マイホームを購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。35年ローンを組むケースも珍しくありません。
しかし、若いうちはあまり実感が湧かないものの、住宅ローンには一つの大きな節目があります。それが「定年」です。一般的に定年は60歳〜65歳。一方で住宅ローンは、70歳や75歳まで返済が続く計画になっていることもあります。つまり、定年後も住宅ローンの支払いが残る可能性は十分あるということです。
若い頃は「その頃には何とかなるだろう」と思いがちですが、50代に入ると少しずつ現実味が出てきます。今回は、定年が近づいてきた50歳前後の方に向けて、実際に多い住宅ローンの向き合い方をご紹介します。
実は多い「予定より早い完済」
住宅ローンは35年で組む人が多いものの、実際の平均完済期間は約20〜21年程度とも言われています。
これは、
・繰り上げ返済をしている
・住み替えでローンを完済する
・退職金で返済する
・団体信用生命保険で弁済される
といった理由があるためです。
つまり、契約通り35年間払い続ける人ばかりではないということです。50代になると、住宅ローン残高もかなり減ってくるため、「残りをどうするか」を考え始める人が増えてきます。
パターン① 退職金で完済する
もっともよく聞くのがこの方法です。定年時に残っている住宅ローンを、退職金の一部でまとめて返済するというケースです。
長年のローンから解放される安心感は大きく、精神的にもすっきりするという声は多く聞かれます。ただし最近は、この方法に慎重な人も増えています。
理由は、老後資金が減ってしまうからです。退職金は、老後の生活費を支える大切な資金です。そこから数百万円〜1000万円以上を住宅ローン返済に使うと、老後資金が想像以上に減ってしまうこともあります。
そのため、
・退職金の一部だけ繰り上げ返済する
・あえてローンを残す
といった判断をする人も増えています。
パターン② 定年後も返済を続ける
最近はこのケースも珍しくありません。
定年後も、
・再雇用
・再就職
・自営業
・副業
などで収入を得ながら住宅ローンを払い続ける人も多くいます。住宅ローンの返済額がそれほど大きくなければ、年金と仕事の収入で無理なく返済できるというケースもあります。
また、低金利の時代になったことで、「急いで完済するよりも手元資金を残しておきたい」と考える人も増えています。
パターン③ 50代で繰り上げ返済を進める
50歳を過ぎると、住宅ローンの残高はかなり減ってきます。
このタイミングで、
・ボーナス
・貯蓄
を使い、繰り上げ返済を進める人も少なくありません。ポイントは、「定年までに完済する」ことだけが目的ではないということです。
例えば、
・月々の返済を10万円 → 5万円に減らす
・返済期間を短縮する
など、負担を軽くするだけでも老後の安心感は大きく変わります。
パターン④ あえて完済せず「資産運用」を選ぶ
最近は、住宅ローンを急いで完済しないという考え方も広がっています。理由の一つが、住宅ローン金利の低さです。
住宅ローンの金利が1%前後の場合、「繰り上げ返済をするより資産運用に回した方が効率が良いのでは」と考える人もいます。
例えば、
・NISAを活用した長期投資
・投資信託
・株式投資
などで資産形成を続けながら、住宅ローンは予定通り返済していくというスタイルです。もちろん、投資にはリスクがあります。
そのため、重要なのはローンを抱えたまま投資をすることに不安がないかという点です。住宅ローンを先に完済した方が精神的に安心という人もいれば、資金効率を優先する人もいます。
最近は、「完済だけが正解ではない」という考え方も広がっています。
50代になったら確認しておきたい3つのポイント
もし住宅ローンが残っている場合、50代のうちに一度確認しておきたいことがあります。
① 定年時のローン残高
あと何年、いくら残るのかを把握する。
② 月々の返済額
年金生活でも無理なく払える水準か。
③ 繰り上げ返済の余力
無理のない範囲で残高を減らせるか。
この3つを整理するだけでも、将来の見通しはかなりクリアになります。
住宅ローンは「完済年齢」で考える
住宅ローンを検討する際、多くの人が
・借入額
・月々の返済額
ばかりを気にします。しかし、もう一つ大切な視点があります。
それが、「何歳で完済するか」という考え方です。
50代は、住宅ローンと老後資金の両方を同時に考える年代でもあります。焦って完済する必要はありませんが、「今のままで定年後どうなるのか」を一度シミュレーションしておくことはとても重要です。
住宅ローンとの付き合い方は人それぞれです。
退職金で完済する人もいれば、定年後も無理なく返済を続ける人、資産運用を優先する人もいます。大切なのは、自分に合ったバランスを見つけることです。
50代は、そのバランスを整えるための大切なタイミングと言えるかもしれません。

