中古戸建の『再建築不可物件』はお買い得?メリット・デメリットを知っておこう

不動産コラム

中古の戸建てを探していると、稀に相場よりも格段に安い物件に出会うことがあります。物件概要をよく見てみると「再建築不可」という文字が。果たしてこの「再建築不可」とはどういう意味なのでしょうか。メリット・デメリットもあわせて見ていきましょう。

再建築不可物件とは?

現在建物が建っていたとしても、将来その家屋を取り壊して更地にした場合に新しい家を建てることができない土地のことを「再建築不可物件」と呼びます。

ちなみに再建築不可物件は、都市計画区域内と準都市計画区域内に限定して存在しています。

既に建物があるにも関わらず、建て替えができないとは一体どういうことなのでしょうか。

建築基準法には接道義務がある

不動産で避けて通れない法律に「建築基準法」があることは皆さんご存知だと思います。日本では戸建てでもマンションでも、敷地は必ず幅員4m以上の道路に2m以上接することという「接道義務」があります。この規定には、消防車や救急車といった緊急車両の進入を阻害しないこと、という意味があります。

再建築不可物件ではこの接道義務を果たしていないケースがほとんどで、大きく次の3つのケースに分類されます。

  1. 全く接道していない
  2. 接道が2m未満
  3. 接道はしているが基準法での道路と見なされない

建築基準法が制定されたのは1950年(昭和25年)なので、それ以前に建てられた家屋の中では当時問題が無かったというわけです。さらに都市計画法が制されたのも1968年(昭和43年)なので、築50年くらいの物件の中には稀に見受けられることになります。

再建築不可でも購入するメリットとは

建て替えが出来ないにも関わらず、こうした物件を購入するメリットとはなんでしょうか。

まずは、価格が相場よりも格段に安いことです。それぞれの物件で条件は異なりますが、通常の5割から7割の価格で取引されています。例えば検討している物件が3000万円の相場であれば、再建築不可の物件では1500万円~2100万円で購入出来ることになります。

2つめのメリットは、固定資産税や都市計画税が安くなることです。再建築不可物件では税金を計算する元となる固定資産税評価額が低いので、税金も安くなるのです。

再建築出来ないこと以外のデメリットは?

一番のデメリットは将来再建築が出来ないことですが、たとえ火災や地震などの災害で建物が消失してしまった場合でも同様です。そうなってしまうと、そこでは生活することが厳しくなりますので覚悟が必要です。

さらにこうした物件は担保価値が低いと評価されるので、住宅ローンを借入れすることが出来ません。したがって、購入する際には現金を用意する必要があります。

建て替えは不可でもリフォームは可能

再建築不可物件では、新たに建て替えることは出来ませんが、今ある家屋をリフォームして住むことは出来ます。物件を安く購入して、リフォームに費用を掛けることが出来ます。

ただし、「建築申請が不要なリフォームに限る」という条件が付きますので注意が必要です。

建築申請が不要とされる建物は「4号建築物」と呼ばれます。木造建築物で

  • 2階建以下
  • 延べ面積500m2以下
  • 高さ13m以下
  • 軒の高さ9m以下

であれば、増改築(延床面積を増やさない、構造を変えない)をしなければ申請不要です。

再建築可能に変更する方法

このように、再建築不可物件は資産価値が低いと見なされてしまいます。しかし、購入後に再建築可能に変えることが出来る方法があるのです。

再建築不可の要因は、接道義務を果たしていないことでした。この問題を解消出来れば良いわけです。

接道が2m未満の場合では隣家の土地を数センチから数十センチ分買い取り、2m以上を確保することで建築基準法に適した土地にします。これで建て替えも可能になり、資産価値も跳ね上がる場合もあります。隣地の所有者との交渉が不可欠ですが、境界線がわずかに移動するだけなので隣の所有者にも大きなデメリットはありません。

また接道義務を満たしている隣地があれば、その土地を購入して敷地を広げ、再建築可能とすることも出来ます。

道路と見なされていない道に接していたならば、境界線をセットバックすることでその道を42条2項道路に申請する事が出来ます。基準法に適した道路となり、再建築可能になります。このように、再建築不可物件でもやり方次第で状況が変わってくることがあります。

物件ごとに隣地との状況や条件が異なりますので、解決策は事前にしっかりと確認しておきましょう。