなか素人にはハードルが高い書面です。将来トラブルにならないためにも、住宅ローンの契約書の中身について特に知っておくべきポイントをお話しします。

絶対にチェックするべき基本の項目

金融機関が違えば書式も異なりますが、どの金銭消費貸借契約にも記載される基本的な項目は次のとおりです。

1:住宅ローンの債務者、連帯債務者、抵当権設定者の住所・氏名の記入欄と実印押印

住宅ローン借入契約の関係者が自筆で記入し、押印します。高額で長期にわたる借り入れをするわけですから、きちんと内容を確認し、納得した上で署名をしましょう。

2:借入金額と返済期間

融資を受ける全額と返済期間を確認しましょう。ペアローンの場合は2つの契約書になりますので、双方の確認をします。

3:借入金の使途

どういう住宅を購入(建設)するための資金なのか。債務者本人が住むため?親族が居住するため?など申込をした際の借入目的が記載されています。

4:返済の方式と利率

毎月のみの返済かボーナス払い併用か、ボーナス併用であればその元金内訳、元利金等返済か元金均等返済か、返済の内容はとても重要ですのでよく確認しましょう。金利タイプ(変動・固定)によっても独自のルールがあるので注意しましょう。

5:返済日

毎月の返済日、ボーナス払いがある場合は年2回の返済月を確認します。第1回返済日と最終返済日も知っておきましょう。

7:返済の方法

通常は債務者本人の口座引き落としとなります。借入金融機関のどの支店の口座から引落とされるかを確認します。初めて取引する金融機関であれば、事前に口座開設しておくとスムーズです。キャッシュカードの受取りが完了していないと手続きできない銀行もあります。スケジュールは余裕を持って臨みましょう。

以上の内容は今後の返済に直接関わる項目です。必ず目を通し、確認してから署名・押印をしましょう。

「契約約款」「契約規定」と呼ばれる細かい内容

先ほどの基本項目の他に、裏面などに小さい字で綴られている「約款(やっかん)」や「規定」。実はとても大切なことが記載されていて、本来この内容も理解した上で署名・押印をするべきなのですが、残念ながらこの部分を全て説明する銀行員はなかなかいません。

主な項目として、次のようなものが記載されています。

  • 抵当権設定・繰り上げ返済
  • 遅延損害金
  • 期限の利益の喪失
  • 担保保全義務
  • 公正証書の作成
  • 調査及び報告
  • 費用の負担
  • 個人信用情報機関への登録
  • 反社会的勢力の排除  など

専門用語が並ぶので理解しにくい部分もありますが、この中でも特に知っておくべきなのは「期限の利益の喪失」についてです。

期限の利益を喪失するとどうなる?

「期限の利益の喪失」とは、住宅ローンの分割払いができなくなることです。通常、最高で35年(中には40年や50年)という長期の分割払いで返済していく契約ですが、期限の利益を喪失すると一括払いで返済しなければいけません。

住宅ローンは何千万円という借入なので35年で分割し、利息を上乗せして、決められた期日に決められた金額を返済するという約束で借入するものです。借入する側にとっては、長期にわたって分割払いできることこそが「期限の利益」となります。その利益を失ってしまう場合とは、約束を守らなかった時、すなわち延滞が続いてしまった時です。

ただ住宅ローンの延滞をしても、いきなり期限の利益を喪失するわけではありません。滞納状態が一定期間続くと金融機関から督促されます。その際にきちんと金融機関と相談し、この時点で支払えば期限の利益は喪失しません。やってはいけないのは、連絡を無視してしまうことです。

期限の利益を喪失するまでの期間は金融機関によって異なりますが、大体半年程度と認識しておきましょう。(半年は大丈夫という意味ではありません)

「住宅ローンを延滞すると一括請求される」という話、実はきちんと契約書に書かれているのです。「期限の利益の喪失」という専門用語で書かれているので、読んでも理解できなかったりスルーしてしまう人も多いのですが、最悪の場合せっかく手に入れたマイホームを失うケースもあります。不安な場合は、きちんと説明を受けてから署名・押印しましょう。