「表題登記」とは?仕組みと目的を解説

不動産コラム

マイホームを購入する時に諸費用概算書を作ってもらうと、「登記費用」という項目があります。

登記費用の中身を見てみると、新築物件を購入したり建築した場合には「表題登記費用」という項目が含まれています。中古物件の場合には、基本この費用は必要ありません。新築と中古では異なる「表題登記」とは、一体どんな手続きなのでしょうか。

登記の流れ

そもそも不動産登記とは、どうして必要なのでしょう。法務省のHPによると、「不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。」とあります。そのためには、不動産の現況や権利関係を法務局に備えられる「登記記録」に入力するための申請手続きを行います。これが不動産登記です。

法務局の登記記録上のデータを紙に印刷したものを「全部事項証明書」と呼びます。この名称は昔は「登記簿謄本」と言われていましたが、今でも俗称として使われるこが多く「謄本を取る」「謄本をあげる」などと言われます。また税務署などでは「登記事項証明書」等の名称で案内されることもありますが、3つとも同じ書類のことを指しています。

登記記録は「表題部」「甲区」「乙区」から構成されています。表題部は土地または建物についての物理的状況、甲区は所有権に関する権利関係、乙区は所有権以外に関する権利関係を記載しています。

表題登記とは

新築物件はこれまで法務局にも記録が存在していません。そのため、建物を新築した時には必ず建物の物理的状況、つまり所在・種類・構造・床面積・および所有者の住所・氏名などを登記申請します。これが表題登記です。

登記法上、マンションのように区画ごとに分譲される建物(区分建物)の建築主は、完成してか1ヶ月以内に表題登記申請をしなければなりません。一方戸建て住宅については、「区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者」(買主)でも表題登記の申請者になる事ができます。

ちなみに表題登記は、土地のついては不要なのでしょうか?基本的に、土地はすでにあるものなので、公私だれかが所有しています。ただし例外として、新たに土地が生じたとき(埋め立てた時、水面上に土地が隆起した時など)や、国有地(里道、水路等)の払い下げを受けた後など、表題登記がない土地を取得したときには、土地の表題登記申請が必要になります。

表題登記は誰が行う?

登記というと真っ先に思い浮かぶのは司法書士ですが、実は表題登記を専門に行なっているのは土地家屋調査士です。そのため登記費用とひと口に言っても、正確には表題登記費用とその他の登記費用は支払い先が別になります。

表題登記は申請してから約3週間かかりますが、表題登記が完了していないと次に行う所有権や抵当権の登記を行うことができません。引き渡しを行う前日までに完了しておく必要があります。 

とあるマンションの全部事項証明書です。冒頭の表題部はこのようになっています。マンションの場合には、まず建物全体の表題部「一棟の建物の表示」が記載されます。マンションの構造・床面積・敷地権の土地の表示がされます。その下段に次専有部分の表題部が続きます。部屋ごとの種類・構造・床面積・敷地権割合などの表示がされます。

ここで重要なのが専有部分の床面積です。パンフレットやホームページなど、これまで床面積として認識していた数字より小さいケースがほとんどです。例えば、「73㎡の部屋を買ったはずなのに69㎡になっている」といった具合です。これは測量方法の違いよるもので、パンフレット面積が壁芯面積なのに対し、登記面積は壁の内側(内法)面積になっているからです。土地家屋調査士は、建物が完成すると図面集や現場からもらった施工図面をもとに現地調査を行います。図面に形状に変更がないか、パイプスペースなど登記面積に参入しない部分などの確認を行い、正確な登記面積を計測するのです。図面と差異があれば現状を優先し、写真などを撮影した上で法務局へ提出します。

表題登記に係る費用は、土地調査士への手数料です。したがって、マンションの場合にはどの住戸でも一律金額になっています。

中古マンションの場合には、新築時に手続きが終わっているので必要ありません。ただし戸建てで以下のケースでは、「表題変更登記」を申請する必要があります。

  1. 改築、リフォームしたときなどで、屋根部分の種類が変わったとき
  2. 増改築したとき
  3. 車庫を作ったとき
  4. 木造から鉄筋にしたとき
  5. 改築後に建物の広さが変わったとき
  6. 店舗から住居に変わったとき

中古物件でリフォームをする際には、表題登記の変更申請が必要かを確認しましょう。