【フラット35】2022年度の制度改正を知ろう〜金利引き下げの拡充〜

不動産コラム

全期間固定金利で知られる「フラット35」。最近は徐々に民間金融機関の固定金利が上昇し始める中、変動金利の上昇リスクを避けたい方には再注目されています。

2022年4月の制度改正においては、より質の高い住宅の取得ための融資や、子育て支援を促進する融資には金利優遇を追加もしくは拡大することが決まりました。

【フラット35】維持保全型の新設

改正の一つ目は、今後既存の住宅(中古)の流通をさらに加速させるために新設されたカテゴリー「フラット35 維持保全型」です。維持保全・維持管理に配慮した住宅や既存住宅の流通に資する住宅を習得する場合(2022年4月から適合証明書交付を受ける物件)には、借入当初5年間の金利が0.25%引き下げられます。

維持保全型には次の6パターンがあります。

①長期優良住宅(新築住宅・中古住宅)

長期優良住宅の普及の促進に関する法律(H20年法律第87号)の規定により、長期優良住宅建築等計画が認定された住宅。フラット35S(金利Aプラン)の耐久性・可変性と同じ住宅です。

②予備認定マンション(新築マンションのみ)

新築分譲段階の管理計画(長期修繕計画案、原子管理規約等)について、(公財)マンション管理センターから「予備認定」を受けたマンション。予備認定の受付は2022年4月1日より開始される予定です。

③管理計画認定マンション(中古マンションのみ)

マンションの管理の適正化の推進に関する法律(H12年法律第149号)およびマンションの建て替え等の円滑化に関する法律(H14年法律第78号)に基づき、マンションの管理計画(長期修繕計画・管理規約等)について、地方公共団体から「管理計画認定」を受けたマンション。2022年4月1日から申請受付が開始される予定です。

④安心R住宅(中古住宅のみ)

耐震性があり、建物状況調査等が行われた住宅で、リフォーム等について情報提供が行われる中古住宅

⑤インスペクション実地住宅(中古住宅のみ)

既存住宅状況調査方法基準(H29年国土交通省告示第82号)第4条に規定する既存住宅状況調査の方法に基づき調査が行われた住宅で、当該調査の結果、劣化事象等、著しい蟻害、著しい腐朽等著しい腐食または構造耐力上問題のある不足が見られないことが確認された住宅。

インスペクション(既存住宅状況調査)は、講習を受けた既存住宅状況調査技術者が行わなくてはなりません。なお、調査できない対象部位がある場合は、金利引き下げの対象外となります。

⑥既存住宅売買瑕疵保険付保住宅(中古住宅のみ)

加入する既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。加入のためには住宅瑕疵担保責任保険法人の登録検査事業者による検査に合格することが必要です。

フラット35Sとの併用で金利優遇が拡大

新設されたフラット35維持保全型は、「フラット35S」との併用が可能です。組み合わせることでさらに金利優遇が拡大します。フラット35Sが利用できるのは、第三者機関である検査機関などによる検査(設計検査・現場検査)を通じて、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合している住宅です。

フラット35維持保全型+フラット35S(金利Aプラン)併用

当初5年間 年▲0.5%
6年目から10年目まで 年▲0.25%

フラット35維持保全型+フラット35S(金利Bタイプ)併用

当初10年間 年0.25%

このように、組み合わせが出来れば手厚い金利優遇を長期間受けることができます。このほかにも維持保全型は「フラット35地域連携型」や「フラット35地方移住型」とも併用することが可能です。

一方で「フラット35借り換え融資」および「フラット35リノベ」とは併用できないので注意しましょう。

【フラット35】地域連携型(子育て支援)の金利引き下げ期間が拡大

全国の地方公共団体では住宅金融支援機構と連携して、子育て世帯や新婚世帯の住宅取得を補助しています。それら補助事業とあわせて、フラット35の借入金利を当初10年間、年0.25%引き下げます。

従来の地域連携型を「子育て支援」と「地域活性化」の2種類に分類し、地域活性化はこれまで通り当初5年間、年0.25%引き下げを適用します。

申込時の書類が追加

2022年度からは上記のように金利優遇制度が拡充したため、申込時に「金利優遇利用申出書」という書類が追加されました。ご自身がどの金利優遇を利用できるのか予め確認の上申込し、適用するという運用です。物件選びの際にも、金利優遇が適用になるか否かが一つの鍵になりそうです。

またもう一つ新しく追加されたのが「残高証明書発行不要理由申出書」です。これはセカンドハウスや親族居住用として申込する方には不要ですが、自己居住用として申し込んでいるのにも関わらず年末残高証明書が不要とする場合、その理由を予め確認するものです。例えば「合計所得が対象外」「住宅の床面積が対象外」など、住宅ローン控除が受けられない理由にチェックを入れる形になっています。

フラット35ではこれまで不正利用が何度となく問題となっていましたが、その予防策ともいえる書式が追加となりました。居住用と偽って投資用物件購入に利用する不正利用には、より一層厳しく対応しています。

中古住宅を考えている方はフラット35 の金利優遇をキーワードに、より技術水準が高く管理体制の整った物件を選ぶことが可能になります。