今貰って大丈夫?住宅取得資金の非課税制度は「時期」と「要件」が命

不動産コラム

親や祖父母からの資金援助を受けてマイホームを取得するケースは珍しくありません。しかし、贈与を受ける時期や制度要件を誤ると、非課税制度が使えず高額な贈与税が発生するという重大なリスクがあります。

さらに、現行制度は令和8年12月までの時限措置であり、令和9年以降に引渡しを予定している方は特に注意が必要です。

本記事では、住宅取得資金の非課税制度の基本、適用要件、確定申告のポイント、そして制度延長の可能性まで詳しく解説します。

住宅取得資金の非課税制度とは

親や祖父母などの直系尊属から住宅取得のための資金援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。

◎省エネ住宅:1,000万円

◎その他の住宅:500万円

この非課税枠は、通常の暦年贈与の基礎控除110万円とは別枠で利用できるため、贈与税対策として非常に有効です。

適用要件で特に重要なポイント

制度を利用するには、複数の要件をすべて満たす必要があります。特に次の点は見落としが多く、注意が必要です。

● 贈与の時期

 贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居すること

 贈与を受けた年に住宅の契約をしていること

 贈与→契約→引渡し→入居→確定申告の順序が要件に合致していること

時期を誤ると制度が使えず、贈与税が数百万円になるケースもあります。

● 直系尊属からの贈与であること

 対象は父母・祖父母などの直系尊属に限られます。

 兄弟姉妹や叔父叔母からの贈与は対象外です。

● 贈与を受けた人の合計所得金額が2,000万円以下

 前年の合計所得が2,000万円を超えると制度は利用できません。

 給与所得者の場合、年収の目安は約2,500万円前後です。

 また、買替をする方は売却益が発生するとその年だけ所得が跳ね上が る可能性があるため、注意が必要です。

● 住宅の面積要件

 床面積:50㎡以上240㎡以下

 50㎡未満のコンパクト住宅は対象外

(贈与を受ける年分の受贈者の合計所得金額が1000万円以下の場合には、40㎡以上50㎡未満の物件も対象となります。)

あくまで登記面積で判定されるため注意が必要です。

● 新耐震基準に適合していること

中古住宅の場合、昭和56年6月1日以降の新耐震基準に適合している必要があります。

耐震基準適合証明書の取得が必要なケースもあります。

● 過去に一度も制度を利用していないこと

 住宅取得資金の非課税制度は一生に一度しか使えません。

● 資金の使途は「物件本体」に限られる

 ここが非常に重要です。

 ・諸費用(登記費用・仲介手数料・火災保険など)

 ・ローンの繰上げ返済

 ・外構工事や家具家電

これらには非課税資金を充てることはできません。

あくまで「建物本体・土地代金」に充てた部分のみが対象です。

確定申告のポイント

住宅取得資金の非課税制度を利用する場合、必ず確定申告が必要です。

主な必要書類

贈与税申告書

住宅取得等資金の非課税の明細書

売買契約書または工事請負契約書

登記事項証明書

入居日が記載された住民票

特に「入居日」は要件判定に直結するため、住民票の取得タイミングに注意が必要です。

非課税だからと申告しないでいると大変なことになります。期限を1日でも過ぎると適用を受けられませんので、要注意です。

現行制度は令和8年12月まで

現行制度は、令和8年12月31日までに契約した住宅が対象です。

ここで問題となるのが、令和9年3月16日以降に引渡しを受ける物件です。

● なぜ不安があるのか

贈与を受けるのは令和8年

引渡し・入居は令和9年

しかし制度は令和8年で終了予定

この場合、翌年3月15日までに入居する要件を満たせない可能性があります。

制度延長の可能性はあるのか

過去の税制改正では、住宅取得資金の非課税制度は数年ごとに延長されてきました。ただし、延長されるとしても内容が同じとは限りません。過去の傾向では

 ・非課税枠が縮小された

 ・対象となる住宅性能の基準が厳格化

 ・経済状況に応じて制度内容が変更

 といった現象が見受けられます。

したがって、令和9年以降の制度は現時点では不透明です。

令和9年以降に引渡し予定の方が取るべき行動

贈与時期の調整

制度延長が発表されるまで贈与を急がない

引渡し時期を前倒しできないか検討

税理士や不動産会社にスケジュールを確認

贈与は一度行うと取り消しができないため、慎重な判断が必要です。

まとめ

住宅取得資金の非課税制度は非常に魅力的ですが、適用要件が多く、特に贈与の時期と資金の使途が最大のポイントです。

さらに、現行制度は令和8年で終了予定のため、令和9年以降に引渡しを予定している方は特に注意が必要です。

制度を最大限に活用するためには、早めの情報収集とスケジュール管理が欠かせません。

不安がある場合は、税理士や不動産の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。