旧耐震マンションは買ってはいけない?後悔しないための現実的な判断基準

不動産コラム

中古マンションの相談で、必ず話題になるのが「旧耐震かどうか」です。価格だけを見れば魅力的な物件も多く、駅近・広め・管理状態も悪くない。実際に購入直前まで検討が進むケースも少なくありません。

それでも最終的に多くの方が立ち止まるのが、この“1981年以前”という基準です。私は原則として、旧耐震マンションを積極的には勧めません。ただし、すべてを一律に否定するつもりもありません。

重要なのは「築年数」そのものよりも、リスクを理解したうえで納得して選べるかどうかです。この記事では、旧耐震マンションを

・避けるべきケース

・選択肢になり得るケース

に分けて、感情論ではなく現実的な視点で整理していきます。

旧耐震とは何か

旧耐震とは、1981年(昭和56年)5月以前の耐震基準で設計された建物を指します。この基準では「震度5程度で倒壊しない」ことが想定されていました。

一方、1981年6月以降の新耐震基準では、「震度6強〜7でも倒壊しない」ことが前提になっています。つまり前提となる地震の規模が違います。

阪神淡路大震災や東日本大震災でも、倒壊や大破が目立ったのは旧耐震建物でした。もちろん立地や構造差もありますが、統計的に見れば耐震性に差があるのは事実です。

なぜ旧耐震が市場に残っているのか

それでも旧耐震マンションは数多く流通しています。理由はシンプルです。

・価格が安い

・駅近など立地が良い

・専有面積が広い

・管理がしっかりしている物件もある

特に都市部では「好立地 × 価格抑えめ」という魅力が強く、検討候補に上がりやすいのです。ここで多くの人が「安くて広くて便利。でも古い。」という点で悩むのです。

買ってはいけないと言われる理由

① 地震リスク

最大の懸念は当然ながら耐震性です。大規模地震が起きた際、資産価値が一気に下落する可能性があります。

② 住宅ローンの制約

金融機関によっては融資条件が厳しくなることがあります。築年数が古いと借入期間が短くなったり、担保評価が低くなるケースも。

③ 修繕・建替え問題

旧耐震世代はすでに築40〜50年。大規模修繕だけでなく、将来的な建替え問題が現実味を帯びています。しかし建替えは区分所有者の高い合意が必要で、簡単ではありません。

④ 売却時の不利

将来売るとき、買い手がさらに限られます。「出口戦略」が難しくなるのは大きなリスクです。

 地震保険・火災保険への影響

もう一つ見落としがちなのが、保険の問題です。

旧耐震マンションだからといって火災保険に加入できないわけではありませんが、築年数が古い物件は保険料が高くなる傾向があります。また、保険会社によっては建物の評価額が低く算定されるケースもあり、十分な補償を確保するためには内容を細かく確認する必要があります。

さらに重要なのが地震保険です。地震による損害は火災保険では補償されません。旧耐震物件の場合、「もし大規模地震が起きたら」という前提で資金計画を組む必要があります。万が一の半壊・全壊時に住宅ローンだけが残るという状況を想定しておくことは、精神的な安心にもつながります。

購入時の価格だけで判断するのではなく、「保有中のリスクコスト」まで含めて考える視点が欠かせません。

それでも“買っても良い人”とは

では旧耐震は全否定かというと、そうでもありません。次のような人には選択肢になり得ます。

● 永住前提で、立地を最優先する人

● 資産価値より“住み心地と価格”を重視する人

● 耐震診断済み・耐震補強済み物件を選べる人

● 現金購入、または資金余力がある人

特に「耐震補強済み」は重要なポイントです。

管理組合が機能し、長期修繕計画が現実的に運用されている物件であれば、単純に“旧耐震=危険”とは言い切れません。

また、購入価格が十分に安ければ、将来価値が目減りしても総額では損失が限定的という考え方もあります。

問題は“築年数”より“管理”

不動産の現場で重視される分かれ目は、実は「耐震基準」よりも「管理体制」です。

・修繕積立金は足りているか

・滞納はないか

・理事会は機能しているか

・議事録は透明性があるか

築古でも管理が優秀な物件は、驚くほど健全です。逆に新耐震でも管理が崩れている物件は危険です。

旧耐震を検討するなら、“建物そのもの”より“住民の質と合意形成能力”を見るべきです。

結論:安さの理由を理解できるか

旧耐震マンションは「安いから危ない」のではなく、「リスクが織り込まれているから安い」のです。そのリスクを理解し、受け入れられるなら選択肢になります。理解せずに価格だけで飛びつくなら、避けるべきです。

不動産は正解が一つではありません。重要なのは、自分のライフプランと資金計画に照らして“納得して選ぶ”ことです。

旧耐震か新耐震か。その二択に見えて、実は問われているのは「あなたは何を優先しますか?」という問いなのかもしれません。