マイホームを購入する際、多くの方が思い浮かべる税制優遇といえば「住宅ローン控除」ではないでしょうか。しかし、一定の性能を備えた住宅を取得した方だけが利用できる、もう一つの税制優遇制度があります。それが「認定住宅等新築等特別税額控除」です。
住宅ローンを利用せず現金で住宅を購入した場合でも、一定の要件を満たせば所得税の負担を軽減できる制度ですが、住宅ローン控除ほど知名度が高くないため、制度自体を知らない方も少なくありません。
今回は、この制度の概要や適用要件、手続きの流れ、利用する際の注意点について分かりやすく解説します。
認定住宅等新築等特別税額控除とは?
認定住宅等新築等特別税額控除とは、省エネ性能や耐久性など一定の基準を満たした住宅を新築または取得した場合に、認定基準を満たすための「標準的なかかり増し費用」の10%を所得税から控除できる制度です。
対象となる住宅は、主に次の3種類です。
・認定長期優良住宅
・認定低炭素住宅
・ZEH水準省エネ住宅
控除額は住宅価格ではなく、「標準的なかかり増し費用」を基に計算します。この費用は、登記上の床面積(登記面積)に国が定める45,300円/㎡を掛けて算出されます。
例えば、登記面積80㎡の場合は、
45,300円×80㎡=3,624,000円
3,624,000円×10%=362,400円
が控除額となります。
また、登記面積100㎡の場合は、
45,300円×100㎡=4,530,000円
4,530,000円×10%=453,000円
となります。
なお、標準的なかかり増し費用の上限は650万円のため、控除額の上限は65万円です。この上限額となるのは、おおむね登記面積150㎡程度の住宅となります。そのため、一般的な分譲マンションでは、実際の控除額は30万円台から40万円台となるケースが多いでしょう。
住宅ローン控除との違い
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得した方を対象とした制度で、一定期間にわたり所得税などの控除を受けられる制度です。
一方、認定住宅等新築等特別税額控除は、認定住宅等を取得した際に利用できる制度で、住宅ローンを利用しない現金購入の方でも適用を受けられることが大きな特徴です。
住宅ローン控除との重複適用はできませんが、現金一括で住宅を購入し、所得税を納めている方にとっては、住宅取得時の負担を軽減できる貴重な税制優遇制度といえるでしょう。
適用を受けるための主な要件
制度を利用するためには、一定の要件を満たす必要があります。
主な要件は次のとおりです。
・認定住宅等を新築、または未使用の状態で取得していること
・取得後6か月以内に居住を開始すること
・その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
・住宅の床面積が50㎡以上で、その2分の1以上を自己居住用として使用すること
・一定の譲渡所得の特例などを受けていないこと
また、認定住宅であることを証明する書類や、標準的なかかり増し費用証明書なども必要になります。これらは住宅会社から交付されることが一般的ですので、引渡し時に忘れず受け取って保管しておきましょう。
手続きは確定申告が必要
この制度を利用するためには、会社員の方でも初年度は確定申告が必要です。
主な提出書類は次のとおりです。
・確定申告書
・登記事項証明書
・売買契約書または工事請負契約書の写し
・認定住宅であることを証明する書類
・標準的なかかり増し費用証明書
・本人確認書類 など
なお、本制度は所得税から控除されますが、その年だけで控除しきれなかった金額については、翌年分の所得税からも控除を受けることができ、最大2年間にわたって控除を受けられます。これは本制度の大きな特徴の一つです。その際にも確定申告を忘れないようにしましょう。
制度を利用する際の注意点
認定住宅等新築等特別税額控除には適用期限が設けられており、税制改正によって制度内容が見直されることがあります。
また、令和10年以降に入居する場合は、土砂災害特別警戒区域(災害レッドゾーン)など一定の区域内に建築された新築住宅は、原則として本制度の対象外となります。住宅性能だけでなく、立地条件についても確認しておくことが大切です。
さらに、本制度を利用するためには確定申告が必要です。認定住宅であることを証明する書類なども必要となるため、住宅会社から受け取る書類は大切に保管しておきましょう。
まとめ
認定住宅等新築等特別税額控除は、長期優良住宅や認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅など、高性能な住宅を取得した方が利用できる税制優遇制度です。
特に住宅ローンを利用せず現金で住宅を購入された方にとっては、所得税の負担を軽減できる貴重な制度です。また、控除しきれなかった場合は翌年へ繰り越され、最大2年間にわたって所得税の控除を受けられる点も大きなメリットといえるでしょう。
制度を利用するためには、一定の要件を満たすことに加え、確定申告や必要書類の提出が欠かせません。住宅取得を検討されている方は、こうした税制優遇制度も上手に活用し、少しでも負担を軽減しながら理想の住まいを手に入れましょう。

