マンションの購入を検討しているものの、「もう少し待てば価格が下がるのでは?」「金利が落ち着いてから購入したい」と考え、決断を先送りにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、マンションは決して安い買い物ではありません。少しでも有利な条件で購入したいと考えるのは当然です。しかし、現在の不動産市場では、購入を待つことが必ずしも得策とはいえない状況になっています。
その背景にあるのが、建築費の高騰と住宅ローン金利の上昇です。今回は、この2つの動向から、マンション購入のタイミングについて考えてみましょう。
建築費の高騰がマンション価格を押し上げている
近年、建設業界では建築資材の価格上昇に加え、人手不足による人件費や物流費の上昇など、建築コストを押し上げる要因が続いています。
こうした建築費の動向を把握する指標の一つに「建築費指数」があります。建設物価調査会が公表している指数を見ると、マンションなどの鉄筋コンクリート造の建築費は上昇傾向が続いています。
2026年9月の集合住宅(鉄筋コンクリート造)の工事原価指数は147.7(2015年平均=100)となっています。
建築費指数は工事費の動向を示すもので、マンションの販売価格そのものではありません。しかし、建築コストが上昇すれば、新たにマンションを建設する際の事業費にも影響します。土地の仕入れ価格や販売経費なども含めたコストが増えれば、最終的な販売価格にも反映せざるを得ません。
つまり、今後販売されるマンションが、以前と同じ価格水準で供給されるとは限らないのです。
2年前と現在では、同じ広さでも数百万円の差?
では、建築費の上昇は、実際のマンション価格にどの程度影響するのでしょうか。
例えば、2年前に65㎡・5,000万円で販売されていたマンションと、同等の立地・仕様の物件を現在新たに供給すると仮定してみましょう。
建築費や人件費などの上昇を販売価格に反映すれば、5,300万円前後、場合によってはそれ以上の価格設定になっても不思議ではありません。
もちろん、これは価格上昇を想定した試算であり、実際の販売価格を予測するものではありません。土地の取得時期や建築費、販売戦略などによっても価格は異なります。
しかし、同じ広さ、同じような条件の住まいを手に入れるために、わずか2年で数百万円の差が生じる可能性があるということです。
また、建築費の上昇は価格だけでなく、マンションの商品企画にも影響します。建築コストを抑えるために専有面積を小さくしたり、設備や仕様を見直したりすることも考えられます。
「もう少し待てば安くなる」と考えている間に、希望する住戸が値上がりしたり、先に売れてしまったりする可能性もあるのです。
住宅ローン金利の上昇も無視できない
マンション購入を考えるうえで、もう一つ注意したいのが住宅ローン金利です。
長く続いた低金利環境から変化し、近年は日銀の金融政策の見直しなどを背景に、住宅ローン金利も上昇傾向にあります。
金利が上がると、同じ金額を借り入れた場合でも毎月の返済額や総返済額が増えることになります。
例えば、4,000万円を35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なしで借り入れた場合、金利が年0.5%なら毎月の返済額は約10万4,000円ですが、年1.0%になると約11万3,000円になります。
わずか0.5%の違いでも、毎月約9,000円、35年間では約380万円の差になります。
物件価格が上がり、さらに住宅ローン金利も上昇すれば、購入時の負担は二重に大きくなります。値下がりを期待して購入を先送りすることが、必ずしも有利とはいえない理由の一つです。
大切なのは「安くなるまで待つ」ことではない
もちろん、将来のマンション価格や金利を正確に予測することはできません。今後、価格が調整される物件もあれば、金利が落ち着くこともあるでしょう。
しかし、大切なのは相場の底値を見極めようとすることではなく、自分にとって無理のない購入計画を立てておくことです。
まずは収入や貯蓄、今後のライフプランを踏まえて予算を把握し、希望するエリアや広さ、間取りなどの優先順位を整理しておきましょう。
特に中古マンションの場合、希望する条件に合う物件がいつでも売りに出されているとは限りません。価格が下がるのを待っているうちに、条件の良い物件を逃してしまうこともあります。
気に入った物件に出会えたとき、購入できる準備が整っているかどうかも重要です。
まとめ:購入のタイミングを逃さないために
建築費の高騰と住宅ローン金利の上昇が続く現在、マンション購入を先送りすることにもリスクがあります。
「今は高いから買わない」という判断も一つですが、待っていれば必ず価格が下がるという保証はありません。
大切なのは、将来の値下がりを期待して待ち続けるのではなく、現在の価格と金利を前提に、自分にとって無理のない購入計画を立てることです。
住まいは、これからの生活を送る大切な場所です。価格の動向だけにとらわれず、自分たちが望む暮らしを実現できる住まいに出会えたなら、そのタイミングを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

