起業・独立したばかりの人は住宅ローンを借りられる?タイミングを間違うと大変なことに

不動産コラム

最近では会社勤めをしていた人が独立して事業を行ったり、自ら起業する人も増えています。しかしこれからマイホームを購入して住宅ローンを借入れしようとしているならば、独立や起業のタイミングはしっかりと考えるべきです。実際、会社員の場合は転職したばかりでも審査可能なケースがありますが、独立・起業の場合とは大きく異なります。今回は、その理由についてお話します。

金融機関の審査ポイント

住宅ローンを取り扱う金融機関のほとんどが、審査のポイントとして重視するのは「借りられるか」よりも「返済できるか」です。もちろん基準をはるかにオーバーする金額は貸し付けてくれませんが、「決められた期間で完済可能であるか」が重要なのです。

9割以上の金融機関が審査で重視するポイントは、「完済時年齢」「健康状態」「担保評価」「借入時年齢」「年収」「返済負担率」「勤続年数」といった項目です。

金融機関側からすると、年収の安定性と継続性を非常に重視することが分かります。会社員であればある程度の安定性と継続性が保証されていると見なされます。しかし、これから起業するとなると実績も何もない状態での審査となります。勤めていた会社を辞めて独立する場合も、仕事内容は変わらなくても売り上げは何一つ保証されておらず実績がありません。このような状態での住宅ローン審査は、まずテーブルに乗ることも困難だと言えるでしょう。

会社員と個人事業主の違い

会社員であれば、転職したばかりでも住宅ローンの審査を受けることが出来ます。もちろん1年以上勤続年数があるに越したことはありませんが、転職後数か月の給与実績があれば良いとされています。これは数か月分の給与明細書の平均金額を12倍して年収を予測する、「割り戻し計算」を使うことが出来るからです。

同じように個人事業主であっても数か月の実績で審査できるのではないか?と思いますが、これは大きな間違いです。会社員の給与を支払うのは勤務先ですが、個人事業主の場合は自分自身です。月によって売り上げが多い時も少ないときもあるはずです。個人事業主は1月1日から12月31日までの実績を、翌年に確定申告することでようやく年間の収入と所得が確定します。そのため、確定申告が完了するまでは年収を計算することが不可能なのです。

最低でも2年の実績が必要

さらに個人事業主や会社経営者の人が住宅ローンを申し込む際には、一般的に「確定申告3期分」が必要とされます。法人であれば、決算書3期分の提出も求められます。

これはつまり、事業を開始してから3年は実績が必要であることを意味します。しかし起業したばかりの初年度は何かと経費もかさむため、確定申告では所得が低くなるケースが多くあります。2年後3年後にどんどん売り上げが大きくなり、直近の年収がアップしていたとしても金融機関の見方はシビアです。サラリーマンであれば昨年の源泉徴収票の年収で審査してくれますが、3年間の平均値で審査するケースが多いようです。したがって、3年分の確定申告書上の年収があまりアップダウンせず、安定していることが必要になります。また決算書も赤字や債務超過などがないことが求められます。

フラット35やみずほ銀行では確定申告書は2年分の提出で済むので、少し条件が良くなるかもしれません。ただし、あまりにも2年間の数字が大きく乖離していると心証がよくありません。「年収がアップしているのだからいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、「これだけ上がったということは、反対に下がる場合もあるのでは?」という見方をするのが金融機関なのです。

とにかく年収は「安定」していることがポイントです。

マイホーム購入と起業・独立のタイミング

このように起業や独立を考えている人にとって、住宅ローンの審査は非常に厳しい現実があります。すでに個人事業主となっている方であれば、今後2年~3年間は確定申告の数字を安定させていく必要があります。通常であれば経費を計上して節税する方向で確定申告すると思いますが、住宅ローンの審査を重視するのであれば計画的に申告しなくてはなりません。

これから独立する予定がある人は、その前に住宅ローンを借入してしまう方が得策でしょう。しかし、借入れ出来ても返せるかどうかをしっかりと検証する必要があります。起業や独立直後は、思うように仕事が進まないケースや、不測の事態が起きる可能性もあり、それに対処するのも自分自身です。自己資金を多めに準備するなど、万が一の事態に備えておきましょう。

マイホーム購入も起業・独立もライフプランニングに大きく影響する出来事です。気に入った物件に出会うタイミングもありますが、どちらも上手くいくよう計画的に進めましょう。