マイホーム購入で資金援助を受けた時の住宅ローン控除

不動産コラム

年末が近づくと住宅ローンの残高証明書が金融機関から送られて来ます。今年マイホームを購入して入居した人にとっては、1年目の手続きとして年明けに確定申告が待ち受けています。その中で、親などから資金援助を受けた人もいるでしょう。住宅を購入するために資金援助を受けた場合には、その件についても確定申告する必要があります。いわゆる「住宅取得等資金贈与の非課税特例」と呼ばれるものです。

住宅取得資金の贈与を受けたら、住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローン控除も住宅取得等資金贈与の非課税特例も、マイホーム購入時の資金調達に関しての税制優遇です。

ただし、資金の贈与を受けた上でさらに住宅ローン控除を活用する場合、一定の制約がかけられるという所得税に関する問題があります。一方で、資金の贈与については「誰から、どのように、いくらまで贈与を受けられるか」といった贈与税の問題となります。

まず、次のような2つのケースの場合でローン控除が受ける影響に差が出ます。

①住宅ローン借入れ額+住宅取得資金の贈与額≦購入額の場合

住宅購入金額 4,000万円

住宅ローン借入額 2,500万円

住宅取得資金の贈与額 1,000万円

この場合には、

A)住宅ローン借入額(2,500万円)

B)購入金額4,000万円ー贈与額1,000万円=3,000万円

AとBいずれか低い金額が住宅ローン控除の対象となります。したがって、このケースでは住宅ローン借入額が全額控除の対象となるため贈与の影響は受けません。

②住宅ローン借入れ額+住宅取得資金の贈与額>購入額の場合

住宅購入金額 4,000万円

住宅ローン借入額 3,000万円

住宅取得資金の贈与額 1,500万円

このケースでは、住宅ローンの借入額と贈与額が住宅購入金額を上回ってしまいます。

そもそも住宅ローン控除とは、マイホーム取得のために金融機関から借入れをした場合に所得税が還付される税制優遇です。この場合、住宅ローン借入額3,000万円のうち2,500万円までが住宅を取得するための借入金となります。つまり、超過した500万円分は住宅ローンを組んだとしても住宅ローン控除の対象外という扱いになるのです。

また①のケースと同様に、

A)住宅ローン借入額(3,000万円)

B)購入金額4,000万円ー贈与額1,500万円=2,500万円

いずれか低い金額が対象となる計算をしても同様の結果となります。

多額の資金援助を受ける場合には、必要以上に借入れをしても税制優遇は受けられないという結果になります。しなくて良い借入れに対してまで、控除の対象とはならないわけです。

住宅取得等資金の贈与税の非課税

ここで、住宅取得のために受けた贈与には一定の非課税枠が設けられている特例をおさらいしておきましょう。

大きなポイントとしては、購入した住宅に含まれる消費税の税率が8%か10%かで利用できる制度が違うことです。

消費税が10%である住宅の場合

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円   700万円

上記以外の場合

契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円   700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円   500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日   800万円   300万円

さらに税率だけでなく住宅そのものの性能(省エネ対策、耐震等級、バリアフリー基準など)によって区分が分かれています。

贈与を受ける人の要件

贈与を受ける人(受贈者)は20歳以上の子であること。

贈与する人(贈与者)は受ける人(受贈者)からみて直系尊属であること。

これが大きなポイントです。通常であれば親から子への資金援助となりますが、祖父母から孫への贈与でも適用となります。

必ず確定申告をしましょう

住宅ローン控除は、所得税が還付される=現金が戻ってくる税制優遇のためほとんんどの人が手続きを行うと思われます。

一方で贈与税に関しても、非課税の特例を利用するならば併せて申告が必要となります。そのため前半でお話ししたように、ローンと贈与の合計が購入金額を上回ってしまう場合も内容が判明してしまいます。

税制の優遇は適用要件をきちんと確認し、正しく申告して利用しましょう。