住宅ローンの「事前審査」は通過したのに、「本審査」で落ちるケースとは?

不動産コラム

マイホーム購入に不可欠な住宅ローンですが、一般的には契約前に事前審査を受け、承認を取り付けます。事前承認をもらってからでないと、売主側も資金計画が成り立たないので契約させてくれません。

無事に手付金を支払ってマイホームの契約も済ませ、いざ住宅ローンの本申込みをすると、稀に「不承認」となってしまうことがあります。事前承認はもらっていたのに、本審査では「NG」となるにはそれなりの理由があります。

今回は、住宅ローンの本審査で落ちないようにするポイントをお話します。

事前審査はあくまで仮審査

事前審査では、免許証や保険証、源泉徴収票などを提出して、あなたの個人信用情報に問題がないか、収入に見合った借入額であるかを審査されます。(この時点で、個人信用情報に問題があると否決となってしまいます。)

事前審査での申し込み内容と変わらなければ、ほとんどの人が本審査でもそのまま承認となります。よほどのことがない限り・・・なのですが、本審査でより詳しい書類や信用情報を見て想定外の何かが出てくると結果が覆ります。事前審査はあくまでも仮の審査と考えましょう。

団体信用生命保険が不承認になるケース

住宅ローンでは団体信用生命保険に加入できることが必須条件です。事前審査の時には健康だったのに、本審査の直前に入院したり病気などが発覚した場合には団体信用生命保険に入れないこともあります。

健康に不安がある人は、事前審査の段階で団体信用生命保険の審査を先行して受けることも可能(金融機関によります)ですので、告知事項がある場合は前もって営業担当者に話しておきましょう。また、通常の団信よりも金利は上乗せになりますが、より審査が甘く加入しやすい「ワイド団信」という保険もあります。

契約してから健康状態が悪化した場合、重要事項説明書の「住宅ローン特約」に記載があれば手付金を放棄せずに物件の解約が出来ることもありますので、確認しておきましょう。

信用情報が変化したケース

本審査で否決となるのは、「信用情報の変化」が一番大きな理由です。要するに、「他の借入れがあった」「新しく別のローンを組んでいる」ことが発覚してしまうケースです。「事前審査が通ったことに安心して、車をローンで買ってしまった」「次のボーナス払いで家電を買ってしまった」という事例は、実はとても多いのです。契約時に営業担当者から「絶対に新しくローンを組まないように」と念押しされていても借り入れてしまう人がいます。

新しい借入れをしていることが判明すると、当然審査はやり直しとなります。新しいローンも含めて返済負担率を計算し直します。ここで範囲内に収まっていれば本審査も「承認」となりますが、オーバーしていた場合が問題です。予定していた借入金額から減額されたり、最悪は否決となってしまうのです。再審査には余計な時間が掛かり引渡し日に間に合わなくなってしまうと、契約上は「遅延損害金」も覚悟しなくてはなりません。

事前審査の際には「他の借入れがある場合は申し出る」ことになっていますが、最近多いのが携帯電話端末の分割払いです。毎月の通話料などと一緒に請求されるため、「ローンを組んでいる」認識がない人が多いのです。家族分をまとめて一人が支払っている、という場合には注意しましょう。

もう一つ多いのが、キャッシング機能付きクレジットカードです。事前審査の時には利用履歴がなかったのが、最近利用してしまったとなると否決される大きな理由となります。もちろん、急に現金が必要となる場合も想定されますが、金融機関は「生活に余裕がない」と判断してしまいます。

この場合、「直ちに全額返済すること、そのカードを解約すること」を条件に住宅ローンが承認されることもあります。その返済のために、また別のローンを借りるなんてことはあってはなりません。最終的には「解約証明書」が発行されないと、住宅ローンの契約が出来ません。この書類の発行にも時間が掛かるので、キャシングやカードローンは住宅ローン本申込前には絶対に手を出さないようにしましょう。

また実際にキャッシングを利用していなくても、金融機関は「いつでもお金が引き出せる状態」であると見なします。限度額によって年間返済額に「◯万円」追加されるので、限度額が大きいカードを持っている場合は要注意です。カードを作成する時に不要なものは付けない方が得策ですね。

最近はコロナ禍により収入が減少する人もいらっしゃいます。年が明けると最新の源泉徴収票が発行されるのですが、3月末までは前年度となるため昨年と一昨年の2年分の年収資料を求められます。2年間の収入を比較して大幅な減額が見られる場合には、返済負担率をオーバーしていないか、営業担当者や金融機関とよく相談しましょう。