『定期借地権付きマンション』とは?メリット・デメリットを解説

不動産コラム

マンション探しをしていると、まれに『定期借地権付き』という物件に出会うことがあります。通常の分譲マンションでは土地の権利について『所有権』で取り引きされる事がほとんどです。◯◯◯号室という部屋を買った場合でも、敷地も一緒に購入しているのです。ただしここからここまでという具体的な範囲ではなく、共有持分という割合で所有しています。では『定期借地権付き』の場合は、どういった決まりになるのでしょうか。メリットやデッメリットについても見ていきましょう。

『借地権』とはどういう権利?

まず『借地権』とはどんな権利なのでしょうか。借地とは文字通り、土地を借りること。つまり「建物を建てるために土地を借りる権利」で、土地の所有者(地主)に対して地代を支払います。現在では『普通借地権』と『定期借地権』とに分類され、マンションでは『定期借地権』の中の『一般定期借地権』が主に利用されています。

『定期』ですから、土地を借りる事ができる期間に定めがあります。さらに期間終了後には、土地を更地にして所有者に返還する決まりとなっています。

借地権付きマンションはどんなマンション?

では、定期借地権付きマンションとはどんなマンションなのでしょうか。

前述の所有権のマンションと違い、借地の上に建築された建物の購入者は地主に対して地代を支払います。契約期間が満了となると建物は解体して更地にし、地主へ返還しなくてはなりません。それ以外は所有権のマンションと同じく、中古マンションとして売却したり賃貸に出すことも出来ます。

定期とはどのくらいの期間?

では定期借地権付きマンションは、どのくらいの期間住み続けることが出来るのでしょうか。

一般定期借地権の期間は、50年以上と定められています。所有権のマンションでも50年住み続けることを考えると遜色ないと感じるかもしれません。

ただし、契約期間には建物を解体して更地に戻すための期間も含められています。工事に1~2年は掛かると想定すると、契約期間60年の場合、約58年間住み続けられることになります。

定期借地権付きマンションのメリット

定期借地権付きマンションでは、物件価格に土地代が含まれていません。その結果、一般の所有権マンションよりも価格が安くなる傾向にあります。さらに土地を所有していないので、土地分の固定資産税が掛かりません。ただし、土地の固定資産税は所有者全員の持分で按分するため、元々高額ではありません。大幅な減税とはならない事を知っておきましょう。

いつかは地主に土地を返還する、この意味を地主目線で考えるとどうでしょうか。マンションの建設計画があった時、土地を売却しなかった。つまり手放すには惜しい土地だったと考えられます。定期借地権付きマンションは、駅前や都心部など立地条件が良いケースが多いようです。

独特の費用がある

一方で、所有権のマンションを購入する時には聞いた事がない費用があります。

まずは購入時に必要になるのが「解体準備金」、土地を借りるための「保証金」「土地権利金」「前払い賃料」などです。物件によって要件が違いますので、都度確認しましょう。

さらに定期的に必要となるのが「地代」と「解体積立金」です。(前払い賃料として全額支払っている場合には、毎月の地代はかかりません。)

マンションの出費としては「管理費と修繕積立金」がありますが、定期借地権付きマンションでも同様に徴収されます。ここに地代と解体積立金が加わりますので、毎月のランニングコストは割高になってしまいます。

デメリットはある?

住宅ローンを借入れする際には注意が必要です。所有権マンションと比べ、住宅ローンが借りにくいのがデメリットです。フラット35では借地権でも融資可能となっていますが、抵当権を設定するなどの条件がありますので金融機関に確認しましょう。

また、定期借地権付きマンションを中古で購入する場合には特に注意が必要です。築年数が経過している物件では、借地契約の残り期間が何年残っているかがポイントになります。例えば残り期間10年しかない場合には、担保価値が長く続かず住宅ローンも長期間での返済が難しくなります。

定期借地権付きマンションに向いている人とは?

所有権のマンションと比べ注意する点もある定期借地権付きマンションですが、安く購入できてしかも良い立地に住みたい人には向いています。また将来、子どもへの相続考えなくても済む人にも向いています。住み続けるのは自分達の世代だけ、老後は施設で暮らしたり田舎へ戻るなどのライフプランを考えている方にはぴったりです。

そもそも定期借地権付きマンションは流通している棟数も非常に少ないのですが、「一定期間住めばOK」と割り切れる方にはおすすめの物件です。