「手付金」の意味と大事な役割

不動産コラム

マンションの購入が決まったら、まず支払うお金が「手付金」です。
その前の「購入申込」の段階で、「申込証拠金」というお金を支払う場合もあります。
この「申込証拠金」は5万円〜10万円が一般的で、その物件を「私は契約するつもりです」という意思表示をするためのお金です。ただし、この「申込証拠金」に法的な拘束力はないので、もしも申込を撤回する場合には、無利息で返還されるべきお金です。(この申込金の返還についてはたまにトラブルになるケースがあります。申込撤回の際にはきちんと返還されるかどうか書面で確認するのが一番です。また、出来るだけ売主から「預り証」(領収証とは違います)を発行してもらいましょう。)
なお、このお金は契約時に物件代金や諸費用などに充当されるので、余計にかかるお金とはなりません。

この申込み手続きをしてから契約手続きをするまでは、大体一週間から10日間くらいで、この期間中売主はこの物件を他のお客様へ紹介することは出来ません。いわば、あなたのためにその物件を押さえている状況です。あくまでも次には契約が控えているわけですから、しっかりと意思を固めて申し込むようにしましょう。

手付金の金額はいくら?

その次に「手付金」を支払います。
物件によって違いはありますが、売買価格の10%〜20%といわれています。実は宅地建物取引建業法で「売買価格の20%を超える手付金は受領してはいけない」という決まりがあります。
もしも、20%を超える金額を請求されるようなことがあれば要注意です。
ここで「もしもこの不動産業者が途中で倒産したら、この手付金はどうなるの?」と不安になりますよね。支払った手付金は保全措置が講じられており、もしもの時にも守られています。
ただし、手付金の金額が未完成物件の場合は5%以下(完成物件の場合は10%以下)もしくは1000万円以下での場合には、この保全措置が講じられません。
例えば3000万円のマンションで100万円の手付金だと、売買価格の3.3%となり5%以下になり保全措置の対象外となってしまいます。
この場合は150万円を超える金額を支払わなければ保全されないことになります。
どうしてもまとまったお金を準備できない場合を除いて、10%程度の手付金を用意して契約に臨むのがおすすめです。
また、発行された「手付金保証書」は物件の引き渡しを受けるまで大切に保管しましょう。

手付金の大事な役割

実はこの「手付金」には大事な役割があります。
それは「解約手付」となる事です。
この決まりに関しては、通常「重要事項説明書」に記載があるはずです。
一旦契約を締結し終わった後に、相手方(買主にとっては売主、売主にとっては買主)が契約の履行に着手するまでは、
・買主は支払った手付金を放棄する
・売主は受領した手付金を買主に返還し、かつ受領した手付金と同額を支払う
という方法で、契約を解除(白紙解約)することが出来ます。いわゆる「手付け流し、手付け倍返し」と言われる方法です。
つまり、一旦手付金を支払って売買契約書に署名捺印してしまうと、買主が契約をキャンセル(解除)したい場合、手付金を放棄しなくてはならないのです。ただしこの「手付金による解除」は契約当事者双方に認められた権利なので、売主の側からも「契約を無かったことにしてほしい」と言われる場合もあるということです。

もちろん不動産の購入は安い買い物ではありません。軽い気落ちでキャンセルしてしまうと、大金を無駄にしてしまう可能性がありますので、契約する前にしっかりと検討する時間が必要です。

重要事項説明書を時間をかけて理解しよう

こうした一連の契約手続きの流れの中で、「契約をする・しない」という判断はとても重要です。
購入しようとする物件を理解するには「重要事項説明書」をきちんと読むことが大事です。
実は、宅建業法上「重要事項説明書は契約を締結するまでに説明する」ことになっています。
重要事項説明書の説明を受け、納得してから契約手続きへ進むのが本来の流れです。ところが、不動産取引の慣例で重要事項説明と売買契約の手続きを同じ日に行うことがよくあります。熟考する時間を十分取れず、納得しないまま契約してしまうと後々トラブルになることが問題視されています。
一生に一度の大きな買い物ですから、きちんと納得して契約することが大事です。買主側からも、申込みの段階で重要事項説明書のコピーをもらって事前に一読できるよう依頼しましょう。
そして、内容に疑問点などがあればきちんと解決し、納得して契約手続きに進むようにしましょう。