安全安心のマイホーム購入を!「家賃並みの支払い」で検討中の方に知って欲しいポイントとは?

不動産コラム

よくマンションや一戸建ての折り込みチラシなどで「家賃並みの支払いでマイホームが買える!」という文字を見かけます。このようなキャッチコピーを見ると「ずっとこのまま家賃を支払い続けるのはもったいない」「今の家賃と同じ金額で持ち家が買えるのならお得だ」と感じる人が多いと思います。

ですが、このキャッチコピーにはちょっと注意が必要です。今回は、安全・安心にマイホームを購入するためのポイントについてお伝えいたします。

「支払い例」のボーナス払いについて検討してみましょう

不動産チラシには「家賃並み」の支払い例が掲載されています。例えば「毎月7万円の支払いでOK」などと記載されていると、「今の家賃と変わらない」「むしろ安くなるから問題ない」と感じます。

しかし、場合によってはボーナス払いを併用していることがあるので注意しましょう。「ボーナス払い20万円(年2回)が加算されます」などと記載があれば、年2回のボーナス支払い月には7万円+20万円=27万円の支払いになってしまいます。年間返済額で考えると、7万円×12ヶ月=84万円で済むはずが、プラス40万円で年間124万円までアップすることになります。

ボーナスが安定的に支給される業界や職種であれば、ボーナス払いを併用しても問題ありません。しかし、業績によって支給額の変動が大きい業界や転職の可能性がある場合は、毎月のみの支払いで住宅ローンを組んだ方が安心です。

ちなみに、上記の返済額(毎月支払いのみ・ボーナス併用)でどれだけの借入れ金額になるかを逆算してみましょう。

借入期間35年、変動金利0.475% 元利均等返済の場合
※年収は考慮しません

  • 毎月7万円返済の場合の借入額:約2708万円
  • 毎月7万円返済+ボーナス払い20万円×2回の場合の借入額:約3984万円

このようにボーナス払いが有るのと無いのでは、借入金額に大きな差があります。予算が大きく変わってくるということは、検討できる物件(専有面積や階層)にも差が出てしまいますので注意しましょう。

また、同じ条件で返済額に対応した借入限度額を計算すると以下のようになります。

  • 毎月5万円   1934万円
  • 毎月6万円   2321万円
  • 毎月8万円   3094万円
  • 毎月9万円   3481万円
  • 毎月10万円  3868万円
  • 毎月11万円  4255万円
  • 毎月12万円  4642万円
  • 毎月13万円  5029万円
  • 毎月14万円  5419万円
  • 毎月15万円  5803万円

返済例の金利タイプにも注意しよう

こうした広告の支払い例では、出来るだけ安く見せるためにより低金利な変動金利を用いています。現在の変動金利は0.5%前後、全期間固定金利のフラット35では1.3%前後で推移しています。

変動金利は、文字通り今後変動する可能性がある金利タイプです。下がる可能性も上がる可能性もあるのです。5年毎に返済額を見直し、前回の1.25倍以上に上がることはないというルールを設けている場合が多いですが、中にはこの1.25倍ルールを設けていない金融機関もあります。

もしも1%金利が上昇したら返済額がいくらになるか?など、最悪のシミュレーションも想定しておく必要があります。

マンションには忘れてはならないランニングコストがあります

分譲マンションの場合には、毎月管理費や修繕積立金、駐車場使用料などのランニングコストが必要です。マンションによって差がありますが2万~3万円、都心物件やタワーマンションなどでは4万~5万円以上の負担になる場合があります。

「住宅ローンの返済額=家賃並み」と考えてしまって管理費や修繕積立金を忘れていると、資金計画が大きく狂ってしまいます。マンションの場合には「毎月の住宅費の総支出額がいくらになるのか」を考えなくてはなりません。

管理費などを合わせて毎月7万円までとなると、住宅ローン借入額は前述の2708万円よりもさらに低くなるので要注意です。

マイホーム所有に伴う税金についても予定しておきましょう

マイホームを購入するとかかってくるのが「固定資産税・都市計画税」という税金です。この税金は賃貸住宅に住んでいる時には課税されることはありませんので、毎年の経費として考えておかなければなりません。

土地の価格や建物の評価によって差がありますので、予めどのくらいの税金になりそうか、担当者にヒアリングしておきましょう。

購入時の諸費用について知っておきましょう

マイホームを購入する際には、別途「諸費用」と呼ばれる経費がかかります。仲介手数料、登記費用、住宅ローンを借入する銀行へ支払う手数料や保証料、火災保険料、新築マンションの場合には修繕積立基金などが必要となります。

中古物件と新築物件で異なりますが、物件価格の3%~7%が目安と言われています。初期費用としてある程度の現金が必要となることは知っておきましょう。

家賃を基準にすることは、マイホーム探しのきっかけにはなりますが、不動産購入に関わる費用には様々なものがあります。将来の子供の教育費や老後の資金なども視野に入れた長期的に計画を立て、安全・安心なマイホーム購入を心がけましょう。