高品質住宅の証。住宅性能評価書とは?

不動産コラム

住宅購入を検討していると『「住宅性能評価書」が付いている』という話が出ることがあります。「住宅性能評価書」とは一体どんなものなのでしょうか?また、この評価書が付いている物件は何がお得なのでしょうか?今回は「住宅性能評価書」にまつわる制度と内容についてお話しします。

住宅性能表示制度に基づくもの

まず、「住宅性能評価書」は「住宅性能表示制度」に基づいて発行されるものです。この制度は2000年4月1日に良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた「住宅品確法」(住宅の品質確保等に関する法律)に基づく制度です。この法律は3つの大きな柱で形成されており、まず一つ目が「住宅性能表示制度」です。そして2つ目が新築住宅の基本構造部分の10年保証を義務付けた「10年間の瑕疵保証」、3つ目がトラブルが起こった場合に裁判に至る手前で迅速に解決する「紛争処理体制」です。消費者である我々が、より安心して高品質な住宅を手に入れるために整えられた法律なのです。

住宅性能評価書には何が書いてある?

住宅性能表示制度が出来たことで、住宅の性能が法律に基づいた一律の基準で評価・表示されるようになりました。おかげで住宅に関して知識のない方でも、様々な物件について分かりやすく比較検討が出来るようになったわけです。

要するに「住宅性能評価書」はその物件の通知書みたいなものと言えるでしょう。(新築住宅だけでなく中古住宅でも取得できます。)

その評価の対象は10分野32項目に渡り、1~3点がつけられています。

①地震などに対する強さ(構造の安定)

地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさ、強風や大雪に対する強さに関する評価をします。

②火災に対する安全性(火災時の安全)

住宅の中で火事が起きたとき、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。

③柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)

年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されているかを評価します。

マンションなどで多く採用されている「鉄筋コンクリート造」の場合は、主に柱や梁のコンクリートがもろくならないための対策を評価します。

④配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策(維持管理、更新への配慮)

水道管やガス管、排水管といった配管類の点検・清掃・補修のしやすさ等を評価します。

配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があるため、配管の点検や清掃のしやすさや、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価します。また、共同住宅については、間取り変更のしやすさの情報として、躯体の天井高などの表示も行います。

⑤省エネルギー対策(温熱環境・エネルギー消費量)

冷房や暖房を効率よく行うために、床・壁・天井や窓の断熱性能について、評価します。

⑥シックハウス対策・換気(空気環境)

建材に使用されている接着剤の中に含まれるホルムアルデヒドという物質が、シックハウスの原因のひとつとされています。このため、建材に含まれるホルムアルデヒドについて評価します。

また、住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。

⑦ 窓の面積(光・視環境)

東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているかを評価します。

⑧遮音対策(音環境)※

主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸への音などについて、その伝わりにくさを評価します。(※この評価はオプションです)

⑨高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)

高齢者や障害者が暮らしやすいように、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くしたりというような配慮(バリアフリー)がどの程度されているかを評価します。

⑩防犯対策

外部からの侵入を防止するために、開口部(ドアや窓など)に防犯上有効な建物部品を設置する等、進入防止対策がされているかを評価します。

住宅性能評価書は2種類、メリットは?

実は「住宅性能評価書」と一口に行っても、2種類の評価書が存在します。

一つが設計時の図面からの評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」。

もう一つが施工中・竣工時に数回に渡る現場検査と検査結果からまとめた「建設住宅性能評価書」です。

この評価書が発行できるのは、国土交通省に登録された第三者検査機関です。ですから万が一、売主との間で売買契約以外に関するトラブルが生じても、弁護士・建築士による住宅専門の指定住宅紛争処理機関を、比較的安値(1万円/件)で利用できることになっています。

また、地震保険に加入する際に住宅性能評価書がある物件では、その等級応じて保険料の割引が受けられます。

物件を比較検討する際に、ぜひ注目してみて下さい。