共働き世帯限定「ペアローン」のメリット・デメリットとは?

不動産コラム

住宅の価格が上昇している現在、一人で住宅ローンを借りようとすると希望する金額に届かないケースもあります。共働き世帯の場合は、夫婦それぞれが住宅ローンを借入れする「ペアローン」という方法があります。単独で住宅ローンを借入れするよりも借入れ出来る金額がアップするので、利用者も増加傾向にあるようです。ただし、ペアローンにはメリット・デメリットがあります。詳しく見てみましょう。

ペアローンとは

夫婦2人がそれぞれ、つまり2本の住宅ローンを借入れするのがペアローンです。お互いがお互いの連帯保証人にもなります。似たような借入れ方法に「収入合算」がありますが、これは夫の収入に妻の収入を足して世帯年収として一つの住宅ローンを借入れします。全く別の方法ですので混同しないようにしましょう。

メリットは大きく4つ

ペアローンのメリットは大きく4つあります。

①借入れ金額を増やせる

まずは単独よりも借入れ金額を増やせることです。住宅の価格が上昇する中、夫単独では3000万円しか借りられないところ、妻も住宅ローンを組めば2人で6000万円の借入れが可能ということも。ペアローンで手の届かなかった物件も検討出来る、単独ローンより頭金を減らせる、となります。

②2人とも団体信用生命保険に加入出来る

住宅ローンに必須の団体信用生命保険も、それぞれが加入します。収入合算では1人しか保険に加入出来ません。もしも合算者(妻)に万が一の事があった際には、夫は1人の稼ぎでこれまで通りの金額を返済し続ける事になります。この点ではペアローンの方が安心と考える人もいるでしょう。

③それぞれの自由に組み方を変えられる

ペアローンは2本のローンとなりますので、それぞれの期間、金利タイプなどを自由に選択出来ます。夫は35年変動金利、妻は25年固定金利、とリスク分散して借入れすることも出来るのです。バランスを見ながら、より有利に住宅ローンを組むことが可能です。

④住宅ローン控除をそれぞれ受けられる

ペアローンで借入れすると、共有名義となります。住宅ローンも2本存在するので、要件を満たせば夫と妻それぞれが住宅ローン控除を受ける事ができます。場合よっては、単独で控除を受けるよりも多く節税することが可能です。

一方でデメリットは

ペアローンには単独ローンにはない魅力がありますが、残念ながらデメリットもあります。

①諸費用がかかる

住宅ローンが2本になるので、その分諸費用がかさみます。銀行に支払う事務手数料、契約の印紙代、登記費用など、単独ローンよりも若干多めとなります。将来の繰上げ返済や借替え時の手数料も2本分となることを覚えておきましょう。

②団体信用生命保険は100%ではない

団体信用生命保険にそれぞれ加入出来ることはメリットの一つでしたが、どちらかに万が一の事があっても保険で弁済されるのは片方の債務のみです。相手が亡くなってローンがゼロになっても、自分が存命であればローンはそのまま支払い続けることになります。あくまで借入れ金額に応じた保険となります。夫婦連生型の保険の場合に限り片方に何かがあってもローン全額が弁済されますが、その分保険料として金利が上乗せされます。

③相手の債務にも責任がある

ペアローンではお互いに連帯保証人となりますが、この意味をしっかり理解しておく必要があります。自身の借入れだけでなく、相手の借入れにも責任が生じる契約となりますので、相手が病気や怪我で働けなくなった、出産などで収入が減った、リストラにあった、などの不測の事態にも備えておかなければなりません。別々の借入れですが、ローン全額に対して返済義務があるのです。

④もしも離婚した場合にはリスクが大きい

もしも数年後に離婚してしまったら、大変なことになってしまいます。その家を売却してローンを完済したいと考えていても、売却価格が残債を上回れば良いのですが、多くの場合売却してもローンが残ってしまう結果になります。ペアローンでより大きい金額を借入れしているケースが多いので、早い時期に婚姻が破綻すると非常に厳しい状況になります。共有名義であるため、売却することに相手同意してくれず難航する場合もあります。

また、離婚しても連帯保証人である事は変わりません。ローンを完済しない限り契約は存続します。離婚した相手方が返済を滞らせた場合には、当然その分も支払う必要があります。

離婚を前提にペアローンを組む人はいませんが、万が一の時にはこうしたリスクがあることを知っておきましょう。

借入れ金額が増やせるメリットが大きいペアローンですが、資金計画は万が一を想定し、しっかりとライフプランを立てた上で活用しましょう。