テレワーク時代の住まい選び ピッタリの間取りや考え方とは?

不動産コラム

2020年の新型コロナ禍から丸2年、未だ先行き不透明な生活が続いています。全国各地で「テレワーク」「在宅勤務」が推奨され、特にIT関連の仕事に携わる人はほとんどオフィスへ出勤しないと言う話も聞きます。本社を家賃の安い地方へ移転したり、オフィスそのものを廃止する企業もあります。そのような社会生活の変化に伴い、「自宅=仕事をする場所」としての一面を担うようになりました。

そして物件選びの際には、テレワークに適しているかという新たな選択基準が生まれています。しかしテレワークと一口に言っても、1人で黙々とパソコンに向かって仕事をする人、テレビ会議が多く出来るだけ静かで隔離されたスペースが必要な人、様々なケースがあります。今回はテレワーク時代の物件選びについてお話しします。

テレワークに必要なスペースとは

これまでマイホームに求められていたものは、プライベート空間の充実でした。外で仕事をして自宅で寛ぐ、そのため出来るだけ広いリビングダイニングや余裕のある居室の大きさなどが、マイホームを選ぶ視点として定着していたのです。ところが本来寛ぐはずの自宅でも仕事をしなくてはならなくなり、精神的にも物理的にも「切り替え」がしにくく困っている人が多いようです。

テレワークではパソコン仕事がメインになると考えられますが、一般的なオフィスの事務机は幅100~120センチ×奥行き60~70センチです。パソコンだけでなく書類の置き場も必要です。これに椅子を置くスペースも加えると、大体畳1畳半~2畳分ほどの広さが目安となります。

元々、リビングの一角に作業スペースやパソコンコーナーがあれば代用できます。一人暮らしなら問題ありませんが、家族との共有スペースで仕事をする場合には声や音の問題が出てきます。また、共働き家庭でもお互いがテレワークの場合には、音が干渉しないスペースが必要になります。また、いくら家族でも業務上漏れてはいけない機密情報を扱うこともあります。書類や情報の管理はしっかりとセキュリティを確保しなくてなりません。

同居家族がいる場合には、「部屋数」「仕事用のスペースを作れる広い部屋」がある住宅が求められることになります。

「サービスルーム」「納戸」の活用

マンションの間取り図を見ていると、「S」や「DEN」と表記された部屋やスペースがあります。「S」はサービスルームの略で見た目は洋室と変わりありませんが、建築基準法上の採光が取れないため居室として認められない空間です。同じく「DEN」も、窓のない場合が多く納戸・物置として利用される空間です。

本来では居室として使いにくかった空間や窓のない居室は、テレワークスペースとして非常に重宝されています。テレビ会議などで背景に生活空間が映り込むこともなく、また集中できるスペースとなるので、是非活用してください。ただ、狭いスペースの場合には空気の入れ替えや気分転換は積極的に行いましょう。

テレワーク時代ならではのスペース

最近は分譲マンションのモデルルームなどでも、テレワーク時代を反映した提案をおこなっています。リビングや部屋の中に大きな箱を設置して篭れる空間を作ったり、テレワーク用のパーテーションも発売されています。

またマンションでも大型物件の場合には、共用部分にスタディルームやコワーキングスペースが設けられていることもあります。ネット環境が整っていることが不可欠ですので、確認して利用しましょう。

駅近・都心から離れる

オフィスへ通勤するという概念がなくなってしまった方にとっては、「駅近のマンション」や「都心の便利な暮らし」といったキーワードさえも不要になっています。テレワーク主体の生活になった人が今、「郊外のメリットの大きさ」に気づきクローズアップされています。

郊外の一番のメリットは、やはり価格が安いこと。物件自体の価格だけでなく、物価も安いことが挙げられます。同じ価格帯で考えるならば、マンションから一戸建てに選択肢を広げることもできるでしょう。また自然が近く、子育て世代であるならば非常に良い住環境を手にすることができます。通勤も毎日のことで無くなれば、少し長距離になったとしても電車やバス便があれば十分だと考えられます。

また、完全テレワークへ切り替えとなったことを機に、首都圏から地方(地元)へUターンする人もいます。

テレワークの浸透は、私たちの暮らし方、住まいの選び方にも非常に影響します。今後は「効率よく仕事ができる空間づくり」が、一つのテーマになってきそうです。