セカンドハウスを買うとき−住宅ローンはどうなる?−

不動産コラム

すでにマイホームを購入済みの方で、さらにもう1つ家が必要になることがあります。これを「セカンドハウス」と言います。いわゆる「別荘・別宅」と呼ばれる余暇を楽しむ住居は、昔から「贅沢の象徴」や「お金持ち」のイメージがありますが、最近ではそうした目的に限らないケースも増えてきました。

例えば、老後のために利便性の良い都心部にマンションを購入する、仕事の関係で通勤時間短縮のために購入する、親や子供に住まわせるために購入するといった目的の場合です。

2軒目のマイホームとなると、実は初めて持ち家を買う時の住宅ローンとは少々審査が異なります。

セカンドハウスローンと住宅ローンの違い

まず一般の住宅ローンは、自分たちが居住するための家を購入する資金として借入れします。これを「自己居住用」と言います。最近では変動金利で1%以下の商品も沢山あり、低金利で借入れすることが可能です。審査も銀行によっては年収200万円以上とハードルも低く、他に車のローンや教育ローンなど大きな借入れがなければ、基準の範囲内で借入れすることが出来ます。

ところが、すでにマイホームを持っている人がセカンドハウスを持とうとすると「ローンを組む」という場面でかなり厳しい条件をクリアしなくてはいけません。

セカンドハウスは、一つ目のマイホームに比べ「必要性が低い」と判断されます。もちろんその人にとっては必要だから検討しているのですが、お金を貸す側としてはかなりリスクが高いものとして見るのです。

ですから収入基準もさらに厳しく、また貸し出し金利も一般の住宅ローンに比べて高め(2%~3%台)になっています。他にも勤続年数◯年以上、最低年収◯◯◯万円以上などの条件も付けられている場合もあります。そもそもセカンドハウスに対応したローンを扱っていない金融機関もありますので、事前に確認しましょう。

住宅ローンを支払い中の場合

現在マイホームの住宅ローンを支払い中のあなたが、2軒目のセカンドハウスローンを組みたい場合、審査基準はどうなるでしょうか?

単純に、二つのローンを合わせた返済額の返済負担率が基準内に収まっているかを計算します。車のローンやクレジット払いがあると、その支払い込みで審査されるのと同じ扱いとなります。

現住宅ローンの年間返済額をプラスする、またはその時点で残っているローンの元金をプラスする、銀行によって計算方法は決まっていますが、基準をクリアするにはそれなりに高い年収が求められます。

また、1軒目のマイホーム購入から数年経っていると借入れする本人の年齢も上がっています。ということは、会社員であれば定年までの残りの年数も短くなりますし、完済までの期間も短くなってきます。「借入れ年数が短くなる=支払い金額が上がる」ということになるので、実際にダブルでローンを組む場合には、「借入れできても支払えるか」をしっかり検討しなくてはなりません。

住宅ローンを完済している場合

現在のマイホームの住宅ローンをすでに完済している場合には、上記のケースより数字上の審査はクリアしやすくなります。年収に対して基準内に収まっているか、年齢に対して借入れ期間が妥当かを審査されます。

ただし、いずれの場合にも金融機関が一番懸念するのは「賃貸に出して家賃収入を得るのでは?」ということです。セカンドハウスローンと投資用ローンはまた別の商品となりますので、規定外の利用目的で借入れすると、その事実が判明した時には一括返済を求められますので要注意です。

余談ですが、審査の際には現自宅の登記簿謄本の提出が求められます。所有者と住宅ローンが残っているか否かを確認するためです。住宅ローンを完済していても「抵当権の抹消登記」をしていないと謄本にはどこかの銀行の抵当権がついたままとなっています。その家を売却したり、再度ローンを借りようとした際には、その抵当権が邪魔をします。完済したら速やかに抹消手続きをすることをお勧めします。

フラット35はセカンドハウスでも借入れ出来る

住宅金融支援機構のフラット35(全期間固定金利)では、セカンドハウス用にも自己居住用と同じ金利で借入れすることが出来ます。また親や子を住まわせるためであれば「親族居住用」というカテゴリーがあります。

フラット35 では民間の金融機関と違い、毎月の実行金利が審査金利となります。現在だと1.3%前後で推移しています。民間の金融機関での審査金利は3%~4%なので、より借入れ金額を多くすることが可能になります。借り易さという面では非常に利用しやすいローンです。

ただし2020年4月より、現在フラット35 を返済中の方は二重借入れ(セカンドハウス目的でさらにフラット35を借入れすること)が出来なくなりました。当然フラット35でも投資や賃貸目的での利用は禁止されています。

また、セカンドハウスローンはっ住宅ローン控除は受けられません。セカンドハウスローンを借りたい場合には、審査条件をしっかり確認しましょう。