転勤族のお悩み「持ち家」はいつ買うのが正解?

不動産コラム

転勤族の人は「持ち家」を購入しづらいという悩みがあります。

思い切って持ち家を購入したとたん転勤になってしまったり、悩んでいるうちに狙っていた物件を買いそびれたり。 転勤先では勤務先が用意してくれた家があるので、急いで持ち家を購入する必要がありません。どうしても決断できずに、タイミングを逃してしまいがちです。

今回は、転勤族の人が持ち家を購入するタイミングや、注意点について考えてみたいと思います。

転勤族の実情

転勤がある企業のうち、国内転勤・海外転勤が多い年齢層は、30代~40代がピークとなっています。30代~40代といえば、ちょうど結婚したり家族がふえたりといったライフイベントが多い時期でもあり、まさに持ち家購入を検討する時期と重なっています。

また転勤の回数も1回~2回、3回~4回の順で多く、1回の転勤で赴任している期間は3年程度が群を抜いており、ついで5年程度となっています。

転勤に伴う住居問題は、企業側が社宅を用意したり住宅補助を出して負担を軽減してくれます。それゆえに焦って持ち家を購入する必要もなく、逆に購入することでお金の負担や不安が増えてしまうため「先送り」にしてしまいがちです。

ですが賃貸で家賃を払っている人に比べて住居費が抑えられた状況に慣れてしまうと、つい出費の多い生活を送ってしまう人もいます。

定年間近で購入するときの注意点

もしも十分な貯蓄がされていないまま40代~50代に差し掛かると、いざ購入となった際に住宅ローンの比重が大きい資金計画となってしまいます。

ある程度高収入の熟年層の方で自己資金が少ないために、目いっぱい住宅ローンを組みたいと言われることがあります。若い人に比べると高年収なので、計算上では多めに借入れすることが可能です。しかし、銀行側としては「あと何年勤められるのか」「この高年収がいつまで続くのか」「あと数年で定年なのに、その後の支払い計画はどうするのか?」とシビアに審査します。

また若い年代と違って住宅ローンを返済する期間も短くなるため、必然的に返済額もアップします。当然、定年後にも支払いが続くことになるので支払い計画は十分に練ったものにしておかなければなりません。老後の生活資金も確保しておく必要がありますので、「退職金で一括返済」は現実的ではありません。

やっと転勤生活も落ち着いてさあ持ち家を買おう!となった頃には、今度は住宅ローンの様々な問題が立ちはだかってくるのです。ある程度年齢を重ねてからの持ち家購入は、十分な自己資金を準備しましょう。

「先送り」をせず購入を検討しよう

多くの場合、「転勤がなくなって落ち着いてから買いたい」と考えます。しかし、実際は「早く購入したほうが、生涯居住費は抑えられる」結果になります。

例えば40歳までマイホーム購入を先送りした場合。それまでの期間に頭金を貯めることは可能ですが、その期間ずっと家賃負担も発生します。住宅ローンも40歳スタートで35年返済にすると、完済年齢は75歳です。定年後もローン返済に加え、マンションであれば毎月の管理費や修繕積立金といったランニングコストもかかります。計画的な繰り上げ返済をしなければ、老後の資金が圧迫されかねません。

一方、頭金は十分に溜まっていないかもしれない30歳で購入した場合。当然住宅ローンの借り入れは多くなりがちですが、余計な家賃を支払わなくてよいので生涯住居費は抑えやすくなります。繰り上げ返済をしなくても、住宅ローンを65歳で完済することもできます。

今はまだ住宅ローン控除で戻ってくるお金を期待することができますが、だんだんと縮小傾向にありますので将来的には「撤廃」もあり得ます。また住宅ローンの金利も上がるリスクがあります。

一般論でいえば、転勤族であっても先送りはしないほうがよさそうです。

転勤族向けの「持ち家」とは

転勤の可能性があるうちに持ち家を購入すると、住めなくなった場合に「貸す」「売る」「家族が住み続ける(単身赴任)」という選択肢になります。

例えばマンションであれば「駅まで近い」「複数の路線が使える」などとにかく交通アクセスが良いことがポイントとなります。「駅徒歩5分以内」に絞るなど、住めなくなった時のことを念頭に物件探しをしましょう。

また貸すことを想定した場合には、人気のファミリータイプ3LDKではなくても大丈夫です。50㎡前後のコンパクトタイプでも、若年層や単身世帯の賃貸ニーズがあるので貸しやすくなるからです。コンパクトタイプであれば購入時の価格が抑えられ、売却の際にはローンの残債を十分上回る価格で取引しやすくなります。この時も、交通アクセスや利便性を重視して物件を選びましょう。

次の転勤の数年間だけ離れるけれど、また戻ってくることが確実な場合などは、家族の生活環境を重視しましょう。特に子供がいる家庭では学校の問題があります。子育てのしやすい自治体や実家の近くを選ぶのがおすすめです。