購入前に必ずチェック!「ペット可」マンションの注意点

不動産コラム

「ペット可」とされている分譲マンションは、2005年(平成17年)以降に完成した物件では実に9割以上にものぼります。ペットを飼育している世帯が増え、物件に付加価値を付けるという目的もありますが、2004年(平成16年)の「マンション標準管理規約」でペットの飼育を認めるか認めないかを規約で定めることが求められるようになったことも要因です。今回は、契約前に知っておくべきペット可マンションのポイントを解説します。

管理規約を必ず確認する

ペット可の分譲マンションでは、必ず管理規約にペットを飼育する上でのルールが細かく設定されています。新築マンションでは重要事項説明書や管理規約案を読みましょう。中古マンションでは、元々ペット禁止としている物件も多く、築年数が古いほどその傾向は高くなります。ペット禁止のマンションをペット可にするには管理規約の変更が不可欠です。かなりハードルが高いため、入居後に変更できる確率は低いと認識しましょう。

ペット飼育の基本ルール

ペット可としている管理規約では、さらに細かくルールが定められています。

  • 飼育可能なペットの種類

犬、猫、小鳥、熱帯魚など具体的な動物の種類が決められています。

また鳥と言っても伝書鳩のように屋外に放つようなもの、爬虫類や猛禽類、人に危害を加える恐れのある動物は

禁止されているのが一般的です。禁止事項も確認しましょう。

  • 飼育可能な頭数や大きさ

さらに飼育できる頭数とサイズにも制限があります。通常は「犬・猫どちらか一匹」や「犬・猫合わせて2匹まで」などとされています。

また大きさや体重にも細かく規定があり、「成体時の体重〇キロ以下」「胸骨から尾骨まで〇センチ以下」などとされています。マンション内ではエレベーターに乗る際、基本的には抱きかかえられること、ケージに入れて移動することが求めるため、大型犬は飼育不可なケースがほとんどです。曖昧な表現になっている場合は、都合の良い解釈をしないよう注意が必要です。

ただし、盲導犬や介助犬など特殊な動物はサイズオーバーが認められています。

さらに「今住んでいる住民のペット一代のみ」とされている場合は、今住んでいる住人がペットを増やしたり、新規入居者がペットを飼ったりはできないので要注意です。「今飼っているペット一世代に限る」場合、新たに飼い始めたり、今飼っているペットが子供を産んだりは認められません。

  • 管理組合への申請手続き

ペットを飼育している入居者は、管理組合への申請が必要です。ペットの種類、数、特徴など所定の内容を記載して届け出を行います。当該のペットの写真添付を求められるケースもあります。新たに飼育する場合には、事前に申請義務があるかも確認しておきましょう。

ペットの飼育が多い物件では、飼育者を対象とした「ペットクラブ」が設立されていることがあります。飼育者同士のコミュニケーション図り、モラル向上のための講習会などを開いています。ペットクラブは会費を徴収しているケースが多いので、ラニングコストを確認しましょう。

またペットを飼育する上では、予防接種やワクチン接種が不可欠です。規約でも義務化されているかを確認しましょう。

  • 共用部分の利用ルール

特に犬の場合は散歩で外出する際に、共用廊下、エレベーター、エントランスの通行が不可欠となります。

リードの着用、ケージの利用など他の居住者に対する配慮義務が定められているかを確認します。

ペットを飼育していない人の中には、動物が苦手な人、アレルギーを持っている人などもいます。特にエレベーターなどの狭い空間では配慮が必要となりますので注意しましょう。

  • 騒音・臭い対策

鳴き声に対する騒音対策、臭い対策について規定されているかを確認しましょう。

当然ながら、飼育できる空間は専有部分のみです。共用部分であるバルコニーで飼育することは禁止です。また、バルコニーでブラッシングなどをすると、被毛が他住戸へ飛ぶことがあります。マンションの敷地内で糞便をさせることも臭いの原因となります。鳴き声や匂い意外にも、気を付けるべきポイントがありますので注意しましょう。

  • 罰則規定の有無・規約変更の可能性

万が一ルール違反をした際に、罰則規定があるのかも事前に確認しておきましょう。

また、これまでの規約変更の履歴や、ペット規定に関する総会・理事会議事録も確認しましょう。ルール違反が多いと将来的にペット禁止となる可能性もゼロではありません。

中古マンションで確認すべきポイント

中古マンションでは、物件の内見時に次のポイントも確認しましょう。

  • ペットの足洗い場があるか
  • エレベーターにペットスペースやペットボタンがあるか
  • バルコニーや戸境壁に隙間はないか(落下や逃走防止のため)
  • ペットの散歩に適した公園や遊歩道があるか
  • 動物病院やペットショップへのアクセスは良好か
  • 入居者のペット飼育にたいする理解度(ペット飼育の世帯がどのくらいか、好意的かなど)

ペット可マンションでは、ペットを飼育していない入居者への配慮を忘れてはいけません。お互いが気持ちよく生活するためのルールですので事前にしっかり確認し、モラルをもって飼育しましょう。