中古マンションの物件情報を見ていると、「住宅性能評価書取得済み」という記載を目にすることがあります。住宅性能評価書という言葉は知っていても、「どんなことが評価されているの?」「設計と建設の2種類があるけれど、何が違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
住宅性能評価書とは、住宅の性能を一定の基準に基づいて評価し、その結果を分かりやすく表示した書類です。制度自体は2000年にスタートしており、現在では新築住宅を中心に広く利用されています。中古マンションを購入する際にも、物件によっては過去に取得された住宅性能評価書を確認できる場合があります。
今回は、住宅性能評価書の基本的な仕組みから、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の違い、そして評価書がある物件を購入するメリットについて解説します。
住宅性能評価書には何が書かれている?
住宅性能評価書は、住宅の「性能」を第三者機関が一定の共通ルールに基づいて評価したものです。
新築住宅では、性能を大きく10の分野に分けて評価します。
代表的なものとして、
・構造の安定(耐震等級など)
・火災時の安全
・劣化の軽減
・維持管理・更新への配慮
・温熱環境・エネルギー消費量(断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級など)
・空気環境
・光・視環境
・音環境
・高齢者等への配慮
・防犯
などがあります。
ただし、すべての項目を必ず評価するわけではありません。新築住宅では必須となっている項目と、希望に応じて選択して評価を受ける項目があります。2022年10月以降は、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級についても必須評価項目となっています。
つまり「住宅性能評価書がある」というだけで、すべての性能が最高ランクという意味ではありません。
重要なのは、評価書の中で、それぞれの性能が何等級になっているのかを確認することです。
「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の違い
住宅性能評価書には、新築住宅の場合、大きく2種類があります。
ひとつが「設計住宅性能評価書」です。
これは、住宅が完成する前の設計段階で、設計図書をもとに評価するもの。いわば「この設計どおりに建てれば、どの程度の性能になるのか」を第三者機関がチェックしたものです。
一方、「建設住宅性能評価書」は、実際の施工段階と完成段階で検査を行い、その結果をまとめたものです。
簡単にいえば、
設計住宅性能評価書=設計内容を評価したもの
建設住宅性能評価書=実際の施工・完成した住宅を検査したもの
という違いです。
そのため、両方を取得している住宅では、設計段階だけでなく、実際の施工についても第三者による検査が行われていることになります。
マンションの場合、販売時の資料に「設計住宅性能評価書取得」「建設住宅性能評価書取得」と記載されていることがありますので、どちらまで取得しているのかを確認してみるとよいでしょう。
住宅性能評価書がある物件のメリット
最大のメリットは、住宅の性能を「感覚」ではなく、共通の基準で比較できることです。
例えば「地震に強いマンションです」「断熱性能に優れています」と説明されても、それだけでは他の住宅と比較することができません。
しかし、住宅性能評価書があれば、耐震等級や断熱等性能等級など、一定の基準に基づいた評価結果を確認できます。
特にマンション購入では、完成した建物の内部構造や断熱仕様などを購入者自身が確認することは困難です。第三者機関による評価があることで、販売会社の説明だけに頼らず、住宅の性能を判断する材料が増えることは大きなメリットといえるでしょう。
また、建設住宅性能評価書が交付された住宅では、万一、住宅に関するトラブルが発生した場合、指定住宅紛争処理機関による「あっせん・調停・仲裁」といった専門的な紛争処理を利用できます。申請手数料は原則1万円です。
さらに、評価された性能によっては、住宅ローンや税制、保険などの制度と関係する場合があります。
例えばフラット35Sでは、省エネルギー性や耐震性など一定の基準を満たす住宅が金利引下げの対象となります。
また、耐震等級など一定の条件を満たす住宅では、地震保険料の割引につながる場合もあります。
「評価書がある」だけで判断しないことも大切
住宅性能評価書は、住宅購入時の安心材料のひとつですが、「評価書がある」というだけでなく、その内容を確認することが大切です。」
大切なのは、どの項目が、どの等級になっているのかを見ることです。
例えば「耐震等級」でも等級によって評価は異なりますし、断熱性能についても等級によって性能に差があります。
また、音環境などは選択項目となっているため、評価書があっても、購入者が気になるすべての性能が評価されているとは限りません。
物件を比較する際には、「住宅性能評価書の有無」だけでなく、「どの性能について、どのような評価を取得しているのか」まで確認することが重要です。
住宅性能評価書は「住宅の通信簿」
住宅性能評価書は、いわば住宅の「通信簿」のようなものです。
住宅の購入は、立地や価格、間取り、眺望など目に見える条件だけでなく、耐震性、断熱性、耐久性、維持管理のしやすさなど、長く住んで初めて重要性に気付く性能についても考える必要があります。
住宅性能評価書があれば、普段は見ることのできない住宅の性能を、一定の基準で確認することができます。
ただし「住宅性能評価書取得」という表示だけで終わらせず、設計と建設のどちらを取得しているのか、そして各項目が何等級なのかまで確認してみましょう。
住宅の「見た目」だけでは分からない部分を知ることが、将来にわたって安心して暮らせる住まい選びにつながります。

