転職すると住宅ローンが組めない?

不動産コラム

住宅ローンを申し込もうとした時に、必ず「勤続年数はどのくらいですか?」という質問をされます。申込書にも記入する欄がありますし、審査をする上でも重要項目のひとつとされています。

「転職したばかりだと住宅ローンが組めない」という話を聞かれたことがあるかもしれませんが、全くNGというわけではありません。

銀行が重要視するのはその人の安定性

いろんな銀行の申込み条件を見てみると、勤続年数に関しては必ず明記されています。

「勤続年数◯年以上」(2年や3年が一般的です)とか、「同一勤務先に1年以上勤めていること」といった具合です。

当然ながら、銀行は「お金を貸した人が、将来完済するまできちんと支払ってくれるだろうか?」という視点で審査をします。最長で35年、何千万円という金額ですから、その人のこれまでの勤務実績は信用度に大きく影響します。

申込み時にの必要書類を見ても、それがよく分かります。

どこの銀行で申し込んでも、源泉徴収票や確定申告書の写しなど、収入を証明する書類を最低2年分(自営業の方場合によっては3年分)提出します。これは、収入金額が借入れ出来るラインを超えているかはもちろん、その収入が「安定的」であるかどうかを見られているのです。

通常、会社員であれば前年度よりも収入が少し上がっているか同等でしょうし、よほど業績が悪化していなければ大きく下がることはないでしょう。

「ここ2年(3年)の収入金額がこのくらいで、今後も同等、もしくは上がっていく見込みです。」という見方で銀行は貸付けを承認するのです。

転職して間もない場合には、この「安定性」と「将来性」についての説得力が弱まるというわけです。

最近は、ヘッドハンティングや自らステップアップを求めて転職する人が増えています。倒産危機やリストラなどが増え、昔のように終身雇用制度で一度就職したら安心、という時代ではなくなってきています。

ですから転職した人は住宅ローンが一切組めない、という訳ではありませんのでご安心下さい。

ただし、審査を受ける上では上記のように少し不利になる部分があります。

転職した人の年収金額はどう計算する?

サラリーマンなど給与を貰っている人であれば、毎年年末もしくは年明けに勤務先から「源泉徴収票」が配布されます。前の年の1月1日から12月31日までに支払われた金額(給与総額)が記載されている書類です。これを見れば、あなたの年収金額は一目でわかります。

では、あなたが前年の6月末で会社を退職し、7月から別の会社に転職したとしましょう。

もちろん転職先から同じように源泉徴収票が発行されますが、支払金額は前職と現職で得た給与の総額が記入されています。あなたの年収には間違いありませんが、銀行が見るのはあくまで「転職後の収入」だけです。辞めてしまっている前の職場での収入金額は全く意味がありませんし、審査上用いることはありません。

では転職して1年未満の場合、どうやって年収金額を出しているのでしょうか?

答えは、転職後の数ヶ月の平均値を12倍(12ヶ月分)して年収に計算し直しているのです。

この方法を「割り戻し計算」と言います。

源泉徴収票の概要欄に、小さく「前職支払い金額◯円」とあります。年額から前職分を引き算し、転職後の月数で割った後、12倍すれば良いのです。

(もしくは、転職後の給与明細を準備し、各月の合計額を月数で割って12倍してもOKです。)

もしも、1回でもボーナス支給があった場合には、毎月の給与のみを割り戻し、ボーナス分は後から足し算します。

転職した最初の1ヶ月目は満額支給されなかったり、数ヶ月は試用期間だったりするため、年収に割り戻し計算すると思ったより少ない金額になる事がほとんとです。

前職の年収なら700万円あったのに、ボーナスが貰えてないから600万円という結果になる・・・・といった具合です。転職した場合には不利になる、というのはこの為です。

また、転職した方は併せて「職歴書」の提出を求められます。

これまでどういった仕事をしてきたのか、どういう経緯で転職に至ったのか、などをヒアリングされます。

「資格を持っていて、勤務先を変えた」

「同じ営業職だが、業界を変えた」

という場合と、いろんな職を短い期間で転々としている場合。

残念ながら審査に通り難いのは後者です。

また、住宅ローンの承認を取り付けた後、安心して転職するのは厳禁です!!

引渡し前に転職してしまうと、せっかくの住宅ローンの「承認」は取り消され、再審査となってしまいます。最悪、引渡しに間に合わなかったり、必要な借入れ金額が借りられなくなってしまうこともあります。

住宅ローンを申込んだ後、「新たな借入れをすること」と「転職」はご法度です。